3. 警察と対する者
東京都秋葉原のファミレスにて、テーブル席に3人の男が座って居た。。
「オレを大友連合に入れて下さい!」
背が低めの男子高校生が、大きな丸眼鏡をかけた大男に頭を下げてそう懇願していた。
大男の隣には小さい丸眼鏡を付けた連れの男がいた。
その二人の向かい側に、男子高校生はたった一人で座って居る。
「理由を聞こう」
大男は纏っている威圧的な空気感や図体に似合わぬ柔らかい声で問う。
「オレの兄貴が、警察に撃ち殺されたんです。それで、警察の連中に一矢報いるには……ここしかないと」
「俺氏達が何をしているか、知っているのか?」
大男が再び男子高校生に問う。
「暴走族という体だけれども、実際は秋葉原周辺で自警団活動をしていると。警察や暴走族、に半グレ、双方の横暴を止める第三勢力と聞いています」
「そうだ。確かに問答無用で撃ち殺すという警察の行動は横暴かつ暴挙……しかし、起こった事に対して後からやり返すのなら話が違ってくる。それは自警ではなく私怨による復讐だ。それはダメだ」
「じゃあ、オレには力を貸して頂けないと?」
「そうは言ってない……鈴木氏、君は兄を警察に射殺された被害者だ。ならば、同じように家族を警察に殺されるかもしれない悲劇に対し、何か思うところがあるはずだ。今だって、この東京に限らず政令指定都市では積極的に警察が問答無用の射殺をしている」
鈴木と呼ばれた男子高校生は強く歯軋りをする。
「オレの兄貴は横浜の暴走族で、射殺されたのも横浜。ニュースは見てるんでしょう! 自警するのは秋葉原周辺だけ、関係ないんだという事ですか!?」
この男子高校生は、先日横浜で警察に射殺された小規模暴走族のメンバーの家族だったのだ。
「俺氏は、復讐のために襲撃などはしない。しかし、これから起こり得る同じ悲劇を止めるためになら力を貸す。鈴木氏、あなたを鍛え上げよう」
「ッ!?」
「我々はあくまで秋葉原周辺。鈴木氏を鍛え上げるから、鈴木氏は自分で横浜の自警に励むのが良し。それが鈴木氏の亡き兄への弔いにもなろう」
「じゃあ」
「我ら大友連合に鈴木氏を迎え入れよう。大友連合総長、このキモオタン・ジョーが許す」
キモオタン・ジョーと名乗った大男は、軽快な笑みを浮かべた。
暴走族は、最初から暴走したくて入る者もいるが、警察の行為がかえって恨みを買って暴走族が増える事も多々あるのだ。