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第65話 広がる米料理、そして衝撃

 アリスティア夫人とフィーユが去ったあとも、僕とアリア、シャロ、ミアはひたすら屋台での食べ歩きを楽しんだ。


 シュワシュワ甘酒で口をさっぱりさせたあとは、薄く切った餅に具材を乗せてピザ仕様にした餅ピザを食べたり、鶏むね肉の唐揚げを買ってみんなで分けたりもした。


 唐揚げは塩麹と酒、生姜で漬け込んで作っている、僕がレシピ開発を手掛けている「ごはんのおとも」シリーズの1つ。

 冷めてもしっとり柔らかいと話題になり、食べ歩きにはもちろん、テイクアウト用商品としても人気を得ている。


 唐揚げを紹介した際、アリアに「これはお米関係ないよね?」と不思議そうにされ、米麹と酒――前世でいう日本酒の作り方を説明したら驚いていた。

 飲酒を疑われたのには焦ったけど。

 適当に「スキルの賜物」で押し切ったのを信じてくれてよかった!


「――ふう、たくさん食べたね~っ!」

「そうだね。工房に引きこもっての研究も楽しいけど、やっぱりこうして実際に売られてるとこを見ると感動するよ。お客さんの反応も見られるしね」


 散々楽しんだあとは、一息入れるため、アリアお気に入りのレストラン「クラット」でお茶をすることになった。

 アリア父が親しくしている、餅ミルクグラタンを最初に出したあの店だ。


「ねえフェリク、見て、あの人餅ミルクグラタン食べてる! あっちのテーブルにはトマトリゾットもあるわ」

「――あ、本当だ」


 アリアは店内を見回し、ヒソヒソと餅メニューや米メニューの並ぶテーブルを嬉しそうに教えてくれた。

 ちなみにこのレストランでは、現在なんと玄米茶も提供している。


「このお茶、工房でも時々いただいてますが、おいしいですよね~っ」

「私もこれ好きです。ほっとします」


 ガストラル帝国には元々緑茶の文化はなかったが、紅茶があるのだから作れないわけがない、と紅茶用に栽培されている茶葉をもらって緑茶を開発。

 そこに炒った玄米を加えて、この「クラット」に売り込んだ形だ。

 緑茶のフレッシュさと玄米の香ばしさを併せ持つ独特の味わいが評価され、今では食後のお茶として楽しむ人も増えてきた。


「フェリク様、お休みの日にお仕事の話で恐縮ですが、今朝、フローレス様が『明日は取材が3件入っていると伝えておいて』と」

「――え、し、取材!?」

「雑誌が2件と新聞が1件、とおっしゃってましたよ」


 そんなサラッとメイド伝いに言われても!

 取材対応なんてしたことないんだが!?

 というか忘れがちだけど、僕一応9歳なんですけど!

 もっと丁寧にフォローしてくれてもいいのでは……。


「そういえばフェリクのパパとママ、起業するんでしょ? その関係じゃない? うちのパパも、何か新しいこと始めるとそういうの増えるし」

「うん!?」

「少し前、パパが『クライス農園』って会社を作ることにしたって言ってたけど」


 聞いてねえ!!!

 なんだよ「クライス農園」って!?


「フローレス商会の中のお米部門があまりに大きくなって、抱えきれなくなってきたからって。フェリクのパパとママは会社の経営は素人だから、うちのパパもお手伝いするって言ってた」

「そ、そうなんだ……」


 ここ2ヶ月くらい、父さんにも母さんにも会えてないからなあ。

 明日からはまた当分忙しい日が続くし、次会えるのはいつだろう?


 ――でも、みんなそれぞれ頑張ってるんだな。

 僕も負けてられない。

 このアリスティア領全域をお米ワールドにするくらいの勢いで、今後もお米料理を広めていこう。

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