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第8話 炊きたてごはん、そして「おにぎり」

 サラサラと流れる川の音を聞きながら、僕はごはんが炊きあがったらどうするかを考え始めた。


 ――器によそってそのまま、もしくは塩だけで食べてもおいしいけど、父さんにはおにぎりがいいかな。

 たぶん炊き上がる頃には休憩に入るだろうし、握って持っていきたい。

 でもそれなら、おかずか具もほしい。

 ……あ、たしか干し肉とせりがあったはず。あれをちょっとだけもらおう。


 干し肉は隣町に行った際に定期的に買ってくる安い日常食で、せりは山でたくさん採れる。この2つなら、多少使っても怒られないはず!


 浸水が終わったら、蓋をした鍋を火にかけて中火~強火で沸騰させ、吹きこぼれないくらいに火を弱くして5分ほど炊いていく。

 その後弱火にし、水分がなくなるまで加熱したら完成だ。

 蓋をしたまま10分ほど蒸らし、そこから返すように混ぜれば――


「で、できたあああああ!」

「フェリク、そろそろお父さんに食事を持っていくから――って、何かしらこの匂い。いつものカユーと似てるような、でもどこか違うような……」

「母さん、見てよ。これがごはんだよ!」


 僕は炊き上がったごはんを母に見せる。


「こ、これ、お米なの? 水が入ってないのに柔らかそう……」

「じっくり炊くと、米が水分を吸ってふっくらもっちり仕上がるんだ。はいこれ、味見してみて」


 混ぜた木べらでごはんを少し取り、母に味見を促す。


「――っ!? 甘くておいしい……! それに臭みもないし、本当にふっくら。これがカユーと同じ原料だなんて信じられないわ」

「ちゃんと手をかければ、お米はこんなにおいしくなるんだ。それで、父さんの昼食だけど――」


 僕は母に説明し、刻んだせりと干し肉を塩コショウで炒めてもらった。

 これをごはんに混ぜて――握る!

 せっかくなので、1つは塩だけのシンプルなものも入れることにした。

 ごはん本来のおいしさも味わってほしいし!


「はい、母さんも」

「あ、ありがとう。お米をこんなふうにして、ほかの食材と混ぜて握るだなんて。これも神様からの知恵なの?」

「――え。あー、うーん。たぶんそんな感じかな?」

「――おいしいっ! これすごいわ! 干し肉のうまみと塩気、せりのほろ苦さが、このクセのないお米ととてもよく合うっ」

「だろ? 絶対おいしいと思ったんだ」


 早速僕も食べてみたが、本当に、我ながら見事に炊き上げられたごはんだった。

 干し肉とせりの塩コショウ炒めとの相性も抜群で、握ることでごはんに程よく味がなじんで一層完成度が高まっている。


 玄米も栄養たっぷりで捨てがたいけど。

 やっぱり白米の甘みを存分に味わえるごはんは最高だな!

 今までこんな大事なことに気づかず、米を嫌々食ってたなんて。自分を殴りたい!


 これなら、父さんも絶対喜ぶぞ!!!

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