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第129話 新居で食べる晩ごはんは――

 執事グリッドが指揮を執り、僕や工房の従業員含む人員総出で部屋の確認をしつつ屋敷を掃除してまわって、日が落ちる頃にはどうにか完了した。

 まあそもそも新築だし、特に汚れてるわけではないけど。

 ちなみにまだ少なくはあるが、必要最低限の家具類や日用品の類は既に運び込まれていて、生活するのに困ることはなさそうだ。


「ふう、みんなありがとう。お疲れ様。おなかすいたね」

「そうですね、ごはん、どうしましょうか」

「まずは何があるのか、キッチンを確認しよう。今日は何を作ろうかなー」


 領主様が、少ないが当分困らない程度の食料は手配しておいたと話していた。

 本当に、何から何まで至れり尽くせりで申し訳なくなってくるな。

 この恩を返していけるように頑張らなきゃ。


「あ、あの、お待ちくださいフェリク様」

「……はい、何でしょう?」

「まさかとは思いますが、フェリク様も夕飯のご用意を?」

「ええ、そうですよ。グリッドさんは、何か食べたいものはありますか?」

「い、いえその、そうではなく。一家の主となるものに、お仕事以外での料理をさせるわけには参りません! こちらにシェフはいないのでしょうか」


 グリッドは驚き、慌ててその場にいるみんなへ確認する。

 が、みんな肩をすくめて首を振るばかりだ。


「えっと、僕は貴族じゃないですし、シェフは雇ってませんよ。心配しないでください、僕、これでも料理は得意ですから!」

「そ、それはもちろん存じ上げております。しかし、お掃除もお手伝いいただきましたし、料理までとなるとさすがに――」

「料理は僕の趣味なので、させてもらえないのは悲しいです」


 僕がそう返すと、グリッドは返答に困った様子でシャロやミアの出方を窺った。

 そんなグリッドを見かねたシャロが、ふっと笑って答えを返す。


「ふふ、フェリク様はこういうお方なんですよ。私も最初は驚きましたけど! ね、ミア。お屋敷の工房でも、よく作ってもらってたよね!」

「はい。フェリク様の作る料理は絶品です」

「……さ、左様でございますか。承知いたしました。ではせめて、私にも何かお手伝いをさせてください。それからフェリク様、私への敬語は不要でございます」

「……そ、そう? それなら分かった。じゃあ、お手伝い頼むよ。ありがとう」


 こうして僕とシャロ、ミア、グリッドの4人で、屋敷のキッチンへ行き、食材を確認することにした。


「――調理器具とお米は十分あるね。よかった」

「ふふ、新居でのお米料理第一弾ですね!」

「……たしかに。うーん、何がいいかなあ?」


 僕、シャロ、ミア、グリッドさん、それから工房の従業員が6名で、計10名。

 おなかすいてるし、あまり時間をかけずに作りたいというのもある。

 まとめて作れて、おいしくて、おなかに溜まるお米を使った料理かあ……。


「――よし、チーズリゾットを作ろう!」

「リゾットって、たしかクラットで出されているトマト味の……。あれのチーズ版ですか?」

「そうそう、トマトリゾットにもチーズは入ってるけど、今日はよりチーズたっぷりのリゾットにしたいなって。具材はどうしようかなー」

「…………ふむ、リゾットですか。勉強させていただきます」


 グリッドは、興味深そうに僕が食材を物色する様子を眺めている。

 チーズリゾットはけっこう幅広い食材と合うけど、今日は鶏肉にしよう。

 あとはきのこもあった方がいいかな。出汁が出るし。

 野菜は――よし、決めた! この組み合わせでいこう!

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