食材ダンジョン4
朝起きると、やっぱりみんなどこかにコロコロ転がっている。テントをそぉっと出て朝ごはんを作ろう。そういえば、ボスは復活してなかったみたいだね。テントを出て目の前にいたらびっくりだったね。
朝ご飯は、フレンチトースト作ろうかな。パン、卵、砂糖、バニラオイル、牛乳を出して作り始める。後はベーコンを焼いて食べようかな。お茶は温かい紅茶を入れよう。
卵液に浸したパンを次々焼いていくと、甘くてとても美味しそうな香りがしてきた。ひぃろ達も香りにつられてテントから出てきた。
「みんな、おはよう」
『おはようくま。美味しそうな匂いがするくま~』
『ハル、おはようぴょん。今日の朝ご飯は何ぴょん?』
「今日はフレンチトーストだよ」
『おはようぱん。ふれんちとーすとぱん?』
『ハル、おはようぴよ! 美味しそうぴよ~』
「パンにプリン液を浸して焼いているからフルフルの柔らかいパンなんだよ。今日は蜂蜜を掛けて食べようね。一緒にベーコンも焼いてあるよ」
みんなでご挨拶をして食べ始めると、みんな気に入ったみたいで夢中だった。フレンチトースト美味しいよね、ベーコンの塩気で更に美味しくなるのだよね。しかし、メープルシロップ欲しいなぁ。
みんなで美味しく食べた後は、お片付けをして26階へ下りる。
26階へ行くと、大人の身体よりも大きな豚が歩いていた。でも何か変……よく見てみると、背中に玉ねぎみたいなのが乗っている。あれは何だろう??
「あれは何だろう?」
『あれはぶたまねぎくまよ~』
「ぶたまねぎ? えっ、またそのシリーズなの!? 豚と玉ねぎってこと?!」
『ハル? ぶたまねぎぱんよ~』
「う、うん……そうだよね」
気を取り直して、ぶたまねぎを倒してみる。ぽふん! とアイテムをドロップする。ドロップ品は討伐記録、豚肉、玉ねぎ、ネギだった。
(えっ?! ネギも出るの?!)
玉ねぎだけかとおもったら、ネギも出てびっくりした。まぁ、玉ねぎもネギも美味しいから良いんだけどね。またお料理が楽しみになるね。
階段を探してウロウロしてぶたまねぎを倒して進んで行く。このダンジョンも後もう少しで踏破出来るね。ボスは巨大なぶたまねぎなのだろうか。美味しいお肉が沢山で嬉しい。お好み焼き食べたいなぁ。
しかし本当にここのダンジョンは食材に特化しているんだね。王都の食材もきっとここのダンジョンで大分賄われているんだろうなぁ。
みんなでぶたまねぎを倒しながら進んで行くと、階段を見つけた。27階へ下りてみよう。
(うわぁ……ぶたまねぎがいっぱい)
広いフロアにぶたまねぎがいっぱいいた。これは普通の冒険者達がどう戦うのか見てみたいね。ぶたまねぎもこちらを見つけると襲ってくるので、この大量のぶたまねぎが一斉に襲ってくるとか怖すぎる。
私達はシールドと雷で次々倒して進んで行くけどね。ただ、この大量の豚肉、玉ねぎ、ネギをアイテムボックスに仕舞うので大忙しだ。
大量のドロップ品をアイテムボックスに仕舞うと階段を見つけた。階段を下りて28階に下りる。
28階もぶたまねぎがいる。他にもちらっと見えるのは何だろう?
「ぶたまねぎの他にも何かいるね」
『あれはくまったけくまね』
「くまったけ??」
(えーっと……これはいつものシリーズ?! くま? まったけ……まつたけ? あっ、もしかしてたけのこかな?)
『くまったけも襲ってくるから危ないぱんよ』
『任せるぴょん!』
『任せるぴよー!』
と、とりあえず倒してみよう! というか襲ってくるって言った?! 目の前を見ると、ぶたまねぎとくまったけに襲われる所だった。
「きゃっ!」
思わず目を瞑ると、ビリビリっと音がしてその後ぽふん! と音が聞こえた。そぉっと目を開けると、目の前にくまったけがいた。
「えぇぇぇ?!」
次から次へと襲って来られてどうしようと思ったら……。
『ファイアーウォールぴよ!』
『ファイアーアローぴよ!』
「ライチ、ありがとう!」
ファイアーウォールがなくなると、ベリーが次から次へと倒しているのが見えた。相変わらず強い……アタックに回転も加えている感じだ。
ひぃろはひぃろで、ベリーのサポートがとても上手い。アースウォールでベリーが囲まれ過ぎないようにサポートしつつ、アースアローで敵も倒していく。
ライチはファイアーウォールとファイアーアローで私を守ってくれている。私もライチのおかげで余裕を取り戻せたので、私も次から次へと倒していく。
10分~15分戦っているとやっと辺りに敵がいなくなった。これでまだ28階って次の階とかどうなるのか考えたくないね。
ドロップしたアイテムをアイテムボックスに仕舞っていると、くまったけのドロップが分かった。くまったけのドロップは討伐記録、熊肉、マツタケ、タケノコだった。
(まさかのマツタケとタケノコ両方!? でも美味しいの来たー!)
みんなもアイテムを拾うのを手伝ってくれて、やっとアイテムを仕舞い終わった。階段はフロアの端にあった。近くに安全エリアがあったので、休憩する事にした。
「みんな、お疲れさま! すごい沢山いたね。休憩しようか」
『お腹空いたくま~』
『いっぱいどっしーんって楽しかったぴょん!』
『ぼくも何か食べたいぱん~』
『ライチもぴよー!』
お腹空いたみたいだから、少し早いけれどお昼ご飯にしちゃおうかな。今日のお昼は肉巻きおにぎり作ろうかな。豚肉と牛肉の両方を作って味比べしちゃおう。
まだこの先に進む事を考えて錬金でささっと作ってしまおう。粒の実、豚肉、牛肉、調味料は醤油、砂糖、ガーリ、ジーン、美味しいお水を準備して美味しい肉巻きおにぎりを思い浮かべる。
「錬金!」
(ふふ、美味しそうな肉巻きおにぎりが出来たね)
お茶はアイスティーと緑茶を出しておいた。みんなでご挨拶をして食べ始める。肉巻きおにぎりはとっても美味しかった。豚肉も牛肉もそれぞれの美味しさがあって、どちらも美味しい。
『この肉巻きおにぎり美味しいくま~』
『どっちも美味しいのぴょん!』
『お代わりぱん!』
『美味しいぴよー!』
みんなも気に入ってくれて沢山食べてくれた。美味しく食べてくれて良かった。ご飯を食べた後は、お片付けをして29階へ向かう。
29階もぶたまねぎとくまったけがかなりの数襲ってきた。これ普通の冒険者勝てるの?! って思うくらい沢山襲ってきた……。本当にシールドがなかったら無理だった……神様、ありがとうございます。
最後の30階へ下りる前に、アイスティーと焼き菓子で少しお茶をしてから下りよう。28階と29階の敵の多さを考えると30階の最後のボスは凄そうな気がする……。
「次で最後だね~。多かったらまたサンダーレインで少し減らすね」
『ハル、それは倒すって言うくまよ?』
『そうぱんね~』
「うっ……た、確かにいつも倒しちゃうけれど、ダンジョンのラスボスだもん……大丈夫だよ、多分? きっと?」
『ふふ、またきっと全部倒すぴょんね~』
『ハル、強いぴよ~! 凄いのぴよ!』
「そ、そんな事ないよ。みんなの方がとっても強いよ!」
30階に下りると……やっぱりフロアの床が見えない程の敵がいる……。階段の少し上の方からサンダーレインを撃つ。
「サンダーレイン!」
ビリビリと音がしてフロアに沢山いた敵がどんどん倒されてぽふんぽふんとアイテムに変わっていく。少し上から見ているから、敵がアイテムに変わっていく様子が見えてちょっと面白い。
『ふふ、やっぱり倒したくまね~』
「うっ……」
『綺麗にいなくなったぱんね~』
「はう……」
『さすがハルだぴょん!』
「お、おかしいな……」
『ハル、凄いぴよー!!』
「倒すはずでは……あっ! きっとボスがいなかっ……」
『いたぴよー!』
「はい……全部倒しました……」
みんなでドロップ品を集めて、アイテムボックスに次から次へと仕舞って行く。かなり時間は掛ったけれど、なんとか終わった。
フロアの中央に外へ出る魔法陣があったので、みんなで魔法陣に入り外に出る。なんとか明るいうちに帰って来られた。
東門から王都の中に入り、冒険者ギルドへ向かう。
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やっと食材ダンジョンクリアしました~。
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