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第128話 王城から執事さんがやってきた

「えっ? お披露目パーティー?」

「はい。アリスティア辺境伯様やご両親、フグリッドご夫妻、アリア様はもちろん、工場や農場の皆さま――を全員呼ぶのはさすがに難しいと思うので、お偉いさんだけでもお呼びして、盛大にパーッと!」


 お披露目パーティーか、たしかにアリかもしれないな。

 でも、人手が足りるかな……。

 今ここにいるのは、僕とシャロ、ミア、それから工房の従業員6名のみ。

 もうしばらくしたら人が増える予定だけど、当分はこのメンバーで乗り切らなければならない。

 ――屋敷の完成が予定より少し早まったからな。


 そんなことを考えていると、少し離れた先で空間が光り始めた。

 あれは――【転移】の力?

 また何か危険な相手だったらどうしよう……。

 シャロとミアも光に気づいたようで、ミアが僕たちの前に立って警戒を強める。


 しかしそこから現れたのは、執事服を身に纏った初老の男性だった。

 男性は大きなトランクを持ち、こちらへ向かって歩いてくる。

 な、なんだ? というか誰だ???


「あ、あの――」

「あなた様がアリスティア辺境伯家のご子息、フェリク様でしょうか?」

「――え。えーっと、まあ、はい」

「初めまして。私、王城から参りました執事のグリッドと申します」


 お、王城から!?

 そんな話聞いてない!!!


「え、ええと、初めまして。どういったご用件でしょうか?」

「突然お訪ねすることになり申し訳ありません。実は王命により、本日からこちらで働かせていただくこととなりました。執事歴は長いので何でもお申し付けください」


 王城から来たらしい、グリッドと名乗る執事はそう言って頭を下げた。

 というか僕、領主様に土地を借りてるだけの平民なんですけど!?

 先ほど領主様に言われた、「国のお金で屋敷を建てたのだから、フェリク君ももう後戻りできないな」という言葉が脳裏をよぎる。


「え……っと、その、よ、よろしくお願いいたします……」

「そちらのお二方は?」

「メイドのシャロとミアです。元々は父上が雇っていたメイドなんですが、この度正式に僕が譲り受けまして」

「そうでしたか。これからよろしくお願いいたします」

「シャロと申します。よろしくお願いいたします」

「み、ミアと申します。よろしく、お願いいたします」


 おお、ミアがこんなに緊張してるのは初めてみた気がする。

 でもベテランの執事さんが来てくれるのはありがたいな。

 家を取り仕切るのも慣れてるだろうし、分からないことがあったらまずはこの人に聞くことにしよう。


 グリッドは、執事としての務めを果たしてきたほか、執事やメイドを育成する学校で教師をしていた経験もあるらしい。

 無知な僕にとっては、とても心強い存在だ。


「お屋敷のお掃除はもうお済みになられましたか?」

「い、いえ。まだ着いたばっかりで」

「承知いたしました。早速取り掛かります。そちらの二人をお借りしても?」

「はい。僕も一緒にやります! 工房の従業員にも声を掛けてみますね」


 グリッドは一瞬驚いた様子を見せたが、それからふっと表情を和らげ、柔らかな笑みを浮かべた。


「ありがとうございます。旦那様は、国王陛下からお聞きした通りのお方のようですね。お仕えできること、嬉しく思います」

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