ランタール国王に会う
今日はまた緊張からか早く目が覚めた。みんなの寝相と寝顔を見てほっこりして、元気パワーを充電してからむぎゅーっとしてみんなを起こす。
「ふふ、みんなおはよう」
『おはようくま!』
『おはようぴょん!』
『おはようぱん』
『おはようぴよ~』
お出かけ準備をしてから朝ごはんを食べに食堂へ向かう。
「エミリアさん、おはようございます」
「ハルちゃん達おはよう。今ご飯持ってくるわね~」
みんなにクリーンを掛けてテーブルに乗せてあげて仲良くご飯を食べる。食べ終わったらエミリアさんにご挨拶をしてから宿を出る。
宿を出て商業ギルドへ向かう。商業ギルドの受付に行くとギルマスの部屋に通された。
「おはようございます、今日はよろしくお願いします」
「おはよう。今日はよろしく頼むな」
国王様にはもう話しは通してあるのでそんなに緊張しなくて良いと言われた。ほとんどはギルマスが話をしてくれるみたいだ。もう全面的にお任せします。
馬車を準備して貰っている間に冒険者ギルドのギルマスも到着して一緒に行く事になった。馬車の中でフリーズドライの話になった。
ひぃろがそぉっと膝の上に来たのでなでなでなでなで。
「そうだ、ハル。冒険者ギルドで先日のフリーズドライを買いたいんだが、販売の方はどうなっている?」
「まだ錬金ボックスを作ってないんですよね……後はお味噌汁だけじゃなくて他の汁物やお料理も作れると良いかなと思うんですよね」
「まだ調味料を作ったりしなきゃいけないからな。それからだと思うぞ。ハル、他の料理にも使えるのか?」
「はい、お味噌汁だけではなく色々な料理で使えるように出来たらと思います。やっぱり外で温かい物が食べられると助かるかなと思って」
今度はベリーが膝の上に来たのでなでなでなでなで。
「そうだな。依頼中とか冒険中に外で温かい物が食べられると元気が出るし、身体が温まるからなぁ」
「まずは汁物だけの販売で始めたら良いかと思うぞ」
「そうですね、そこら辺はお任せします」
まずは汁物だけの販売になるそうだ。どういう錬金ボックスにしようかな……お鍋ごと入れて作りたい数を指定すれば良いかな。
「錬金ボックスですが、スープを作ったお鍋ごと錬金ボックスに入れて何個作るかを指定する感じで良いですか?」
次はタルトが膝の上に来たのでなでなでなでなで。
「あぁ、そうだな。スープの量次第で何個出来るか変わってくるだろうからな」
「あれはどうやって固めているんだ? あの固めてあるのでとても助かるんだが、不思議でなぁ」
「私も何かはよく分かってませんけど、錬金する時にスープの味を変えない無味無臭、体に害のない物、そしてお湯で溶ける物って考えて作ったんですよ。なので材料は……ね?」
「なるほどなぁ……持ち運びや衛生面も考えてくれたんだろう? ハルは冒険者の事も商売の事も分かってくれているから助かるな」
「自分も冒険者で野営もしますからね。商売の事はクラフティア王国の商業ギルドにお任せしちゃいましたけどね」
今度はライチが膝の上に来たのでなでなでなでなで。
「はは、そうだな。書状にも色々書いてあったからな」
(えっ!? ビスコさん一体何を書いたのー?!)
「えっ!? な、何を一体……?」
「普通ではなかなか思い付かない事を思いつくから頼むってだけだぞ。ランタール王国にいる間に思い付いた物は言ってくれて構わないぞ。うちも全面的に協力をする事を誓おう」
「えっと、ありがとうございます」
またひぃろが膝の上に来たのでなでなでなで……。
「冒険者ギルドもA級冒険者はなかなかいないから全面的に協力させて貰うぞ!」
「ありがとうございます」
「所で……それはずっとやってなきゃいけないのか?」
「はい? 何をでしょう?」
「ははは、気が付いてなかったのか? ずっとなでなでしてただろう?」
「えっ!?」
ギルマス達に膝の上を指刺されたので見てみると、ひぃろが膝の上にいる。みんなも私の側で順番待ちをしている。
「えっと……ほとんど無意識でした。私なでなでしてました?!」
「ずっとしてたぞ」
「あぁ!」
「す、すみません」
(つい無意識でなでなでしてた……)
みんなが膝に乗るとつい無意識でなでなでしていたみたい。でもおかげで緊張もだいぶ和らいでいる気がする。
そんな話をしていたら王城に着いた。ここのお城もやはり赤やオレンジを使っている箇所が多いから暖かい感じがして良いね。
王城に付いてまずは調理場に案内された。まだギルマスにも錬金ボックスを使う所を見せていなかったので、まずは調味料を作る所から伝える。
ひぃろ達はタルトだけフードにいて貰って、バングルのお部屋にいて貰う事にする。
材料と使い方を教えながら次々に調味料を作っていく。全部出来たら今度はお料理を作ろう。今日のお料理を料理長とも話し合って決めていく。
今日のメニューは、味の違いが分かる唐揚げ(醤油味、味噌味、塩麹味)、お味噌汁、オムライス、焼きおにぎり(味噌、醤油)、サラダにしようかな。足りるかな……ちらっとギルマス達を見てしまう。
(どれくらい食べるのか見当も付かない……)
メニューが決まったら料理長に説明しながらお手伝いして貰って作る。驚いたり質問されたりしながら次から次へと料理を作っていく。皆さん興味津々でお手伝いしてくださるのでとっても早く料理が出来上がった。
お料理が出来たら国王様の所へ案内される。そしてまたお着替えなくこのままなのですね……。
(いいのかな、耳付きフードで国王様の所へ行って……)
お料理が終わったので、タルトにお願いしてひぃろ達を呼んで貰った。ギルマス達が挨拶した後、私の紹介もしてくれた。
「楽にしてくれて構わないよ。ここは人払いが済んでいるからね。言葉も普通で良いよ」
「ありがとうございます。初めまして、冒険者のハルです。こっちは獣魔のひぃろ、ベリー、タルト、ライチです。よろしくお願いします」
「クラフティア王国からの書状があるって聞いたけれど、出して貰って良いかな?」
「はい、こちらです」
アイテムボックスから取り出して国王様に書状を渡す。国王様はそれを読み始めた。
「この錬金ボックスを見せて貰っても?」
アイテムボックスから取り出してテーブルの上に置く。
「こちらです」
国王様から説明を求められたので、説明していく。粒の実の木もクラフティア王国と同じように王城の敷地内で育てる事にすると言われたので、場所が決まり次第私が植える事になるようだ。説明が終わると味が見たいからと食事の時間になった。
「スライム達も好きにいていいよ。一緒に食べよう」
「ありがとうございます」
みんなにクリーンを掛けてテーブルに乗せてあげる。ライチは私と一緒に食べる事にする。
「美味しい! こんなに美味しい料理は初めてだよ。これはクラフティア国王に感謝しないとね。まさかこんなに美味しくなるだなんて思わなかったよ」
「良かったです」
「本当にこれは旨いな。これは確かに国が主体になり商業ギルドが窓口になる訳が分かった」
「これは本当に旨い! 冒険者達の飯の向上も楽しみだな」
話の流れに合わせて、フリーズドライの話も続ける。これも興味を示した国王様に実際にどんな物かを見せて説明をして、これも国が主体で動く事になった。
国が主体に動いてくれるので私がやる事はとても少ない。錬金ボックスを作る事と粒の実を植えるくらいで後はお任せだ。旅をしたいからとても助かります。と私が考えている間も国王様とギルマス達で話が進んで行く。
またここでも私のギルドカードに毎月振り込まれる事になった。何もしなくてもお金が増える事になったみたい。新しい物を見つけてこよう。
ひぃろ達も美味しそうにご飯を食べている。そして凄いのが国王様もギルマス達も話をしているのにお皿の食べ物が減っていく事だ。いつ食べているんだろうと思うくらいに話し合いが進むのに食べ物もガンガン減っているのが不思議すぎる。
食事と話しが終わった所でギルマス達と商業ギルドへ馬車で帰る。馬車で帰る間もひぃろ達が次から次へと私の膝の上に来るので、ずっとなでなでしていた。
粒の実を植える時は声を掛けてくれる事になった。明日から北の火山へ行く事は伝えておいた。当分は王都を中心にランタール王国を旅するので、グラン亭に伝えておいてくれるそうだ。これで安心して旅に出られるね。ランタール王国も行きたい所だらけだから楽しみだ。
それと冒険者ギルドのギルマスから、ここの王都の近くにもダンジョンがあると聞いたので今度行ってみようと思う。ここのダンジョンからはドロップ品で装備品が出るらしい。クラフティア王国では食材ダンジョンだったけれど、ここは装備品ダンジョンなんだって。それはそれで面白そうです!
商業ギルドで馬車を降りて、ギルマスに錬金ボックスを預けて宿に帰る。宿に帰ったらすぐにお夕飯を食べてお部屋でのんびりする。
「今日は一日大変だったね、みんなもお疲れ様ね」
『ハルもお疲れ様くまよ』
『今日は早く休んで明日から火山へ向けて出発するぴょんよ~』
「そうだね、明日からは火山に向けて出発しようね」
『ハル、疲れていたら休むぱんよ?』
「うん、大丈夫だよ。ありがとうね」
『ハルが休めるようにすりすりするぴよー!』
『あっ、ぼくもくまー!』
『私もぴょん!』
『ぼくも行くぱん~!』
みんながすりすりしに来てくれたので、みんなをむぎゅむぎゅっとしてもふもふっとしてなでなでしてそのまま寝る。
読んで頂きありがとうございます。
ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




