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第15話 米の邁進劇が止まらない!

「エイダン、これはガストラル帝国の食文化に革命が起きるかもしれない。さっそく話し合って、まずはうちの領内での展開方法を考えようじゃないか」

「アリスティア様なら、そう言ってくださると思ってました。既に親しい仲間に声を掛けております」

「おお、さすがエイダン。仕事が早いな」


 2人は既にいろいろと考えているようで、顔を見合わせてうなずく。


「フェリク君、来週あたり、一度君の家へお邪魔してもいいかい?」

「う、うちに、ですか? でもうち狭いし、何もないし、領主様をおもてなしできるような蓄えも……」

「そうした気遣いは不要だよ。君のご両親に挨拶をしたい、というのと、いろいろと聞きたいことがあるんだ」

「……分かりました。では、また喜んでいただける米料理を考えておきます」


 うちに来てどうするつもりなんだろう?

 挨拶なら、父さんと母さんをこっちへ呼べばいいのに……。

 聞きたいことってなんだろ?


 ◆◆◆


 領主様の屋敷に1泊し、翌日。

 手配してもらった馬車で、アリア父とともにファルムへ帰ることになった。

 帰宅までの道のり、アリア父は僕にいろんな話をしてくれた。

 その中で。


「……そうだ、いっそフェリク君も会社を作ってみるかい?」


 ――え? は?

 いやいや、8歳の子ども相手に何言ってるんだこの人!?


「これだけの可能性があるんだ。恐らく膨大な利益が出る。だから、うちが横取りするのはなんだか申し訳ないと思ってね」

「横取りってそんな。それに会社なんて作れるお金、うちには……」

「君の家には既に田んぼがあって、お米もたくさんあるだろう? まずはその米とおにぎりの作り方をセットにして販売しよう。先日話した試食会の時に話をしてみるよ。屋台を出すのもいいね。おにぎりはまとまりがよくて食べやすいし」


 アリア父は、米の可能性を信じてどこまでも協力してくれる。

 ファルムに戻ってからも、頻繁にうちに来ては僕や父と話をし、進捗具合や今後の計画について伝えてくれた。


 そうこうしているうちに、前々から計画されていたおにぎり試食会も無事終了。

 試食会には飲食店経営者がたくさん集まってくれて、持っていった米はあっという間に完売した。というかむしろ足りなかったくらいだ。

 中には、継続的にうちの米を仕入れたいと言ってくれる経営者も現れた。


「フェリク、すごいじゃないか。おかげで家計も大助かりだ。今育てている米も、既にほとんど出荷先が決まってる。米に予約が入るなんて、こんなこと初めてだ」

「本当、ありがとうねフェリク。まだ8歳なのにこんなに働かせちゃって、なんだか申し訳ないけど……」

「僕も楽しんでるから大丈夫だよ。米活は僕の趣味だからねっ」


 こうしてすべてが順調に進んでいって。

 これからも、この米の邁進劇は続いていくものだと思っていた。

 しかし――


 そう信じていた矢先、事件は起こった。

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