表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/133

第51話 「おいしいごはん」は、人を幸せにする

「父さん、母さん」

「――ん? おお、アリアちゃんはもういいのか?」

「うん、僕が教えた組み合わせを家族にも勧めてくるって」

「そうか。にしても、短時間でよくここまで揃えたな」

「本当、お母さんびっくりしちゃったわ~」


 両親にごはんパーティーのことを伝えたのは、今日の昼ごろ。

 そこから準備を進めたのだから、まあ自分でもよくやったと思う。

 もちろん、工房の従業員やメイドさんたちの手伝いがあってこそだけど。


「2人は、何か気に入った組み合わせはあった?」

「全部うますぎて胃袋が足りねえよ。でもそうだな、父さんはこのきのこのオイル漬けってのが好きだな。酒が止まらなくなる」


 きのこのオイル漬けは、オリーブオイルとにんにく、鷹の爪で炒めたきのこ類を塩コショウで味つけして瓶に詰め、オリーブオイルを注いだもの。

 しっかり炒めて水分を飛ばし、瓶詰めする際に空気を抜くことで、保存食としても重宝する。今日出したのも、少し前にたまたま作っていたものだ。


「お母さんは、なめ茸?と青じその組み合わせが好きだったわ。これ、もしかしてお酢と醤油? ちょっとさっぱりしてて、青じその爽やかさと相性がいいわね」

「この2つを組み合わせるとは、さすが母さんだね。そうそう、酢と醤油。あとはみりんと酒、鷹の爪も入ってるよ」


 えのき茸を炒め、酒、醤油、みりん、酢、鷹の爪で味つけしたなめ茸は、前世の幼少期から僕の大好物だ。

 元々は瓶詰めされたものを購入していたが、作った方がコスパがいいことに気づいてから自作するようになった。

 ごはんをおいしく食べるためなら、多少の手間は厭わない。


「ありがとう、参考になったよ。どっちもよく作り置きしてるから、今度渡すね。引き続き楽しんで!」

「フェリクもね。あまり無理しちゃだめよ? あと、メイドさんや従業員の方たちもたまには休ませてあげるのよ?」

「はーい! 分かってるよ」


 あの2人、休みをあげても工房に来るんだよな……。

 僕は別にいいけど、大丈夫なんだろうか。無理してなきゃいいけど。


「――あ、フェリク様」

「ん? ああ、ミア――とシャロも。2人とも楽しんでる?」

「はいっ、それはもう! 以前フェリク様がアリア様に作ったという鮭とチーズ、枝豆の組み合わせを試したんですけど、これたまりませんね!」

「私はこの鶏生姜そぼろというのが好きです。体にじんわり染み渡ります」

「あははっ、ミア、言い方がおばあちゃんみたいっ」

「なっ――誰がおばあちゃんですかっ!」


 シャロの言葉に、ミアは真っ赤になって反論する。可愛い。


 ――この2人、どんどん仲良くなっていくな。

 なんかこう、2人の娘の成長を見守ってる気分だ。いいぞ、うん。


 ちなみに鶏生姜そぼろは、鶏ひき肉とみじん切りにした生姜を炒め、醤油とみりんで味つけしたもの。

 醤油とみりんの甘辛味は、鶏の深いうまみをこれでもかと引き出してくれる。

 そこに生姜を加えることで味に締まりが出て、ごはんのお供としてより最適化されるのだ。


「みんなそれぞれ気に入ったのがあってよかったよ」

「フェリク様はどれがお好きなんですか?」

「僕? 僕は……全部かな!」

「ええーっ! ずるい、そんなの私もですっ」

「私も全部好きです」


 最初は、レシピ本のためのレシピ開発に繋がれば、と思って企画したごはんパーティーだったけど。

 みんな幸せそうに食べてくれてるし、開催して本当によかった。


 ちなみにアリア父は、みんながどのおかずをどれくらい使っているかの統計を取り、「これは売れる!」やら何やら言いつつ嬉々としていた。

 なんというか、うん。べつにいいけどさすがだな!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ