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ガンギマリズム3 日常編  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第四章「世界が壊れる音」
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47. 世界が壊れる音

八日後。

武蔵多摩高校、月曜日の昼休み。

漆紀はいつも通り小太郎、七海と話していた。小太郎はどういうわけかあまり落ち着きのない様子でソワソワしており、漆紀は何かあったのかと聞いたが「特になにもござらん」と片言で返すのみである。

小太郎の不自然さに気になる漆紀だが、そんな不自然さを吹き飛ばすかのように教室に乱入者が入って来た。

「お邪魔しまーす!」

小太郎と七海の間に割って入る形で、彩那が顔を出してくる。

「ゲッ……宗教のやべーやつ、死んだはずでは」

縁起でもない事を七海が口にし、彩那はというと勝手に死んだ事にされて顔を真っ赤にする。

「おやおや、竜蛇嬢。まさか狙い撃ちの宗教勧誘ですかな。拙者達は空飛ぶラーメン教に入っているとあれほど……」

「私のイメージどうなってるんですか! 宗教勧誘じゃありませんよ!」

「なんでわざわざこっちの教室にまで入って来たんだよ竜蛇」

漆紀はこれまで彩那が学校で関わりを他人に感じさせる行動を取らなかったので、教室に顔を出してきた事で意表を突かれた気分となった。

だが、小太郎と七海は彩那がここに来た理由として心当たりは大いにある。以前漆紀を二人で尾行した際に、漆紀と彩那が街で会って話しながら移動しているところを見たことがあるのだ。

漆紀と彩那の実際の人間関係はそこまで深く進んでいないが、小太郎と七海は二人が付き合っているものだと思っている。

付き合っているのだから、教室に来るのも普通だろう。小太郎と七海はごく自然にそう考えた。

「いえ、その、りゅう……辰上君の友達なら、友達になれるかなーと」

「ボッチだもんな」

「ボッチでしょうな」

「そりゃボッチだよな」

「なにを! なにをおおぉぉぉぉぉ!! みんなしてなにをおおおぉぉぉぉぉ!!」

「落ち着け竜蛇! だってそうだろ! アタシから見ても、聞きたくもない宗教勧誘に説教を昼休みにやってくるとか騒音被害も良いトコだろ!」

七海の正論に彩那が胸倉を掴んで揺さぶっていると、ふいに漆紀のスマホが短く振動する。何か連絡かと思ってスマホを見ると、どうやら烏丸蒼白からのメッセージだった。グループではなく個人チャットでのメッセージであることから、漆紀個人への用事だろう。

メッセージの内容を読むと―――

『辰上、あの頭おかしい宗教女も連れてD棟屋上に来てくれ。今すぐ』

それを読むと、漆紀は小太郎の肩を軽く叩く。

「なあ平野。烏丸は今日学校来てたよな? なんで昼休み居ないんだ? いつもは俺らと話してんのに」

「あー、なんか先生に呼ばれたとか言ってたでござるよ。それが?」

「……いや、いいんだ。おい竜蛇、それぐらいにしろよ。用事が出来たから付いて来い」

「このおおおぉぉぉって……えぇ? 用事ですか?」

彩那が七海から手を離して、漆紀の方を見つめる。

「まあいいから付いて来いって。面倒事っぽいけど」

そう言って漆紀は彩那を連れて教室を出て、蒼白からのメッセージにあった通りD棟屋上を目指す。

「……下田嬢、気がかりなので拙者も辰上氏の後を付けるでござるよ。下田嬢は待っててくだされ」

「あ、おう。いいけど……」

小太郎も漆紀の後を密かに付けていく。

「……なんかつまんねーの。あーつまんな」

いじけた七海は教室から出て、B棟の東にポツンと立っているパンの購買所へと足を運ぶ。弁当を持参していない昼休みの生徒達は、その購買所でパンを買う事が多い。

そうして教室は漆紀達と関わりが少ない生徒達の箱庭となった。

七海は購買所のテーブルに並べられたパンを見て悩み込む。

メロンパンやクリームパンのシンプルなパンから、少し凝った惣菜パンまである。

どうしようものかと十分、更に五分と次々に昼休みの時間が消えていく。

「うーん……うーん……」

七海は遂に悩むのも馬鹿らしいと思い、袋に入ったメロンパンを手に取る。

「すみませーんコレで」

購買のおばさんに七海がそう言った瞬間。


この世を破壊してしまうかのような爆音と共に空間が大きく弾け、震え、大きく哭いた。


窓ガラスは割れるどころか床に弾け飛び、購買所の建物そのものが大地震にでも遭ったように大きく揺れる。

「うわああああぁぁぁぁぁ!?」

あまりの事で七海はその場に蹲って大声を上げる。

爆音と揺れが止むと、すぐさま七海は購買所の建物を出て校舎を見ると。

「なんだよ……なんだよコレ!?」

武蔵多摩高校のA棟とB棟が大きな爆炎に包み込まれていた。

一階から四階に至るまで大炎上し、建物の所々が大きく崩れて欠けていることから先程の爆音が大爆発によるものであったことが一目瞭然で理解できる。

学校に通う生徒ならば、誰しも面白半分で思ったことのある「学校爆発しないかな」という考え。

それが現実にこうして起こってしまった。燃え盛る校舎からは呻き声や悲鳴に命乞い、人の出せる限りの悲痛な感情が四方八方に響き渡る。

それを見て七海は口を開けたまま膝を着いた。なんて理不尽で不条理な出来事だろう、これは現実なのかと目を疑う。だがその身に感じる熱気や心を切り裂くような悲鳴の数々は現実だ。これは紛れもなく現実だ。

一体今の爆発で何人死んだのだろう。何人が死にかけているのだろう。数十人? いや全校生徒が千人程なのだから、今の大爆発で数百人が犠牲になった事だろう。

あまりに暴力的で無惨な現実から目を逸らしたくて、七海はふと何の被害もないだろうC棟やD棟の方を見る。

するとD棟の屋上に人影があった。

その姿形を注視すると、なんとなく見覚えのある人影があった。

「辰上?」

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