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仲間は皆、Sランクで有名な冒険者だったが、技術面に磨きはかかっても加齢により身体能力は落ちてくる。
年齢的にも最後の挑戦になるはずだった。
ホルンはパーティーの中では最も若かった。器用貧乏というやつで、補助的な役割を担っていた。
それほど戦闘能力は高くなく、ソロで低階層まで無事に帰還出来たことは幸運だった。
どんなに慎重に道を選んだとしても、戦闘を回避することは難しい。
仲間がいれば脅威にも感じなかった魔物に怯えながら、無我夢中で戻ってきた。
置き去りにした仲間たちのことを思うと涙が溢れて止まらなくなるので、無心で帰路に着いた。
ダンジョンから出て、町に戻って、気がついたら仲間たちと住んでいた家に戻っていた。
ホルンは、膝から崩れるようにしてベッドに倒れこみ、ようやく失った仲間たちを思って泣くことが出来た。
ダンジョンでは何が起きるか分からない。
骨の髄まで知っていたはずなのに、何も出来なかった。
対峙したからこそ分かることもある。力量差は明確だった。
完全なる敗北だった。
その魔物は、なぜかホルンには攻撃しなかった。
後衛だったホルンは、他のメンバーより遠い場所にいたからかもしれない。
そこに明確な理由はない。おそらくは、神の気まぐれなのだろう。
翌日、ホルンはギルドに顔を出した。
そこそこ名の知れた冒険者が1人で帰還したのだから、異変を察して当然かもしれない。
「ホルンさん、他の方々は……?」
ホルンはその質問には、ただ一言「全滅しました」とだけ伝えた。
受付のエミリーは絶句した後「少しお待ち下さい!」と言って、慌てた様子でギルドマスターを呼びに行った。
ギルドに戻ったホルンは、PTの全滅を伝えた。
今後どうするつもりなのかとギルドマスターに問われたが、すぐに答えることは出来なかった。
器用貧乏と罵られる事が多かったホルンに後方で支援する役割を与え、メンバーとして尊重してくれたのは亡くなった仲間だけだった。
ホルンにとって、仲間は家族のようなものだった
せめて遺体だけでも回収したかったが、命からがら逃げ戻ることしか出来なかったことを考えると現実的ではなかった。
相棒だったロックバードも、主であるホルンを庇おうとして死んでしまった。
今のホルンの実力では、20階に行くことも難しいだろう。
他力本願になるのは悔しいが、他のSランクパーティーに依頼するほうが、よっぽど現実的だった。
「依頼……となると、まとまったお金が必要になるなぁ……」
元々ホルンの実家は裕福な商人だった。
事情を説明し、頭を下げたら貸してくれるかもしれない。
だが、その際にはホルンが実家を継ぐ事が条件になるだろう。
親には後継者として期待されていたから、冒険者になることも反対されていた。
家業を継ぐとなれば、冒険者は引退しないといけない。




