001 生死の間
──もう、ダメかも知れない。
もう最後の食事から数日、下手すると一週間ほど経っているかもしれない。脳に栄養が回らず、意識が朦朧として体がフラフラとする。
『廻羽市』から『神波市』へ避難するために訪れたけど、移動が遅すぎたことに加え、途中で行手を阻まれ、その対処で時間を取られてしまっていた。
勿論、食料等の物資は持ち歩いていたけど、途中で尽きてしまった。水分はここまでの道で途中で雨が降ってくれたおかげで持ち堪えていたけど、もうそろそろ限界。
──痛い、もう立てない。
住宅街あたりの路地を何とか必死に、よろめきながら歩いていたけど、遂に体力の限界が迎え、膝から地面へと崩れながら倒れ込んだ。
昼前頃ぐらいの時間のようで、頭に地面の熱がじわりと伝わってくる。昼間と言うこともあり、人は出歩いておらず、誰も私に気付くことは無かった。
しばらく時間が経ったのか、雫が顔に落ちてきた。あたり一面が、連続する雨の音だけで支配される。先ほどまで温もりがあった地面は冷たくなっており、私の体温を奪っていく。
雨の音だけが鳴り響いているはずなのに、自分の心臓の鼓動の音が聞こえてきた。その鼓動もどこか弱々しく頼りない脈動を打っていた。
──死ぬのか……な、ここで。
目の前の家の景色に黒い靄がかかっているようで、意識が酩酊しており、自分の心臓の音や雨音も聞こえなくなってきた。
心の奥底で死ぬことを受け入れ始めているような自分がいた。
周りが静寂へと染まる中、近くで足音が聞こえ──。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
人生で初めての小説投稿です。未熟な部分もありますが、物語と向き合い、大切にしながら丁寧に書いていきますので、是非とも応援の程、よろしくお願いします!!
※タイトルの「間」はここでは「はざま」と読みます。
※「廻羽市」の読み方は「めぐはし」です。
※「神波市」の読み方は「かみなみし」です。