5.裏メニューの任務(1)
\お読みいただきありがとうございます!/
ようやくチュートリアル(登場人物紹介)が終わりました…。ここから本編に入っていきます!
一気にたくさん登場させてしまったので、どこかで登場人物一覧を作ります…orz
「裏メニューの依頼を受けようと思う」
冬至が単刀直入に本題を切り出すと、忍と双子が腰を浮かせて歓声をあげた。しかし、それぞれの上司に睨まれすぐに口をつぐむ。
「岳斗、海斗、それから……紬。君達に今回の仕事をお願いしたいと考えている。ちょっときな臭い内容だから、源太はいつもより多めに護身具を用意してくれ。」
裏メニューの任務を名指しで任された経験がない為、指名されたことに驚いて紬は目を丸くした。双子は嬉しそうに威勢の良い返事をし、名前を呼ばれなかった忍は不満そうに唇を尖らせている。
「「どんな依頼なんですか?」」
机の上に身を乗り出した双子が続きを促す。彼らの上司でもある紫苑がその行儀の悪さに眉を顰めたが、冬至は気にする様子もなく言葉を続けた。
「詳細は依頼主本人に説明してもらおう。今タエ婆と一緒に執務室で待機してもらっているんだ。忍、彼らを呼んできて貰えるかい?」
タエ婆という言葉に「げぇ……」と顔を顰めた双子と源太を無視して、冬至が忍へと微笑みかける。忍はこくりと頷くと、小走りで部屋を後にした。
「相変わらず頼りなさそうなガキ共の集まりじゃこと」
「まぁまぁタエ婆、そんなこと言わないで。あ、お客様、ご心配には及びません。こう見えてここにいる人材は僕イチオシの優秀な者達ですよ」
忍に連れられ、小柄な老婆と背筋がピンと伸びた真面目そうな雰囲気の青年が会議室に姿を現した。開口一番に毒づく老婆を苦笑いながら、所長が生真面目な雰囲気を纏う青年へと声を掛ける。
タエ婆は、冬至達が引き継ぐ前に人材紹介所を切り盛りしていたやり手の経営者で、詳しくは知らないがかなりいい所の貴族らしい。現在は相談役として時々紹介所を訪れ、まだ年若い幹部達を裏側からサポートしている。
経営者としての手腕や彼女が持つ人脈は申し分ないが、いかんせん口が悪く、接客には向かない上に、双子や源太のような血の気の多い若者にすぐちょっかいを掛けたがるのが玉に瑕だ。
「今回は護衛要員としてこちらの双子……岳斗と海斗、そして運び屋として彼女……紬に任務を任せようと考えています。3人共歳は若いですが、その分余計な柵などはありませんし、経験値もしっかりと積んでいます。その辺のごろつきよりも十分お役に立てるでしょう」
冬至が双子と紬を依頼主に紹介する。真面目そうな青年はやや不安気な表情を浮かべていたが、冬至の曇りない眼差しを見て「分かりました」と頷いた。
「では今回の任務について、もう一度詳しくお話し頂けますか? 状況によっては応援人員も検討したいので、ここに居る皆に共有しておきたいと思います。彼らはただの登録者ではなく、紹介所で直接雇用している信頼出来る所員なので、裏切りなどの心配は無用です」
冬至の言葉に青年は緊張した面持ちで頷き、ゆっくりと口を開いた。