表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/133

第23話 先人の知恵は有難く拝借、でも――

 ぬか漬けは適宜様子を見ながら育てていくとして。

 次はレシピを開発したい。


 今、カユー改め玄米粥から始まって、白米、おにぎり、焼きおにぎりときた。

 おにぎりのバリエーションは無限大すぎてキリがないから、これは空いた時間で増やしていくことにして。

 どうせならもっとインパクトのある、見た目が華やかなメニューがほしい。


「寿司もいいけど、この世界での商品化はハードルが高そうだよな……」


 飲食店でも冷蔵庫――じゃなかった、冷却庫や冷凍庫があるとは限らないわけで、生魚を使うのはあまりにリスクが高すぎる。

 貴族の会食とか、そういう場面でなら全然アリだと思うけど。

 一度は凍らせないと、寄生虫がいたら怖いしな。


 まあでも、握ったごはんの上に具材を乗せるスタイルってのはいいかも。

 いや、いっそのことケーキみたいにすればいいのでは?

 この間のアリアたちの反応からして、絶対喜ばれるだろうし。


 ……うん。

 これ、ほとんどちらし寿司だな!!!


 僕が考えるようなことなんて、既に考え尽くされているというわけか。

 さすが米を愛する同士、いや、先輩方だ。

 先人の知恵は有難く拝借しよう。


「――でも普通のちらし寿司もいいけど、もう一工夫何か……」


 ただ上に乗せるんじゃなくて、層にするのはどうだろう?

 それか、円柱状にして何か巻くのもオシャレだよな。薄く切ったきゅうりとか。

 いや、せっかくならパンと合うおかずと組み合わせて対抗させるか……?

 ハムと卵とか、ベーコンとか、サラダ類もいいよな。

 いっそこんがり焼いてライスバーガーってのも……。


 ああもう! 全部見たことあるやつ!!!

 というか全部僕が食べたいわあああああ!!!!!


 今すぐ目の前に現れてくれないかな、なんて、思わずため息が出てしまう。

 こうした米料理のすべてが、僕が作らないと存在すらしないなんて……。


「あ、あの、フェリク様? やっぱりまだ体調がよろしくないのでは?」

「え、ああ、ごめん。ちょっと考えごとしてただけだから大丈夫だよ」


 ――とりあえず米を炊くか。話はそれからだ。


 僕はキッチンに用意されていた鍋で米を研ぎ、冷却庫に入れて浸水させる。

 今開けてみて気づいたが、冷却庫には既に食材が一通り入っていた。

 あ、氷があれば氷も――と思ったが、氷はなかった。


「この冷凍庫、氷ってどれくらいでできるか分かるか?」

「サイズと量にもよりますが、だいたい5分くらいでしょうか」


 5分て早いな!?


「凍らせたいものを入れて、ここのスイッチに触れてください。冷凍庫内の温度を自動測定して、集中的に凍らせてくれます。勝手に凍るのを待つと、たぶん数時間はかかるかと……」

「な、なるほど!? 集中的に凍らせるのはすごいな……」

「ただ、最初に凍らせるとき、魔導石の消耗も激しいのでお気をつけください。魔導具師様が来られる前に切れてしまうと、中にあるものがすべて溶けてしまいます」


 よく見ると、冷却庫も冷凍庫もメーターのようなものがついている。

 これがゼロになると使えなくなる、ということなのだろう。


 ――いくら好き勝手使っていいと言われてるとはいえ、さすがにフル活用するのは気が引けるな……。今回は試作だし、冷蔵庫で我慢しよう。


 というか、贅沢言っちゃいけないんだろうけど炊飯器が欲しい……。

 この世界、土鍋もないし。

 まあ普通の鍋で炊いてもうまいはうまいけど、でも毎回これで炊くのはさすがの僕でもちょっと辛い。

 うちに置いてきた高級炊飯器、一緒に転生してくれればよかったのに!

 あれめちゃくちゃ高かったんだぞ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ