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「商人になるんだろう? 護衛がいても道中危ない目に遭うかもしれない。これを持って行け。」
「ありがとう。これは良い短刀ですね。軽くて使いやすそうです」
「切れ味も保証するぞ」
ホルンは喜んでもらった短刀を腰にかけた。
「……おい、それはなんだ?」
店主はホルンが反対側の腰にかけていたものに視線を向けた。
「ああ、これは……」
それは、50階のボスを倒した後にドロップした魔道具だ。
中に入っていた液体が緑色だったから回復薬なのかと思って使ってみたら傷がみるみるうちに癒えたので、便利で使って戻ってきたのだ。
「この魔道具がなければ、生きて戻ることは出来なかったかもしれません」
ホルンは回復魔法も使えるが、この魔道具は魔力の消費も少ない割に、傷を回復させる液体が増える。
「見たことのない魔道具だな。高く売れそうだ」
そういえば、手に馴染みすぎて、すっかり魔道具の存在を忘れていた。
見た目はジョウロみたいな霧吹きだが、一応魔道具だし、ボスドロップ品だ。その使い勝手の良さから、それこそ売ったら高額になるかもしれない。
(でもこれ、重いから実用向きじゃないかもなあ……。観賞用にしては装飾もないし、教会とかでしか使えないかも)
ミスリル製なのかと疑うほどに重い。
旅のお伴にするには微妙だ。大剣と同じか、それ以上に重い。
荷を軽くするスキルを持つホルンでなければ持って帰ろうとは思わなかっただろう。
飲んだとしても、平凡な回復量だし、安価なポーションと変わらない。もしかすると、使用回数の制限があるかもしれないから、それほど高く売れないかもしれない。
「未鑑定の魔道具を使っていたのか!? それは危険過ぎるぞ!! 体は大丈夫なのか!?」
「まぁ、背に腹は代えられなくて……。今のところ問題ないみたいです」
「それは、ただ運が良かっただけだ。今まで、どれだけ未鑑定の物を使って、ひどい目にあった冒険者を見たことか」
未鑑定の魔道具を使用するリスクは分かっている。冒険者登録する時に、口を酸っぱくして言われる。どのような効果があるか分からない物を飲むなど、言語道断だ。
だが、使っていた杖もボロボロになって折れてしまったし、ぶっちゃけ途中からジョウロみたいな魔道具を盾替わりに使っていたのだ。
(そういえば、すごく頑丈だった。高く売れる可能性があるなら、鑑定を依頼したほうが良いのかな)
二束三文となった場合は赤字となるが、腐ってもボスドロップ品だ。それなりに価値はあるかもしれない。なにより、冒険者を辞めたのだから、ホルンには必要がない。
そう思って鑑定を依頼したが、想定外の鑑定結果となった。




