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4.公爵令嬢は婚約拒否(完全)をする。

「公爵令嬢よ!本日はよくぞまいった!」


 今日は王宮の謁見の間に呼び出されている。周囲には王妃様や王太子様、第二王子の他に側妃や王子、王女がいっぱいだ。精力剤の効果だね。第二王子が駄目でもって感じかな?その他伯爵以上の上級貴族も参列している。ちなみにお父様たちは家でお留守番。下手についてきて妙な言質を取られても困るからね。


「ご機嫌麗しく存じます。」


「その方10年前の約束は覚えておろうな。」


 なにか勝ち誇ったように見下ろしていますよ。何か策でもあるのかな?


「もちろんです。陛下がハゲたので第二王子との婚約はなしということですよね。」


「くっ!ハゲハゲ言うな!ワシの髪はフサフサではないか!」


「えっでもそれヅラですよね?」


 数年前から妙にカツラ(バッハ風)ブームが起きていましたが、この日のための王家の陰謀だったんだ・・・。ここは私の将来のためにきっちり突っ込んでおかねば。


「確かに見えているのはヅラだが、ヅラだからハゲということにはならない。このヅラは今の貴族や王族のファッションだ。逆に地頭も見えない以上ワシが禿げている証拠などないではないか。ハゲかどうかは観察者がいて初めて分かること。ワシに近づくと不敬罪!ヅラを外すことは誰にも出来ぬ。すなわち観察されない限りヅラの下にはフサフサのワシとハゲのワシが同時に存在しているのだ!すなわちハゲではない以上お主には第2王子と婚約してもらう!」


「なんですかそのシュレディンガーのハゲは!そんなことだろうとは思っていましたよ。でも大丈夫です。こんな事もあろうかと魔王をぶち殺して魔王城から真実の鏡を持ってきました。これさえあれば陛下の頭の真実もはっきりしますわ。」


「何だと?!なぜそんなものが・・・。」


 ちなみに真実の鏡は王国内の重鎮になりすましていた魔王軍の幹部の姿を暴いたことで有名な代物だ。


「これさえあれば魔物が変身していようと、頭を隠していようと真実の姿が白日のもとに!」


 そう言って微笑むと国王が慌てる。


「やめろ!ワシが悪かった。婚約の話はなかったことにするからやめてくれ!」


 陛下が頭を下げてきます。こんな一瞬で諦めるなら抵抗しなければよかったのに。


「そうは言っても10年も引っ張った話ですし、きっちりしておかないとまた婚約を蒸し返されても困りますからね。」


「くっ。お前には人の心はないのか?ハゲにだって心はあるんだぞ。なぜそこまでハゲでは駄目なのだ。」


「私だって悲しいですよ。別にハゲが駄目なんじゃないです。王家がハゲだから駄目なんです。王家のせいで男性の半分くらいが恋愛対象にならなくなってしまったんです。」


 よよよと目の端に涙をためながら答えます。


「どういうことだ?」


「簡単に言うと第二王子を中心に王家と婚約したくないから王家の特徴であるハゲお断りと言ったんです。王家の特徴が金髪だったら金髪アレルギーといったと思いますわ。まあ王家お断りと直接言うのも角が立つのでオブラートに包んでハゲお断りにして差し上げましたのですわ。」


(((((もっとマシなオブラートはなかったのか!?)))))


 周辺から妙な心の声が聞こえる。まあ気にしなくていいか。


「刺激物で出来たオブラートの件はおいておくとしても何だそのDV母の叩く方の手も痛いんです理論は?」


 王太子様からの質問が来る。


「え?王妃様ってそういう教育方針なんですか?」


「うむ。よく悪さをするとすごい笑顔で尻を出させて叩いていたものだ。」


「おお!スパンキングクイーンですね!」


 なんか王妃から女王にジョブチェンジしたよ。思わず感心しているとあっやべって顔に王太子がなった。


「誰がスパンキングクイーンですか!ふざけたことを言わないで頂戴!」


 王妃様がお怒りです。


「大丈夫ですよ。王妃様。私にはよくわかります。」


「そうよね。所詮は息子の戯言だもの誰も信じないわ。」


「性癖をバラされると地味に頭にくるって父ちゃん言ってた。」


 ますます王室に嫁ぐ選択がなくなった。尻は大事ですよ。


「違うから。本当にそんなんじゃないから。」


 必死に否定してるのがますます怪しい。


「いい感じにグダグダになってきたので、そろそろいってみよう!」


 そう言って陛下に鏡を向けると王冠とヅラが透明になる。まあ1時間もすれば元に戻るだろうけどハゲの確認はできた。真実の鏡くんは偽るという行為に反応するらしいからね。


「ぎやあああああああああああああああああああ!」


 断末魔の声が聞こえる。悪は滅びた。終わってみればあっけないものだね。そうやって感慨にふけっていると第二王子が前に出てきた。


「そんなに俺との婚約は嫌だったのか?俺はこの10年で剣も魔法も政治も学んだ。人よりもだいぶ優れているはずだろう?」


 そんなことを聞いてくる。


「もちろん嫌です。随分自信家にお成りのようですが、私はあなたと結婚しても幸せになる未来が欠片も見えませんでしたもの。」


 ないよねー。予知夢のことを抜きにしても第二王子と結婚しても何も得られないし、性格も合わない。それに財産目当ての結婚希望だからなぁ。


「私自身政略結婚に向いている性格ではないということもありますが、文のやり取りや贈り物などふれあいなどもなかったのに結婚に前向きになる要素もございませんでしたでしょう?」


 私も謎知識のおかげで教育は最低限で家庭教師任せ、極力接点を作らないようにしていたというのもあるが第二王子も大概だと思う。彼の方も私が好きという感じもなくただの意地だろうしね。


「仕方ない。賭けの結果が出た以上文句を言うことも出来ないしな。婚約の話はなかったことにしよう。」


 これで無事に私の死亡フラグは折れたと思う。やったね。



第二王子「見よ!この鍛えられた肉体美を!これほどの美しさに惚れない女などいない!」


公爵令嬢「まともに化粧領も持たず、持参金も出せない王子に婿入りの価値なんてないですわ。貴族なめてるの?ハゲのくせにナルシストとか救えない。」

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