1.公爵令嬢は婚約拒否(仮)をする。
ちょっと時間があったので思いつくまま久々の新作です。
シモネタ多めなので苦手な方は撤退を。
「公爵令嬢!第二王子である俺様は貴様との婚約を破棄する!」
「貴様との婚約を破棄するぅ!」
「破棄するぅ!」
「するぅ!」
「るぅ!」
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なんか知らんがそんな夢とともに膨大な知識が頭に流れ込んできて数日間寝込んだ。
なんだろう?
前世の記憶かな?
実は私の人生はループしているとか?
異世界転生かな?
摩訶不思議な話だけどわからないことは考えても仕方がない。とりあえず齢4歳にして大人顔負けの謎知識を得ると同時に私の婚約破棄される未来がわかった。そういえば最近寝物語に自分のメイドに読んでもらった小説に似たような設定があった。
ああこれは私が悪役令嬢のパターンで婚約破棄されて断罪コースだわ。
なんと言っても私は公爵家の一人娘。未来の王妃の踏み台女だろう。だがしかし、黙って踏みつけられる私ではない。幸い知識もあることだし破滅する運命に抗ってみせようではないか!
夢の中で悪役マリーが言っていた。
「ばかねぇ~婚約破棄されたくなければ婚約しなければいいじゃない。」
そうだ。私はパンより断然ケーキ派なのだ!食パンよりもパンケーキ!正義はたけのこにあり!人生50年までは生きてやる!目指せ食っちゃ寝。理想の平民スローライフ!
という感じで決意を固めたところでお父様から呼び出しが来た。
「よくぞまいった我が娘よ!いきなりですまないが1週間後王宮にてお茶会が開かれることになった。君にはママと一緒にそれに参加してもらいたい。ああ特に何か準備をする必要はないぞ。」
早速の婚約イベントですか?ここで第二王子と引き合わせてあわよくば婚約をということだろう。だがしかしそんな見え透いた手に乗る私ではない。はっきりと断ってやろうではないか。私はNOといえる公爵令嬢!この程度は試練のうちにも入らんのだよ!
「お父様。大変申し訳有りませんが病み上がりですし、急にお腹が痛くなったので欠席させていただきたく思います。」
「え?お腹が痛くなったって一週間もすれば治るよね。」
「いいえ、これは重症です。そんじょそこらの腹痛とは訳が違います。ですのでこのまま自室療養で14日間の自主隔離に入ろうと思います。つきましては面会謝絶の張り紙をお願いしますわ。私の世話は侍女1号のみということでお願いします。」
ふはははは!見たか!きっちり断ってやったぞ。出会いがなければストーリーは始まらないのだよ。「女の名前なのに何だ男か」とか言わないからな!
「なんだか一週間寝込んだら急に難しい言葉を話すようになったね。でも大丈夫。そんな場合に備えて公爵家には優秀な治癒師がいるからね。治癒魔法で一発だよ!」
なん・・・だと・・・・。
治癒魔法なんてあるのか。ここは剣と魔法のファンタジー世界だったのか?っていうか魔法とかあったんなら先に教えてくれれば現場で王子を薙ぎ払えるじゃないですか!覚醒してから時間がなかったのが恨めしい。
「チッ腐ってやがる。早すぎたんだ・・・・。」
「え?なんだって?」
「何でもありません。ところで出席だけすれば良いんですよね。間違っても誰かと婚約させられたりとか余計な顔合わせを含んでたりはしませんよね。」
第一作戦は失敗したがもちろんこんなことで私は諦めたりはしない。それにしても一国の代表でさえ2回も辞任できた腹痛作戦がこうも簡単に失敗するとは、ファンタジー恐るべし。政治家はファンタジーよりも奇なりとはよく言ったものだ。
「ええ、ああ、多分大丈夫じゃないかな~。」
「わかりました。ではそういう話が出たらきっちりかっちり断らせていただきます。言質は取りましたからね。」
お父様の目が泳いでますね。これは確実に企んでいます。
「ああ了解してくれて嬉しいよ。」
(まあ第二王子はイケメンだし歳も2つ上で釣り合っているから面通しをすれば今回は無理でも外堀を埋めれば婚約者に収まるだろう。王家からの打診だから断れないしね。)とか考えてそう。これだから貴族ってやつは・・・。どうやら私は謎知識の流入とともに貴族社会に嫌気が差したらしい。目指せ平民!金だけ稼いで貴族の義務とやらは捨てていこう。
「ではお父様のお願いを聞いたので、私もお父様にお願いがあります。お茶会から返ってきたら魔法の勉強がしたいので家庭教師を付けてくださいませ。娘の学習意欲を削ぐような真似はしませんわよね!」
今回断っても色々根回しもされそうだし、対抗策を一つでも多く確保しなければ!権力の源泉は暴力!平民として生き抜くためにも、いざというときは薙ぎ払わなければ!
一手先へ!もっと先へ!確実に婚約がなくなるまでは私は決して止まらないのだ!
「わっわかった。ちゃんと魔法の教師は用意するからちゃんとお茶会では良い子にしているんだよ(なんか嫌な予感がするけど気のせいだろう)。」
そういうことで出会いイベントに強制参加になってしまった。くっこれが世界の強制力か!殺せ!
そうしてくっころごっこを自分の中で終わらせたあとあっという間に一週間が過ぎ王宮でのお茶会に来ていた。
そして予定通りに第二王子が目の前にいる。
「貴様が公爵家の娘か?」
「左様にございます。」
挨拶ぐらいはしてやろう。
「父上と母上から貴様が筆頭婚約者候補だと言われた。せいぜい俺様に恥じぬように尽くすことだな!」
これが噂の俺様王子か・・・・。流石にこれはホント無理。婚約破棄とかなくてもこいつと一緒の時間を過ごすとかないわ~。これがいわゆる生理的に無理というやつだね。
「え?お断りですけど?」
ふはははは!言ってやったぞ!私は空気を読まないからな!というか空気って無色透明だから読めないよね。
「なに?」
「聞こえなかったんですか?お断りだと言ったんです!断固拒否です!断固サ○ラギ!断固公爵令嬢!」
ふはははは!断固たる決意ってやつはすでに出来ているのだよ!
それにしても王子は耳が悪いんですかね。まあお父様にきちんと了解を取っているから問題なしです。
「きっ貴様は王家の要求を断るというのか!」
「お断り~!お断り!お断りお断りお断りお断りお断りお断りお断りお断りお断りお断りお断りお断り!お断り~!ワタクシ様の婚約者になろうなど10年早いわ!」
第二王子の顔をお断りの文字で埋めてやったぞ!どうだ、このわたしのスタ○ド能力は!いやどちらかというと味○子かな?
そんなことをして満足していると顔を青くした王妃様とお母様が仲裁に入ってきた。
「むっ娘ちゃん。どうしてそんな事を言うの?良い子にしているってお父様と約束したでしょう?」
お母様がそう言ってきますが私の答えは変わりません。
「きちんとお父様には婚約関係の話が出たら断ると告げています。それにこんな上から目線の俺様王子なんて婿養子にもらっても公爵家が苦労するだけです。家にとってはよそ者なのに態度がなってませんよ。能力も未知数なのに態度も悪いとか付き合っても楽しくないですし政略結婚にしても我が家に利益がありませんもの。それにいちばん大事なのことは、私が相手をするのが嫌だと言うことですわ。」
そもそも第二王子って微妙なんですよ。基本的にスペアだから婿入するにしても第一王子の成長やその子供の成長次第という面もあるし、王族としての立場もあるから、公爵家の運営に全力を傾けられるでもないし。しかも私しか理解できないとはいえ、未来は婚約破棄だしね。そしてお家もろともお取り潰しコース。そんな連中にしっぽ振るとか意味ないから。
「確かに今日の婚約という話はしないということは聞いていたし、息子の態度も悪かったと思うけど、まだ婚約者候補の段階だし受け入れてくれないかしら?我が子ながらハンサムだしきっと貴方とお似合いのカップルになると思うの。」
王妃様はワンクッション置いて外堀から内堀まで一気に埋めにかかる気のようですね。そんな大阪冬の陣の狸みたいなことはさせませんよ。
「婚約する気がないのに候補になるのは無駄です。それに私は知っているのです!」
「「何を知っているというの?」」
子供であろうと容赦はしない!相手の第二王子は年上だしね。現実というものを見せてやろうではないか!
「第二王子は将来ハゲます。それも30前に!ハンサムなのにハゲているというのはとても侘しいものです。人生50年として結婚するのが20としたって結婚生活の3分の2を侘ハゲの伴侶で寂しい生活をするのは嫌です!」
「何だとおぉぉぉ!俺様が将来ハゲるだと!そっそんな証拠がどこにあるというんだ。」
ハゲしく動揺していますね。では介錯してやろうではないか。俳句を詠め!慈悲はない。
「私の見た予知夢に出ていました。先王様はご存知のようにお亡くなりになりました。もちろん人生ではなく毛根の話です。そして現王様も王妃様はご存知でしょうがだいぶ薄くなっています。そして予知夢で見ましたが、このまま行くと10年以内にお亡くなりになります。もちろん毛根の話です。」
そう言って王妃様の目を正面から見ようとしたら視線をそらされました。ちなみに国王陛下は20代なかば、先王陛下は隠居して悠々自適だ。
「え?母上?本当のことなのですか?」
第二王子の顔が絶望に染まります。もう一息です。追撃しましょう。
「これは遺伝というもので、王家の男子に代々引き継がれてきた特徴です。」
「嘘だ!」
と言ってよバーニー。ところがどっこい本当でした。
「本当です。嘘だったら婚約してもいいですよ。第二王子がハゲるのは20年以上先ですが、国王陛下は10年後にはっきりします。そのときに国王陛下の髪が侘びしくない程度に残っていたら婚約を受け入れましょう。まあそんな先まで婚約者を決めないのも問題なので他の令嬢と婚約することを勧めますが・・・。」
「10年後だな!10年後に父上の髪がふさふさだったら俺の嫁になるんだな!」
あれ?ちょっとムキになってます?ちなみに結婚できるのは16歳からです。
「そうですね。その時は仕方ないので婚約しましょう。その時王子に婚約者がいなければという条件も付帯しますけどね。ですが10年待つと婚約者候補も減っているでしょうし将来ハゲる王子の婚約も難しくなると思いますがよろしいのですか?分の悪い賭けだと思いますよ。」
そう言って王妃様を見ると割と生気がなくなっていた。政治的に公爵家と結びつきたいということと勝率の間で心が揺れているのだろう。
「とっ、とりあえずは今回は婚約という話はもともとなかったわけだし、時間を置いてまた話し合いましょう。」
王妃様も日和ったね。まあいい。賭けに乗らなければ将来ハゲると公言したようなものだ。もはや逃げることも叶うまい。これで10年間の時間的猶予は出来た。悪あがきしようと髪は死ぬ。その間に次の手を打とうではないか。やらせはせんぞ! 貴様ごとき第二王子に、婚約などやらせはせん! この私がいる限り、やらせはせんぞーっ!
ということで無事王宮でのお茶会は終わった。
ちなみに国王陛下は割と初期に流れ弾にあたって戦場(お茶会)の片隅で撃墜されていた。お父様と一緒に「ここは王妃の戦場だ。我々の出番はないよ!」なんて油断しているからだ。お父様は陛下のとなりで衛生兵になっていた。道理で静かだと思ったよ。
公爵令嬢「セルジ国王のことは気にするな。」
パパン「流れ弾当てた人が言うセリフじゃないから!っていうかセルジって誰?」




