砂浜で貝を採ろう!
朝目が覚めると、なんだか枕がふわふわしている。
(ここの宿の枕ふわふわで気持ちが良いなぁ……あれ? でも昨日寝る時そうだったっけ??)
慌てて起きてみると、タルトを枕にしていたみたいで、タルトが平べったくなっていた。
「きゃー、タルトごめん。大丈夫??」
『……ぱん?』
ぽんっ! タルトが起きたらいつもの丸いタルトに戻った。スライムって不思議。
『ハル、どうしたぱん??』
「私がタルトを枕にしちゃったせいで、タルトがぺったんこになっちゃったかと思って……」
『ぼくはスライムだから大丈夫なのぱんよ~。ぼく気持ち良かったぱん?』
「よかったぁ。うん、ふわふわですごく気持ち良かった……でも痛そうだから気を付けるね」
『大丈夫ぱんよ~。いつでも枕にしていいぱんよ~』
そう言ってすりすりしてくれたので、むぎゅーでお返しをした。
『あっ、ずるいくま! ハル、ぼくでも良いくまよ!』
『私もやってあげるぴょん!』
『ライチも頑張るぴよ!』
「ふふ、みんなありがとうね。でも心配だからほっぺにすりすりさせて貰うくらいにしようかな」
みんな優しくて嬉しいから、みんなもむぎゅーっともふーっとして癒されてからお着換えをして出かける準備をする。出掛ける準備が出来たら、朝ごはんを食べる為に食堂へ向かう。
「エミルさん、おはようございます」
「ハルちゃん達、おはようございます。今お食事準備しますね」
「はい、お願いします」
今日の朝ご飯は、オークベーコンと目玉焼き、サラダ、パンだった。いつ食べても美味しいなぁ。みんなで美味しく食べて完食した後は、エミルさんにご挨拶をして宿を出る。
宿を出て、冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドに着くと、依頼票を見に行ってみる。
(何か楽しそうな依頼ないかなぁ)
『あっ、ハル。あれやりたいぴよ!』
「ん? どれだろう?」
『あれぴよ!』
『ライチ、ハルの頭の上にいるからあれじゃ分からないくまよ~。ハル、多分西の砂浜での貝の採取だと思うくま』
「ライチ、どうかな?」
『ひぃろ、凄いぴよ! それやりたいぴよ~!』
「ひぃろ、ありがとうね。じゃぁ、それにしようか」
依頼票とギルドカードを受付のお姉さんに渡して手続きをして貰う。どんな貝なのか聞いてみると、アサリとかハマグリみたいな貝なのだって。それは潮干狩りみたいで楽しそうだ。
冒険者ギルドを出て、西門へ向かう。西門を出た所がもう砂浜だったので、そこからもう貝を探して良いみたいだ。みんなで手分けして貝を探すことにする。何があるか分からないから、シールドは張っておく。
『あったぴょん!』
「わぁ、ベリー早いね!」
と、振り向いたら……50cmくらいの大きな貝がベリーの前にあった。アサリとかハマグリとか思っていたのに……まさかそんなに大きかったとは……。
『あったぴよ~!』
「ライチも見つけたのだね」
『ぼくまだ見つからないくま~』
『ぼくもまだぱん~』
やっぱり50cmくらいの大きな貝だった。砂浜をよく見てみると、アサリとかハマグリがいる所に開く穴よりも大きな穴がポコポコと開いている。
「ひぃろ、タルト。こういう風に穴が開いている所にいると思うよ」
『やってみるくま!』
『やってみるぱん!』
2人が穴が開いている所を探してみると、やっぱり大きな貝を見つけられた。貝が大きいから、掘り返すのも大変なのだ。ひぃろは土魔法を使って下から押し上げているみたい。ベリーは高速回転で穴を掘っている。タルトとライチは普通に回転して穴を掘っている。
(みんな採り方が色々だね。なんだか楽しそう、私も頑張ろう)
私も、砂浜に穴が開いている所を狙って掘っていくと大きな貝を見つけた! と思ったら貝殻だけだった。残念。
次に見つけた貝はきちんと中身があった。やったね! と周りを見てみたら……みんな沢山の貝を掘り返していた。
(なんでみんなそんなに早いのー!?)
とりあえず、私はアイテムボックスに仕舞って行く事にした。適材適所だよね、多分……。まぁ、みんな楽しそうだから良いかな。それが一番だよね。そろそろ一旦休憩にしてお茶にしようかな。
土魔法で椅子とテーブルを作って、お茶の準備をする。今日のおやつは何にしようかなぁ。フォンダンショコラ作ろう!
チョコの実、バター、卵、砂糖、小麦粉、牛乳を出して、フォンダンショコラを思い浮かべる。
「錬金!」
材料が光り、光が収まると美味しそうなフォンダンショコラが出来ていた。今日も美味しそうに出来たなぁ。温かい紅茶を入れて準備をする。準備が出来たので、みんなを呼ぼうと振り向いたら……もうみんなジーっと見つめて待っていた。
「ふふ、お待たせ。お茶にしようね」
みんなにクリーンを掛けて椅子に座らせてあげると、一緒に食べ始める。ライチには目の前で小さくしてあげて食べやすくする。このフォークを入れるとチョコレートがトロッと出てくるのが堪らないんだよね。
『ハル、ありがとぴよ。美味しいぴよ~』
『ハル! 中からとろって出てきたくま!』
「チョコレートが入っているんだよ」
『熱々のチョコがとろっとして美味しいのぴょん~。紅茶との組み合わせも素敵ぴょん!』
「焼き立てが美味しいんだよね」
『外がさくっ、中がとろってして美味しいぱん~! 熱々を食べるのがまた良いぱんね』
みんなで美味しくのんびりお茶をする。この後はどうしようかな。
「大分貝が集まったけど、この後どうしようか?」
『お昼まで貝採ったら良いと思うくま~』
「じゃぁ、お昼まで貝を採ったら午後はまた海で遊ぼうか」
『コロコロするぱん~!』
『遊ぶぴよ~!』
椅子とテーブルはそのままにして、また貝を集め始める。みんなが貝を見つけて掘ってくれたのを、私がアイテムボックスに仕舞っていく。今日はお昼ご飯もここで作って食べようかな。昨日ひぃろが熟成してくれたお肉も食べてみないとだしね。後は顆粒だしを作ってお味噌汁にしようかなぁ。
土魔法で土台を作ってコンロを置く。昆布、煮干し、塩を出して顆粒出汁を思い浮かべる。
「錬金!」
材料が光り、光が収まると瓶に入った顆粒だしが出来ていた。今日はこれを使って貝のお味噌汁を作ろう。それと、熟成肉のステーキとポテトを揚げようかな。
みんなが貝を採ってくれている間にささっとお料理をしちゃおう。みんなの方を見たら、楽しそうに貝を採っている。お料理を作ったら貝をアイテムボックスに仕舞ってこないとかな。
みんなが楽しそうなのを確認したので、お料理を始める。お芋を切ってお水に漬けたら、お味噌汁を作る。ポテトを揚げたら熟成肉に塩、胡椒をして焼く。
テーブルに準備をしてから、みんなの所に向かって貝をアイテムボックスに仕舞って行く。
「みんなお疲れ様。お昼ご飯食べよう」
みんなをテーブルに座らせてあげて、ご挨拶をして食べ始める。ひぃろが作ってくれた熟成肉はとても美味しかった。ウルフ肉とボア肉を熟成肉にして貰ったのだけど、どちらもとても美味しくなっていた。熟成肉はシンプルに焼いて塩胡椒で十分に美味しかった。
『ハル、このお肉美味しいくま~』
「うん、これはひぃろが作ってくれた熟成肉なんだよ」
『熟成肉ってこんなに美味しくなるくまね~』
『ひぃろ、凄いぱん~! とっても美味しいぱん』
『このお味噌汁も美味しいぴょん!』
「貝のお出汁も出てるから美味しいよね」
『おいしいぴよ!』
ご飯を食べた後は、お片付けをして冒険者ギルドへ向かう。冒険者ギルドに入ると、まずは買い取りカウンターへ向かう。この大量の貝はどれくらい必要なのだろう……。
「こんにちは、買い取りお願いします。ただ、ここに乗りきらないのですが、どうしましょう?」
「こんにちは。そんなにかい?」
「はい、砂浜で貝を採って来たので1個1個が大きいのと、数が大量で……」
「あぁ、あの貝は1個が確かに大きいからな。じゃぁ、こっちでよろしく頼む」
別の広い場所に通されたので、そちらで出すことになった。それにしても数が大量だから、まず半分くらい出すことにする。どんどん出していると、職員さんから待ったが掛かった。
「ま、まだあるのか?!」
「はい、まだ倍はあるかと? まぁ、私も欲しいので少し取っておいてもいいですか?」
「いいぞ。というかもう十分だ」
「そうですか」
半分ないけれど、良いみたい。まぁ、ひぃろ達がとっても楽しそうに沢山採っていたものね。もしかして、取り過ぎた?!
「もしかして、あんまり取り過ぎたらダメでしたか?」
「ん? いや、この貝はすぐ増えるし大きくなるから問題ないぞ。すまんすまん、心配させたな」
いなくなったらここに住んでいる人達が困ってしまうから、良かった。しかし、あんなに大きいのにすぐに育つなんて凄いなぁ。
手続きをして貰い、受付のお姉さんにギルドカードと討伐確認を出す。
「こんにちは、お願いします」
「はい、お預かりしますね。沢山採って来て凄いわね」
「うちの子達が楽しそうに取っていたので、つい取りすぎました」
「ふふ、楽しかったのね。はい、手続き完了しましたのでお返ししますね」
お姉さんからギルドカードを受け取り、冒険者ギルドを出て宿に向かう。明日はフォンダンの街に向かおうかなぁ。また鉱山に寄ってから帰ろうかな。
宿の部屋について、みんなにクリーンを掛けてからのんびり過ごす。ひぃろ達をもふもふーっとむぎゅむぎゅーっとなでなでーっとして一緒に遊ぶ。
お夕飯は焼き魚とスープ、サラダ、パンだった。焼き魚は美味しいよね。みんなで美味しく完食した。ご飯を食べた後は、部屋に戻り明日のお話をした。
「明日はフォンダンの街に向けて出発しようと思うのだけど、どうかな?」
『もう良いくま?』
「うん、海ダンジョンでお魚いっぱい採れたからね」
『大漁だったぴょん』
「そうなのだよね。王都で少し売っても良いかもしれないね」
『鉱山に寄るぱん?』
「うん、フォンダンで鉱山に少し寄ってから帰ってもいいかなと思ってるんだ。だから飛ぶこたつでびゅーん! って行こうと思うのだけど、どうかな?」
『とぶこたつぴよ??』
「そういえば、ライチはまだ乗ってないんだね」
『一緒に乗ろうくま~』
『みんなでお茶しながら移動出来るのぴょん!』
『お空を飛べるのぱんよ~』
『楽しそうぴよ!』
「じゃぁ、明日は飛ぶこたつでフォンダンに向かおうね」
ライチはブランケットベッド、みんなは私と一緒にお休みなさい。明日もよろしくね。
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明日はフォンダンの街へ向かいます。
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