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やはり私の千葉旅行はまちがっている。

 成田空港。14:55分、現着。

 千葉である。生まれて初めての千葉、それどころか生まれてはじめての関東だ。まあカントー地方なら小学生のころ冒険したりポケモンマスターになったりしたが、関東ははじめてだ。

 空港ではチーバくんがお出迎え。こいついつも舌出してんな。しまえよ、乾くぞ。


 今回の旅の目的は他でもない。俺ガイルの聖地めぐり……はおまけで、本命は栃木県の日光東照宮だ。ごめんよ、八幡。私には、千葉のためだけに飛行機代◯万円も出せないよ……。

 というわけで、初日は千葉を回るつもりだ。とりあえず千葉駅に着いたら“花の都・千葉”モニュメントで一色いろはと待ち合わせをしているので、そのあと“なりたけ”でラーメンデートをし、最後に総武高校……のモデルになった高校で夕日をバックに戸塚と愛を語らうのだ。


 そう思っていた時期が私にもありました。

 しかし千葉駅についたらもう黄昏時。呪霊が出やすい時間帯。いつザコ富士山に襲われてもおかしくない。そんな時間に遊び回れるほど、危機感は欠如していない。

 いや、まだだ! まだ諦めるのは早い。お前のいろはすへの愛はその程度か!? どうでもいいけどとりあえずモニュメント見ようぜ、千葉駅にあるし。


 千葉駅にある、と聞いていたのだが、なかなか見つからない。あっちこっち駆けずり回ってようやく見つけた。が、なんか違う。いろはすと待ち合わせしてたあのシーンと違う! 節子、これアニメちゃう、現実や!


挿絵(By みてみん)


 なりたけへの行き方を見てさらに重い現実がのしかかる。電車とバスを乗り継がなければならない。もうめんどくさいからいいや。ちょっと買い物してホテル行こう。

 というわけで、駅中だけで用事を済まし、東京行きの電車に乗り込んだ。車内のアナウンスで稲毛、津田沼、船橋といった、ゆきのんたちとの思い出ある地名が流れ、感無量。待て、船橋は違う。ゆきのんじゃない。船橋は人間失格の“私”が大庭葉蔵の手記を手に入れた場所だ。なんとなく房総半島南端かと思ってたが、東京と千葉を結ぶ線沿いにあるらしい。電車に乗るだけで学びを得てしまう私マジ抜業因種心(ばつごういんじゅしん)の到達者。なんなら葉の落ちる様子を見て真理に到達してしまうレベル。


 アナウンスを聞くだけでこの充実感。まったく千葉に来た甲斐があったというものだ。はちまんたちが乗っていた総武線にも乗れたしな。なら、満足だ……。


 嘘だ。ぜんぜん満足じゃない。絶対計画がまちがっていた。千葉にまる1日設けるべきだった。稲毛高校見てないし、ゆきのんガハマさんと水族館行ってないし、戸塚とムー大も行ってない。せめて自販機でマックスコーヒー買いたかった。

 まちがっている。こんな俺の千葉観光はまちがっている。絶対にだ。


 東京に着くや、駅を見る余裕すらなく新幹線に飛び込み、宇都宮へと向かった。

 このあと、めちゃくちゃ餃子やけ食いした。

抜業因種心 空海の書いた秘密曼荼羅十住心論に出てくる用語。空海は人間の悟りの段階を10段階に分けた。抜業因種心は5段階目で、小乗仏教における悟りに該当する。抜業因種心まで到達したものは花が散ったり葉が落ちたりする様子から自然界の法則を感得できるとされている。

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