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第12話 アリア父の行動力がすごい!

 アリアの家から帰ったあと、僕はアリア父の訪問に備え、自分にできることは何かを考えておくことにした。

 アリア父は顔が広く、うまくいけば協力者も得られるかもしれない。

 それに米だってまだちょこっといじった程度だし、やりたいことはたくさんある。


 ――おにぎりとして売り出すなら、カユー用のさらさら系よりも粘りが強い米の方がいいよな。

 でもお粥もうまければ需要はあるはずだし、2種類に分けて栽培してみよう。


 僕は父にもらった田んぼの半分をカユーに、もう半分をおにぎりに適した米質になるよう【品種改良・米】を施した。

 あとは白米とおにぎりをどこでどう販売、提供するかだけど……。


「お、早速頑張ってるな」

「あ、父さん。明日、アリアんとこのおじさんがうちに来るって。おにぎりを食べて感動したらしくて、売らせてほしいって言われてさ」

「フローレスさんに!? そりゃすごい! さすが俺の息子だな、これはもう将来安泰なんじゃないか?」


 父は嬉しそうに笑い、僕の背中をバシバシ叩いてくる。痛い!


 ――はあ。まったく調子いいよな父さんは。

 スキルが分かった時には【品種改良・米】って、って笑ってたくせに!

 まあいいんだけどさ……。


 ◆◆◆


「――ということがありまして、ぜひフェリク君の力を貸してほしいんです」

「そりゃあありがたい。ちょうどそうした話をしていたところなんです。フローレスさんにはいつも世話になってますし、これでよければいくらでも使ってくださいよ」


 翌日、アリア父は約束通りうちに来た。

 アリア父が改めて事の経緯を説明すると、父は上機嫌で即刻OKを出す。


 ――それはまあいいけど。

 でも人を「これ」扱いするな!


「はは、ありがとうございます。それでフェリク君、昨日領主様にお話ししたらとても興味を持ってくれてね、一度君に会いたいそうだ」

「り、領主様が!? でも、僕みたいな子どもが会って大丈夫かな……」

「とても親切で優しい人だから大丈夫だよ。うまくいけば、良い条件で土地を貸してもらえるかもしれない」


 さ、さすがアリア父……仕事が早い!

 昨日の今日でそこまでの話にしてくるなんて。


 領主様としても、人気が下がる一方の米の使い道を広げられることは、大きなプラスになると考えたらしい。

 普段米を食べないアリア父がおいしいと感じたことも、領主様が興味を持つ大きな理由になったのだろう。

 僕や父が同じことをしても、間違いなく門前払いだったはずだ。


「それから、飲食店をやっている知り合いが何人か興味を持ってくれたよ。だから今度、うちでおにぎりの試食会を開こうと思うんだ」

「す、すごいね……」

「はは、心配しなくても大丈夫だよ。面倒なことはおじさんとクライスさんに任せて、フェリク君は自由に開発に勤しんでくれればいいからね」


 アリア父は僕が不安がっていると思ったのか、笑顔で安心させてくれる。

 本当に、凄まじく頼れる男だ。


「お、俺も!?」

「それはそうでしょう。クライスさんのところの息子さんじゃないですか」

「そうですが、フローレスさんの役になんて立てる気が……」

「何言ってるんですか、私は米農家ではありませんし、お米に関しては素人なんですよ? むしろいてくれないと困ります」

「ま、まあ、それなら……」


 思った以上に話が大きくなっていて動揺を隠せないのは、父も同じらしかった。

 にしても、領主様と直接会って話すなんて初めてだな。緊張する!

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