第127話 新たな土地の新たな屋敷へ!
王城へ行き、領主様から土地を任されて半年が経った。
僕とアリアは10歳になり、アリアは今、【転移】持ちの師匠となる先生の元で訓練を始めている。そんな中。
「――――こ、これが僕の家、ですか!?」
「どうだい? 国王陛下が資金をたっぷりと下さったからね、いい屋敷になっただろう? 今日から君は、ここの主だ」
「な、なんかすごすぎて現実味が……」
「はっはっは。まあすぐに慣れるよ」
案内してくれた領主様が、誇らしげにそう説明してくれた。
屋敷は本当に豪華で、美しい庭園や小さな農場までついている。
また、敷地内には、研究用の工房も別で建っていた。
こんな大規模な工事、よく半年で終わったな!?
お金の力ってすごい……。
「おめでとうございます、フェリク様っ!」
「おめでとうございます」
一緒についてきたシャロとミアも、屋敷を見上げ、嬉しそうに祝ってくれる。
い、いよいよ新しい生活が始まるのか……!
ちなみにアリスティア家の工房に置いているものは、後日こちらへ運んでもらえることになっている。
「ありがとう、シャロ、ミア。これからもよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いいたします」
ちなみに、フローレス商会が雇っている工房付きの従業員は、そのまま僕の元で働いてくれることになっている。
全員を一から揃えるとなると、説明や教育もやり直しになってしまうため、これにはとても助かった。
「ふふ、国のお金で屋敷を建てたのだから、フェリク君ももう後戻りできないな」
「えっ!? いや……そんな怖いこと言わないでくださいよ……」
ほぼ強制的にこうなったのに、脅してくるなんてひどい!
まあ、僕がお米から離れることはないだろうけど。ノーライスノーライフ!
「それじゃあ、何か困ったことがあればいつでも私かエイダンに頼りなさい。うちへは引き続き自由に出入りできるようにしておくよ」
「ありがとうございます。――本当に、父上が拾ってくださらなければ、僕も家族も野垂れ死んでいたことと思います。僕、頑張ります!」
「……ああ。期待しているよ」
領主様はふっと微笑み、馬車で屋敷へと戻っていった。
「――――さて、これから忙しくなるぞ! それにしても、シャロは本当にうちに来てよかったの?」
「もちろんです! 国王陛下とアリスティア家が期待を寄せるお方ですから。子爵家の娘として、今のうちからすり寄っておかないと☆」
シャロは冗談交じりにそう笑い、こちらに向かってウインクしてくる。
まったく本当、シャロには勝てないな……。
「そんなことよりフェリク様、この度のこと、アリア様にもお伝えしました?」
「もちろん。近々、一度アリアたちも招待するつもりだよ」
「そうですか、それならよかったです」
シャロは心底安心した様子で胸をなでおろす。
どうやら、どうしても僕とアリアをくっつけたいらしい。
「そうだ! フェリク様――いいえ、もう旦那様ですね。旦那様、せっかくですし、ご挨拶を兼ねてお披露目パーティーを開催しませんか?」