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マヨイガ

作者: たぶれっと




初夏。

山育ちの子供の頃。

山育ちと言っても、ホントの山育ちに比べたらナンチャッテだけども。


でも青々とした木々の中、青臭い匂いを嗅ぎながら枝葉を突っ切って広場に出る。


大体山の景色は把握していたつもりだけども、違和感を感じた。

それもそうだ。

藁葺きの家が一軒、目の前に鎮座ましまししているのだから。

山とは言えナンチャッテで、住宅もある開かれた山よ?

藁葺きの家って、どこの観光地よ。

時代おかしいおかしい。


山を走り抜けて息が上がり汗をかき、心拍数高め、興奮のまま、いつもなら取らない行動を取る。




「こんにちわー」




藁葺きの家に近づきひと声かける。

反応無し。

どんな人が居るのか気になった。

あわよくば中を見てみたかった。




「誰から居ませんかー?」




やはり反応無し。

では、 少しほんの少しだけ中を拝見させてもらおう。

誰も居ないであろうけども、抜き足差し足、ヒョコリヒョコリと歩いて開いている扉から中を覗いてみた。



囲炉裏だ………。

凄え!

生でも初めて見た!

鉄瓶がぶら下がって、シュシュンとお湯が沸いている。

その囲炉裏を囲んでお膳が三つ。

白ご飯に香の物、味噌汁に焼き魚。

いずれも湯気を立てている。



本当に今までそこに誰か居て、「いただきます」と食べようとして、全員トイレに行った………?


初めて見る囲炉裏。

風情の塊の色が煤けた藁葺き。

出来たての美味そうな飯が目の前にあるのに、不思議と匂いはしなかった。


誰か戻る前に退散しよう。



ザザッ!

と、藪をかき分けて知らない景色からいつもの住宅の見える景色を目指した。





───目が覚める。



夢か。

ごめん夢やねん。

でもカラーのリアルな明晰夢でな?

この時は、小学生低学年。

マヨイガの情報も知らんかった。

だから何か勝手にアイテムを持ち出せば、福に恵まれるといのを後から知って大層勿体ない事をしたと思った。

まぁ、夢なんだけど。

でもファンタジーなら、夢で持ち出して目が覚めて、手にそれが握られてるってのは良く在る話しじゃないか。

残念。






よく出来た夢で、雰囲気バリバリのマヨイガでした。













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