表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/133

第102話 領主様の娘フィーユとの再会

 王都の貴族学校へは、馬車に乗り込んで1分ほどで到着した。

 普通に移動すれば数週間はかかる距離だ。

 さすが、王族お抱えの従者が持つスキル【転移】の力だ。


 王族は、6歳になると王都の貴族学校へ通うことになっている。

 そのため学校内には王族専用のエリアが設けられているそうで、僕たちはそこへ向かうことになった。


「――学校の中にお屋敷があるんだね」

「そうみたいだね。私もここに来るのは初めてだからね。にしてもさすがは王族だ、学校内の仮の住まいとは思えない……」

「学校といえど、どこにどんな危険が潜んでいるか分かりません。このお屋敷は、王家の方々をお守りするためのものでもあるのです」


 屋敷の前で馬車から降りると、王家のメイドさんがそう教えてくれた。

 食事も学食のものではなく、信頼できる専属シェフが作ったものを1人で、もしくはごく親しい友人たちと少人数で召し上がるそうだ。


 ――王族もいろいろと大変なんだな。

 そしてそんな中で王女様とお近づきになれたフィーユ様さすがすぎる!

 あの子、絶対将来大物になるな。

 まあ辺境伯の娘だし、そういう意味でも約束されてそうだけど。


「お待ちしておりました。遠方からお越しいただきありがとうございます。執事のフレッドと申します。カタリアナ王女は現在授業に出ております」

「エイダン・フローレスと申します。こっちはフェリク・クライス。彼がお米開発を手掛けている少年です。あの、アリスティア家の娘が来ているはずなのですが」

「はい。先ほど到着して、今はお部屋にいらっしゃいます」


 僕とアリア父は、屋敷内にある客室へと案内された。


「フェリク――! ……と、エイダンさん。ひ、久しぶりね」


 フィーユは僕の姿を見るなり目を輝かせたものの、横にアリア父と執事がいることに気づき、コホン、と咳をして落ち着きを取り戻した。

 会うのが久々なこともあって、僕1人だったら抱きつかれていたかもしれない。あ、危なかった……。


「お久しぶりです、フィーユ様。アリスティア様の代理で参りました」

「お父様は来られないのね。せっかく王女様とお会いできる機会なのに……」


 フィーユは不満げにため息をつく。


「フェリク様とフローレス様のお部屋は、この1つ下の階にございます。荷物はお運びしておきます」


 執事はそう、一礼して去って行った。

 部屋には今、フィーユと僕、それからアリア父だけだ。


「フェリク、アリアは元気?」

「――へっ? え、ええ。元気ですよ。メイドは辞めて、今はクライスカンパニーの見習い社員として働いています」


 横でアリア父が凍り付く。

 実際はそんなことはないと思うが、アリアとフィーユは僕を巡ってのライバル関係にある、ということになっているためだろう。


「そうなのね、ならよかったわ。あんなことがあったし、メイドとしては居づらいのではないかと心配してたのよ」

「その節は娘が本当にご迷惑を……」

「アリアは何も悪くないわ。悪いのは、意地悪なメイドとわたくしよ。あのメイド、うちであんな騒動を起こしたこと、今頃とても後悔しているんじゃないかしら」


 フィーユは見下すような、蔑むような表情で吐き捨てるようにそう言った。

 やっぱり貴族様を怒らせちゃいけないな、うん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ