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第111話 実は今年、農作物が不作だった

「え、ええと……?」

「ああ、いきなりすまない。君はまだ幼いし、知らないだろうけどね。実は今年は、ガストラル帝国内の農作物が不作なんだ」


 ――――えっ?


「スキル【予報・農作物】持ちの従者によると、来年もあまり豊作とはいえない可能性が高い。このままでは、飢えに苦しむ人々が出るだろう」


 アリスティア領では、お米はもちろん、ほかの農作物も僕が知っている範囲ではとても豊作で。

 まさか食糧不足の危機にあったとは夢にも思っていなかった。


 アリスティア領は王都から離れた辺境にあり、自然が豊かで農家の数も多い。

 そのため、基本的には領内で自給自足できてしまう。

 最近は、米ぬかや藁を活用した栄養豊富な堆肥も充実しているし、僕の【品種改良】と【精米】で、おいしいお米もその活用方法も爆発的に増えている。


「まさかそんなことになっていたなんて……」

「領地を持つ貴族は、数か月に一度、我が城で開催される会議に参加することになっている。その際、皆が不作に悩む中、アリスティア領だけが豊作でね……いったいどういうことかと話を聞いたのだ」

「そこで僕の名前が出た、と」

「そういうことだ。恐らく君のスキルによって生み出された米から育った稲は、米粒だけでなく、稲穂全体が特別なのだろう。だからそれを堆肥とした農作物も、不思議なくらいにうまく育った」


 な、なん……だと……。

 その発想はなかった!!!

 お米が丈夫でおいしいだけじゃなくて、それを堆肥とした農作物全体の生産量を上げられるってことか?

 そんなのチートすぎでは!?


「そ、それは知りませんでした……」

「はっはっは。リアムも、フェリク君は恐らく無自覚だと呆れて笑っていたよ。……しかし君のスキルは、間違いなく国を救う国宝級のものだ。そして私が知る限り、そのスキルを持っているのは君しかいない」

「…………」


 元々はバカにされていた僕のスキルが、まさかの国宝級だったとは……。

 いや、たしかに米loverな僕にとっては国宝級だし、この能力に救われて今があるわけだけど。

 というかこれ、おじさんも気づいてるんだろうか……?

 僕何も聞いてないんですけど!?

 帰ったら小一時間問い詰めたい。


「――まあそういうわけでね、私としては、ぜひとも君の力を借りたいんだ」

「も、もちろん私にできることならぜひ」

「そうか、ありがとう。9歳の、しかも平民の子どもに背負わせるにはあまりに重大な仕事だ。その分、しっかりと褒美も用意しよう」


 国王様と話すだけでも分不相応すぎるのに、まさかの褒美!

 いったい何をくれるというのか……。

 正直今、お金とか割とどうでもいいんだよな。

 どうせ管理してるのはおじさんと両親だし。僕、把握すらしてないし。


「陛下、そろそろ……」

「――おお、もうそんな時間か。分かった。フェリク君、今度遣いの者を行かせるから、一度城へ来るといい。そこで話をしよう。私もそれまでに改めて考えておく」

「お、お城っ――!? は、はい。かしこまりました」

「心配するな。悪いようにはしないと約束しよう。君は、国を救うスキルを持つ大事な宝だからね」


 緊張に青ざめる僕に微笑み、国王は従者とともに帰っていった。


 ――う、うん。

 なんかすごいことになってしまった!!!!!

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