王都へ1
「みんなおはよう!」
『おはようくま~』
『おはようぴょん!』
『おはようぱん』
『おはよぴよ~』
昨日沢山遊んでぐっすり寝たから、みんなすっきり起きられたね。旅に出る準備をしてから食堂へ向かう。
みんなで仲良く食事をして、手続きをして貰って宿を出る。王都へは北門を出て更に北へ向かうので、北門へ向かう。門番さんに手続きをして貰い外に出る。
今日はのんびり歩いて王都へ向かう。途中採取出来る物がないか、鑑定をしっかり発動させておく。そういえば、後で休憩する時に錬金ボックス作らなきゃだね。2個ずつあればいいかな。
みんながぽよんぽよん跳ねる度に揺れるしっぽを見ながら錬金ボックスの事や、冒険者のご飯の事など考えながら進む。冒険者ギルドのギルマスが簡単に食べられる物を言っていたけれど、何か良いアイデアはないかなぁ。
日本だと、缶詰とかレトルトがあるけれど……こっちの世界ではビニール袋とかないしなぁ。他には何があったかなぁ……。
「あっ! フリーズドライ!」
(あっ、声が出ちゃった)
『ハル? どうしたくま?』
「ごめんごめん、思いついたらつい声が出ちゃった」
『ふふ、ハルどうしたぴょん?』
「冒険者ギルドのギルマスが簡単に食べられる物を考えて欲しいって言っていたでしょう。良い物思いついたらつい声が出ちゃった」
『それがふりーずどらいぱん?』
「うん、そうだよ。私が前にいた場所では普通に売っていたんだ。スープとかを乾燥させてお湯を注ぐだけでスープになったりするんだよ」
『美味しいのぴよ?』
「うん、後で作ってみようか」
フリーズドライなら、冒険者達が持って行くのに悪くなりにくいし、お湯を入れるだけですぐに食べられる物が出来るから良いと思う。お昼ご飯の時に試してみよう。
粉だと持ち運びにまた大変そうだし、持ち運びに便利な物ないかなぁ。あっ、でも錬金でそういう仕様で作って貰ったら良いのでは?
お湯を入れたら溶けて食べても無味無臭、無害な物でパックした物を出して貰えば持ち運びにも便利だし、良い気がする!
さらに、日本のフリーズドライは食感が大分違う物もあるけれど、戻す前と戻した後も食感が変わらない物を作れるように錬金したら良い事に気が付いた。日本と同じにする事ないんだもんね、錬金スキルで思ったように作って貰えばいいんだよね!
錬金ボックスでもそういう仕様で作ればきっと出来るはず! まずは錬金スキルで作れるかを確認だね。
(ふふ、新しい物を作るのってわくわくしちゃうね)
それからまた1時間くらい歩いた所で休憩する場所をみんなに探して貰う。場所が見つかったら飛ぶこたつを出してお昼ご飯の準備をする。フリーズドライの試作もするから、土魔法で土台を出してコンロも置く。
まずはお昼ご飯だね。今日は昨日屋台で買った物と、スープを作るくらいで良いかな。フリーズドライにしやすいお味噌汁から作ってみようかな。
具材は何にしよう。お味噌汁だからお豆腐……あっ! 海に行ったときににがりを作り忘れた! お豆腐欲しかったなぁ……しょんぼり。
具材はとりあえずシンプルなのから試してみようと思うので、ネギにしてみよう。
お味噌汁が出来たら、半分フリーズドライを試してみる。良く思い浮かべる。
「錬金!」
(おぉ、ちゃんと出来ている!)
『ハル、それなにくま?』
「これがお味噌汁を粉にして持ち運びが出来るようにパックした物なんだよ。これにお湯を入れるとお味噌汁になるんだよ」
『そのまま入れて良いぴょん?』
みんなには、お味噌汁とフリーズドライのお味噌汁と両方出してあげる事にする。味見は大事!
「うん、このままコップに入れてお湯を注げば良いんだよ。さぁ、お昼ご飯食べよう!」
『お湯を入れたらお味噌汁になったぱん!』
『ハル、凄いぴよ!』
みんなでご挨拶をして食べ始める。うん、ちゃんと出来ているみたいだ。これなら持ち運びも出来て温かい物をすぐに飲めるかな。確かフリーズドライってほとんどの物が出来るんだよね。ご飯類も出来るようになりそうだよね。
『ハル凄いくま! ちゃんとお味噌汁になってるくまー!』
『凄いぴょん!美味しいぴょん!』
「ふふ、良かった。これなら色々な種類を作ったら楽しめそうだね」
『ハル、これ良いと思うぱん! どっちも味が変わらないぱん!』
『みんなたすかるぴよね!』
「じゃぁ、王都の商業ギルドに行ったら伝えてみようね」
お昼ご飯を食べた後は、お片付けをしてまた歩いて王都へ向かう。今度はライチはみんなと一緒にぽよんぽよん跳ねて行くというので、ひぃろ達とぽよんぽよんしている。
小さいライチが一生懸命跳ねているのはとても可愛いけれど、疲れちゃわないかちょっと心配。そう思っていたら、ひぃろがライチを頭の上に乗せてあげていた。
「ふふ、ひぃろお兄ちゃんみたいだね」
『ライチと一緒に歩けるの嬉しいくまよ~』
『ひぃろありがとぴよ~』
頭にライチを乗せたひぃろとベリーとタルトがぽよんぽよん歩く姿を見て癒されながら進んで行く。ベリーとタルトも途中で変わるよって声を掛けているのが聞こえた。うちの子達は本当に良い子達で幸せだなぁ。
それから少しして、ひぃろが立ち止まった。
『ハル、誰か戦っているみたいくま』
「えぇ!? 大丈夫だと良いのだけど……」
『それがちょっと危なそうな気がするのくまよ。囲まれているみたいくま』
「わわっ、それは大変! 助けがいるかどうか見に行こう!」
『確かに危ない感じがするぱんね。ハル、シールド張っておいてぱん』
「うん、分かったよ」
全員にシールドを張る。ライチは私の頭の上に来て貰う。急いで襲われている現場に行ってみると、豪華な馬車に何かが襲い掛かっていて馬車が大分壊されている。良く見てみると、ハイオークと見たことのないオークがいた。周りでは騎士と思われる人達が戦っている。
「あのオーク見たことないけれど、何だろう?」
『あれはオークジェネラルくまね。強いくまよ』
「あっ、危ないっ!」
騎士の人がやられそうだったので、シールドを掛ける。それから助けに入る事にする。
「あのっ、助けはいりますか?」
「助かる! って子供?! こいつは強いから早く逃げるんだ!」
「大丈夫ですよ。今助けに入りますね!」
馬車にシールドを張り、騎士の人達にもシールドを張る。ベリーにはみんなにヒールをして貰う。ひぃろは土魔法で分断してもらってから攻撃だ。ライチにも攻撃をして貰う。
「シールド!」
『ヒールぴょん!』
『アースウォールくまっ!』
『ファイアーアローぴよっ!』
さすがにオークジェネラルは強いみたいだ。強めの回転を掛けたウォーターカッターで倒す。ぽふん! とアイテムがドロップして倒したことが確認出来る。これで全部倒したかな?
「大丈夫ですか? エリアヒール!」
「あ……あぁ。小さいのになんて強さだ……」
「それに怪我が治ってるぞ!?」
騎士の方達に驚かれているけれど、馬車の中大丈夫かしら……? 私が馬車を見ると、騎士さんも思い出したみたいなのでシールドを解除する。こんな豪華な馬車ってことは偉い人って事かな? なんか横に紋章が見えるし……。
「御怪我はございませんか?」
「はい、大丈夫です」
「私も大丈夫ですわ」
騎士の1人が馬車に声を掛けると、不安そうな声だったけれど怪我もないという返事が来た。馬車が壊れているので、騎士さんがそっとドアを開けた。さっきのエリアヒールで多分馬車の中も回復されていると思うけれど、怪我がなくて良かった。
ドアが開いて馬車の中から降りてきた人を見てびっくりした。金髪碧眼のとても可愛いらしい7~8歳くらいの美少年と美少女だった。
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