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森山

作者: 芋姫

「予約していないんですけど、カット・・してもらえますか?」


「はい!大丈夫ですよ。」


ほっとした。美容室に行く時間がなかなか取れず、ストレスが溜まっていたのだ。

年明けにしようかと思ったのだが、伸び放題で、なんとなく居心地が悪い。やはり、すっきりした状態で年を越したいものである。


「誰か、ご指名はいらっしゃいますか?」


「えーと、森田さんか山口さんで、お願いしたいんですけど。」


しかしだった。


「申し訳ありません。二名とも本日は休みでして。」


「あ、そうなんですか。」 なんと。予約なしで入れてラッキーだと思ったがここへ来てこの展開とは。


しかし、いないものはいないんだからしょうがない。年内にカットできるのだから良しとするか。


「別に、大丈夫っす。」「すみません~。」


さっそく奥の席へ通され、待つこと数分、こんにちはー、と言いながらひとりのチャラそうな男性がやってきた。


「森山でぇす。本日はよろしくおねがいしまぁす。」


男性は顔の前で、ピースサインを作った。


僕は今年一番でテンションが下がっていくのを実感した。


森山くんは早速、僕に前掛けをかけようとしたが、途中で手が止まった。何事かと思って見守っていると・・裏表逆だった、アハハ、と言いながら前掛けを付け直した。


そのさわやかな笑顔を見て、僕はもうどうでもよくなった。

いっそどうにでもなれ、という覚悟が決まった。


「ご希望はぁ~?」と森山氏。

「カットで。」と僕。

「うぃ~。」と森山。うぃ~って何だろう?了解、って意味か?ま、なんでもいいわ。もう。


**************************************************************************


お会計。


「¥3,700円になります。ちょうどお預かりします。ありがとうございました!」


僕は店を出た。


ショーウインドーに映った、自分を見る。


ものすごく。いい。


森田さんの素早さ、手際の良さ、そして、山口さんの丁寧さ、アレンジの上手さ・・・

それらの技術をすべて持ち合わせた、森山。


はっきりいって、大満足だった。



完。








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