表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

【1】

私は幸せよ。

子供や孫に囲まれてあの世へ逝けるのだから……。


「おばあちゃん! 聞えてる?」

「亜里砂…お母さんはもう…」


 天寿を全うした五十嵐ウメ(98歳)は、子供や孫に囲まれて静かに目を閉じていた。

 特に病気や怪我などしていないが、最近は布団で寝ている時間が長いと近所に住んでいた子供の嫁からの情報で持ち回りで家の様子を見ていたが、とうとう起き上がるのも億劫になったようだった。

 昨日から一度も起き上がらないので、往診をしている医者に見てもらい余命は数日と診断されたばかりで、最期は眠るようだった。


 彼女が次に目を開けたときに日本にはあまり見ない石段の建物に囲まれて、街ゆく人たちは海外の映画で見たような装いだった。

 彼女は驚いたが

「そのひとつかまえて!」と聞えた幼い声に引きつけられ振り返えると若い男が彼女にへ向かって突っ込んでくる。

 とっさにぶつからない程度に避けて足をかけた。

 若い男は勢いよく転び、そこに数人の大人が取り囲こみ、そのままどこかへ連れて行かれる。


「ありがとう。あなたすばしっこいのね」


 身なりの綺麗な幼子が彼女の目の前に立った。


「いえ、たまたまですから」


彼女と幼い少女の目線が同じくらいになっている。


「あなたのおなまえは? おれいがしたいの」

「わたし、わたしは…」


 彼女は先ほどまで布団の上で意識が朦朧としていた。死ぬ間際に夢でも見ているのだろうかと思っている。


「わたしは、【クレア】」

「クレアね! どこにすんでいるの?」

「すんでいるのは…いっ!」


 彼女は、突然の頭痛に顔をしかめる。


「どうしたの!? だいじょうぶ?」


 頭痛がひどくなり、頭を抱える。痛みに耐えきれなくなり意識を失った。

 幼い子供は、この事態にどうしていいかわからず立ち往生している。


「お嬢様。そばに居れずすみません。どういたしました?」

「ジェフ!」


 ジェフと呼ばれた老紳士が幼子のそばに寄る。


「このこがたおれて。さっきわたしのとられたくすりをもっていったひとをとめてくれたの」


 ジェフは倒れている少女を見下ろした。

 身なりは小汚く棒きれのような少女。本来なら、近くの病院へ連れて行くなり近くの人にお金を渡し処置を頼むが捨て置くとお嬢様が悲しむと判断した。


「いったん屋敷に運びましょう。素性は目覚めてからでも聞けるでしょう」

「いいの!?」

「間接的ですが、お嬢様が助かりました」

「ありがとう」


 お嬢様と呼ばれた幼子は、ほっとした顔をしたのを見た時、自分の判断は間違っていなかったと老紳士は思った。


「では、馬車に戻りましょう」

「ええ」


 倒れている彼女を抱え、近くにいる青年と女性に声をかける。


「リオン、ザラ。この子の身寄りを聞き込みしなさい。後々必要になるかもしれない」


 指示を聞いた二人は、うなずくと素早く立ちさった。

 幼子と彼女を乗せた馬車も走り始めた。幼子の分岐点を抱えて。


 ここでセーブしますか? Yes or No


最終的な流れは決めていますが、完走できればいいなと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ