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第十話 バグったイケメンたちだってフリーズするわこんなん

 ロッカーの中、爆発音と怒号からようやく遠ざかった気がしたけれど、

 私とエミリアはまだぎゅっと抱き合ったまま、息をひそめていた。


 外からはイケメンたちの怒号と、

「こっちのロッカーも開けろ!」「逃げても無駄だぞイリオス!」

 という必死な声が次々と近づいてくる。


 私の心臓はずっとバクバク鳴りっぱなし。

 それがエミリアに伝わってしまいそうで、余計に身体が熱い。

 エミリアは私の胸元で、小さく「大丈夫ですよ……」とささやいてくれる。


 ――そしてついに。


 ガラリ、とロッカーの扉が開け放たれた。


 そこには、生徒会長、美術部王子、メガネ野郎、演劇部の色男――

 学園のイケメンたちが勢揃い。

 どの顔も、息を荒げて真っ赤で、目は血走り、まるで野獣のような形相だ。


 だが、

 彼らの視線がロッカーの中の私たちをとらえた瞬間――

 世界が、止まった。


 私とエミリアは、しっかりと抱き合ったまま。

 お互いの顔が近すぎて、誰が見ても「そういう関係」にしか見えない密着ぶり。


 イケメンたち、フリーズ。


 その場にいた全員が、時間が止まったかのように固まった。


 (あ、やばい。完全に見られた……)


 外の沈黙は数秒続き――

 美術部王子がポロリと手から爆弾を落とし、

 メガネ野郎が眼鏡をずらし、

 演劇部の色男は「これ、台本にない……」とつぶやき、

 生徒会長は、なぜか頭をかかえて崩れ落ちた。


 私はエミリアを抱きしめたまま、どうしようもなく動けなくて、

 ロッカーの外からは、「……ごゆっくり」と誰かの乾いた声が響いた。


 扉がしずかに閉じられ、

 ロッカー内には再び静寂が戻る――


 イケメンたちの魂が抜けたような表情を最後に、

 世界はしばらくフリーズしていた。


 私はエミリアをぎゅっと抱きしめたまま、

「……なんでっ!?」と小声で絶叫することしかできなかった。



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