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素直に待つ必要ってないよね?

作者: yue@夜宵

以前に書いた話の別目線?みたいなお話です。



素直になるまで待つことなど必要でしょうか?

https://ncode.syosetu.com/n9132kw/

あぁ、君か。

なんだい?君とは対して面識はなかったと思うけど。


わかってるよ、彼女の事だろう?

あぁそうだ。僕が正式な彼女の婚約者だよ。

もちろんお互いに理解し合っているし、両家にも認めてもらっている。


何故?と言われてもねぇ。

君はスタートラインにすら立っていなかったのにね。

ん?君はただ彼女に一方的に思いを拗らせていただけの男だと言う事だよ。


君と彼女の顔見せは君の父上と彼女の父上との友誼のためだ。

だが当主である彼女の母上は事前に君を調査した結果、君は婿には向かないし娘である彼女とは合わないと考えていた。

彼女にもその話は伝わっていて、彼女からもただの父親の顔を立てただけの顔見せとしか思われていなかった。


ははは、驚いているね。

初めから相手にされていなかったのが思いの外耐えたかい?


でも貴族の家の婿候補なんだよ。

調査するに決まっているだろう?

そしてその結果、落第する事だってある。


君は元々落第候補だった。

それにも関わらず顔見せで傲慢で横柄な対応をしたそうじゃないか。

確実に落第になったと言うわけだ。


お相手の歯牙にも掛けられない愚かな男。

それが君だったと言うわけだ。


ちなみに君の母上にもある程度話は回っていたようだよ。

だからこそ君に色々と厳しく言っていたらしいけど、君は何にもわかっていなかったみたいだね。


自分は顔見せが決まった段階で婚約者のつもりだった?

おいおい、正気か?それとも頭がおかしいのかい?


それなら尚のこと婚約者としてもっと誠実な対応が必要だっただろう?

婚約者は将来を共にする“他家の大事なお嬢さん”なんだよ?

粗雑に扱って良いものじゃない。

なのに所有物の様に思っていたのかい?

自分に買い与えられた所有物(おもちゃ)じゃないんだよ。


おもちゃ(ぬいぐるみ)をぶん回しても許されるのは本当に幼い頃か愛玩動物くらいなものだよ。

僕は君を人間だと思っていたけど、多少意思疎通ができる犬だったのか。

それは知らなかったなぁ。


はは!冗談だよ。

だが君への周りの評価はその程度だってことは肝に銘じた方がいい。


君が家族に大事にされてきたのと同じで、彼女もまた彼女の家族に大事にされてきた。

もちろん家族仲が冷え切っている家もあるだろうし家族の形はそれぞれだろうけど、でも基本的にはお相手は“他家の大事なお嬢さん“には変わりないんだよ。


それなのにふざけてるとしか思えない対応をして、彼女本人もそうだが彼女の家族にも嫌われるのがわからないのかい?


そうだよ、彼女にも彼女の家族にも親族にもね。

だってその家の嫡女の彼女を侮辱するということはどう言うことか…いい加減さすがにここまで言えばわかる?

まぁ気づいても遅いんだけどさ。


そうそう、この2年の時間って君へのためのじゃなかったんだよ?

ははは、驚いているねぇ。

ここまで色々言っててまだ気づかないのかい?

なら上に立つべき人間ではなかったということだね。

良かったね、嫡男から外れて。

君が家を背負って立つなんて恐ろしくて恐ろしくて。

周りも領民も悲惨だろうし。


端的に言えって?まだわからないのかい?

君に与えられた様なこの時間は、君の父上と彼女の父上を諦めさせるための時間だったってことさ。

君が彼女にとって不適格だと言う事を理解してもらう時間ってこと。

まぁ君がどんどん周りに愚かさを提示したから、彼女の父上からの失望は思ったより早かったみたいだね。

もっとかかるかもしれないって周りは踏んでたけどさ、それ以上に愚かだったと言うことかな…君が。

それなりに気に入られていたみたいなのにね、君。


そうだよ?

僕は君よりもバックについてる人間の権威は大きいけど、君の様な人間味のある方が彼女の父上は好ましかった様だね。

それに彼女の前以外では素直に彼女への気持ちを表していたそうだから、そう言った部分もいじらしく思っていたのかもね。


水面下で僕や他の候補者の話が出ていたのは、彼女の父上も知っていてけれど、君を推したのは自分と重なるところがどこかにあったのかもしれない。

ただ当主である彼女の母上の考えは違っていたし、それを継ぐ彼女の考えもまた違っていた。


だから彼女の家は君の有責になる様に色々と仕掛けも考えていたみたいだけど、それをしなくてもやらかしてたみたいだからねぇ。

本当に愚かで自業自得だね。


そんなことを彼女の家は考えていたのかって?

あのさ、僕らは貴族なんだよ。

足の引っ張り合いや落とし合いなんてある程度は日常茶飯事だろうに。

まぁ僕らの年齢でそこまでないかもしれないけどさ、それでもそう言うことをある程度は想定しておかないとこれから先難しいよ?

いくら伯爵家の嫡男から抜けて男爵家に婿入りするとはいえさ。

まぁその男爵家も継ぐのはお相手のお兄さんになるみたいだから爵位はないけど。

でも貴族相手にも商売しているところだから気をつけなよ?


このまま愚かなままだったらいくら結婚して何とか子供ができても関わらせてもらえないよ?

爵位を継がないにしても婿入りした以上は子供は必須だから。

あ、あと初夜で「お前を愛することはない!」なんてバカなこと言わない様にね。

廃品回収してくれた男爵家とご令嬢に失礼だから。


うん、廃品回収。もちろん君のことだよ。

廃嫡された愚かな男。

何も持たせず平民に落とされても仕方ないけど、その顔にまだ価値があって良かったね。


あと君の愛なんて、独りよがりで、勝手で、横暴で、傲慢で、大して価値のないものなんだから誰も期待してないよ?

だからわざわざ「愛することはない!」なんて啖呵を切ってもあまり意味ないからね。


ははは、自分の愛もそこまで否定されるのはさすがに怒りを覚えるみたいだけど、でも君が僕の婚約者に示した愛って”そう言うもの“だったからね。

『誰がそんなものいるのか?』って思うものだってことは理解しておいた方がいいよ。

今の身分もすぐになくなるんだし。

婿入りしたら君の価値はもっと下がるしね。

いつまでも甘ったれの伯爵家の嫡男だった自分は捨てた方がいい。それが君のためだよ。


そうすれば大事な妻子と不自由ない衣食住は得られると思うよ?多分ね。

思いついたのでとりあえずアップしてみました。

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