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第114話 領主様の養子に、だと?

「王都への出張お疲れ様。昨日は留守にしていて悪かったね」

「いえそんな。ありがとうございます」


 翌日、僕は領主様に呼ばれて話をすることになった。

 部屋には今、僕と領主様の2人しかいない。


「それで、王女様にはご満足いただけたかい?」

「はい、喜んでいただけたと思います。それから――国王様がいらっしゃって、今度ぜひ王城へ来てほしいと言われました」

「――うん!? ええと、国王陛下と会ったのかい? 王城へって……用件は? まさかただ遊びに誘われたわけではないだろう?」


 僕は国王様と話したことを、そのまま素直に領主様に伝えた。

 言っていいものか迷ったが、あとから秘密にしていたことがバレてややこしい状況になったら困る。

 ファルムの一件から見ても、この男は間違いなく敵に回したらいけないタイプだ。


「……なるほど? それを君に直接、ねえ」


 領主様は、何かを考えるように視線を外し、眉をひそめる。

 なんだろう、なにか気に障るようなことだったのだろうか……。


「――それはつまり、君を引き抜きたい、ということで間違いないかな?」

「えっ?」

「君はうちの領民だ。身もふたもない言い方をすれば、君は私の財産であり、処遇を決める権利も私にある」

「そ、それはもちろんです」

「そんな君に、私を通さずそんな重要な話をするということは、陛下が君を、自分が有利に動かせる立ち位置に置きたいと思ったってことだろうね」


 な、なるほど!?

 そこまでは考えてなかったが、たしかに国王様は、事前に話したいことを決めてきている様子だった。

 僕がアリスティア領から離れた王都にいる隙に――というのも、ありえない話じゃない。


「え、ええと……僕はべつにそんなつもりじゃ……」

「ああ、すまない。君にそういう気持ちがないことは分かってるよ。じゃなきゃ、こんな早い段階でそんな話、私にしないだろうからね」


 領主様はため息をつき、複雑そうな表情を浮かべる。


「フェリク君、私は本音を言うと君を手放したくはない。しかし最終的には君の意見を尊重するつもりだ。だから何か困ったことがあれば、いつでも相談しなさい。私に言いづらければエイダンにでもいい。君はたしかに優秀だがまだ子どもで、しかも平民だからね」


 領主様は真剣な面持ちで僕を見て、そう不安を滲ませる。

 僕が国王様に近づくことを良く思わない貴族がたくさんいる、ということを懸念しているのかもしれない。


「は、はい。ありがとうございます」


 ――僕みたいな子ども1人、どうとでもできるということなんだろうな。

 まあ分かってはいるけど。


「――いや待てよ。平民でなくなれば、理不尽な要求をされることも少しは減るか。それにもしもの際にも、後ろ盾があるに越したことは……」

「――え?」

「よしフェリク君、君、正式にアリスティア家の養子にならないかい?」

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