3.公爵令嬢は準備をする
両親を土下座させてから2年経った。あれから無事妹が四人出来た。うんめでたい。そして可愛い。めでたいし可愛いけどまだ足りないよね。弟だったらもう少し安心できたのに。
「お母様にお義母様。お二人ともおめでとうございます。」
侍女1号は無事に第二夫人になり色々お節介をしたおかげもあって母親二人の仲はとても良い。妹四人もとても可愛い。今のとこ乳母が面倒を見ているがこれから少し年の離れた姉として色々世話を焼いてやらねば。
「「ありがとう。」」
「これも精力満点の食事と新開発の精力剤のおかげですかね。」
私だって無責任に成り行き任せだったわけではない。魔法の訓練と政務の間にあふれる知識で色々開発を行った。うな丼作ったり、すっぽん鍋を作ったり、マンネリ打破にエロ下着を作ったり、精力剤の開発なんかもした。人間命の危機を前にすると頑張れるものだね。ちなみに精力剤はゴブリンキングの睾丸とオークキングの睾丸を乾燥させて粉状にしたものをブラッディーバイパーの血液に溶かし込んだもの。配合比は極秘である。材料はあんまり触りたくないけど私が飲むわけではないから我慢している。
「材料を考えるとあまり飲みたくはないけど、確かに役には立ったね。」
お父様がしみじみつぶやいている。
「お父様もお母様たちの精神的なケアも含めてお疲れさまでした。」
2年間お父様には執務をさせず、お母様達のために頑張ってもらった。妊娠中のお母様たちの散歩の付き合いなどから私以外の育児の補助に胎教まで育児休暇2年とか極めてホワイトな職場である。執務はお祖父様と私でやった方が手っ取り早かったからということもあるけどね。
「それではこれからも頑張ってくださいね。ああそう新しい妾の侍女2号を紹介しておきますね。精力剤の効果を考えるとお二人だけでは肉体的に厳しいでしょうし・・・。」
お母様たちは微妙な顔をするものの頷いている。妊娠中に新しい妾とかはお母様たちの精神衛生上もよろしくなかったのでこの機会に人員補充だ。
「え?君を政略結婚で使わなくなったからもういいのでは?」
「いえ妹は可愛いしおめでたいのですが、弟が二人ぐらいいないと公爵家としては安心できませんからね。それにシスターズでサッカーチームを作るという新たな野望に目覚めましたのでお父様には頑張ってもらわないと。めざせなでしこ公爵家!」
そう言って微笑むとお父様の顔がひきつっている。
「いや・・・僕もそろそろ執務をだね・・・・。」
「こちらをご覧ください。この一年の収支です。見ていただければ分かるように収入は2倍、お母様たちの交際費も2倍、使用人の給料は1.5倍。それでいて単年度収支で利益も1.5倍です。」
ふはははは!私には政務の才能があったようだ。初期投資がかなりあったが増収増益なのだよ。圧倒的ではないか。我が実績は!まあエロ下着と精力剤が他の貴族に売れまくったからというのが大きいのだけどね。アダルトグッズ制作に勤しむ幼女。嫌な流れだけどね。
「え?どういう事?」
かわいそうだがとどめを刺そう。
「お父様がやるより私が政務をやった方が公爵家は繁栄するということです。」
例の謎知識に農政のこととかもあったしね。ちなみに精力剤の治験を懲役刑の囚人にやったら趣味のBL作家の筆を折らせてしまった。醜いBLって犯罪よね。あとは主に経済犯の禁固刑の罪人に精力剤の治験をやらせて刑期を減らし、有り余る性欲を淫魔族のおねーさん(有料)で発散してもらったら科料になったと言われた。もともと売春の税務追跡は難しかったのが、収監施設が娼館になってまともに課税できるようになったと税務官が喜んでいたしね。おねーさんたちは客が入れ食いでウハウハらしい。金の力で犯罪をやってた連中も減って一石三鳥だ。
「そっそんな・・・」
「なのでこれから公爵家の執務は私が中心にやります。ちなみに使用人は給料上がった結果すべて私の味方です。」
いやまじで。このところ魔法の訓練にも励んで戦闘力も上がっているし謎のカリスマ幼女になっている。
「これから僕も頑張れば・・・」
「なにか具体的にやりたい政務ってあります?」
「社交とか・・・。」
「それで訳わからない婚約話を持ってきましたよね。」
「うっ!」
パパンはパンパンする仕事があるのだからそっちに専念していればいいのだ。
「お父様にはお父様にしか出来ない仕事があります。行って下さい、お父様。あなたを待っている人々がいるのですから・・・。」
そう言って微笑みながら寝室に連れられていくお父様を見送る。いい話だなぁ。気分はまるで生産牧場の経営者だけどね。よっチーレム主人公!チート(娘)とハーレム持ち主人公・・・間違っていないよね。
一方でチーレムの娘としては将来兄弟姉妹がたくさんできるのだからそれに伴って稼がなければいけない。嫁に出す妹が増えれば持参金もたくさん必要だし弟たちの仕事も作らなければいけないのである。手ぶらで嫁入り先に行ったら肩身が狭いでは済まないのが貴族社会だ。子供を作らせた責任は取る。私はヤリステをするクズメンとは違うのだよ。
それに私が逃げ込む女子修道院も確保しなければならない。第二王子や有象無象の婚約希望者から逃げ出すには女子修道院が手っ取り早い。いい男がいれば奴らが結婚したあとに還俗すればいいだけである。だからといってまずしい生活は嫌なので行き先には投資して環境改善が必要。美味しいワインとかチーズの生産をしている修道院も多いのできちんと視察しておかねば。
そんなことをつらつらとやっていると、公爵領の生産力と財産が拡大し、また王家に目をつけられているようである。いい加減にアキラメロン。精力剤のおかげで貴族の間でベビーブームが起きているので探せば相手はいくらでもいるだろうに。私以外で探してほしい。子沢山になって財産分与に支障が出てきているという問題もあるからだろうけどね。
精力剤の材料や金策が必要な事もあって魔法の練習も兼ねて最近ではダンジョンに潜ったりしている。六歳でダンジョン攻略は少し早いけど、護衛を付けているので問題はない。
「ゴブリンキングだ!
オークキングだろう!?
なあ淫魔族だろうおまえ
玉置いてけ!! なあ!!!」
いや精力剤とか催淫剤の材料に必要な素材なんですよ。『妖怪玉置いてけ』とか幼女につけていい二つ名じゃないからね。
あと魔蚕の養蚕に成功した。エロ下着の生地が一層雅になった。アラクネ族と仲良くなって紡績から機織りまでは頑張ってもらっている。彼女たちは量は少ないがスパイダーシルクというとても美しい糸を出すことができる。これは美術面だけでなく防御性能も高いので戦闘服などにも活用できた。数は少ないのでお母様たち用と私の装備が中心だけどね。
王家からたまにお茶会の誘いが来る。ガン無視したいところだけど最低限は出ている。陛下の髪が気になるからね。鑑定スキルが生えてきたので徐々に髪が死んでいるのがはっきり分かる。まあなにか怪しい動きがあるかもしれないから油断はしていないけどね。
ちなみにゴブリンキングとかは迷宮産を主に活用している。迷宮のモンスターはリポップするからね。ボス部屋にいるけどタマタマはドロップアイテムでたまに出てくる。ゴブリンは皆殺しだ!
色々準備をしている間にとうとう約束の10年が経った。
公爵令嬢「妹だけで紅白戦やりますから。」
パパン「そういうのは自分の子供でやる夢なのでは?」
公爵令嬢「私が男だったらそこを目指しても良かったんですけど、流石に無理なので・・・。」