錬金ボックス完成!
昨日は早く寝たおかげで皆すっきりと起きられた。今日は街へ行って、木材を探そう。試作するのが楽しみだ。魔石が4つあるから、私用に1つ作っても良いかも。それか試作は私のにしようかな。
まずは朝ご飯食べに行こう。ステラさんに木材買うのに良いお店を聞いてみようかな。
「ステラさん、おはようございます」
「ハルちゃん達、おはよう」
「ステラさん、少し聞いても良いですか? 木材が欲しいんですが、どこに行けば良いか分かりますか?」
「木材ね、そしたら東門の近くに材木屋さんがいくつか並んでいるから、相談すると良いと思うわ」
「ありがとうございます、行ってみますね」
「じゃぁ、朝食持ってくるわね」
「はい、お願いします」
朝ご飯を持ってきてもらっている間に、ひぃろ達にクリーンを掛けてテーブルに乗せていく。
今日の朝ご飯はソーセージとオムレツ、スープとパンだった。スープにはダズが入っていた。きちんと柔らかく煮えていてスープも美味しかった。
「ステラさん、ごちそうさまでした。スープとても美味しかったです!」
「ふふ、良かったわ。行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
材木屋さんを目指して、東門へ向かう。東門が近くなると、木材が沢山見えてきた。どんな木が良いんだろうなぁ。
「こんにちは、少しお聞きしたい事があるんですが良いですか? 後、獣魔のスライムがいるのですが良いですか?」
「おう、嬢ちゃんどうした? スライムなら大丈夫だから入ってこい」
「はい、ありがとうございます」
「それで、何が聞きたいんだ?」
「丈夫な箱を作りたいんですが、何の木を使えば良いでしょうか?」
「箱か。用途は何だ?」
「調味料を作るのに使いたいんです」
「ふむ。だったらこのタルルの木が良いんじゃないか? 丈夫な箱が出来るし、食べ物にも適してるぞ」
「じゃぁ、タルルの木を買いたいんですが、良いですか?」
「今あるのはこれだけなんだが、足りるか?」
テーブルに高さ2メートル直径1メートルくらいの輪切りの丸太が置かれた。試作と本番で足りるか分からないけれど、全部買わせてもらった。全部で小金貨1枚だった。お金を支払ってからアイテムボックスに仕舞った。
材木屋を出て、宿へ向かう。
(試作するのが楽しみだなぁ)
宿について、ステラさんに場所がどこかないか聞いてみる。
「ステラさん、少しお聞きしたいのですが……」
「あら、ハルちゃんどうしたの?」
「それが、お醤油とかを作れるアイテムを錬金で作ろうと思うのですが、どこか少し広い場所ってありますか? さすがにお部屋では作るの大変そうなので……」
「あら、それなら宿の裏が少し広くなっているからそこを使って良いわよ」
「ありがとうございます」
「お醤油が作れるならうちも助かるもの! ハルちゃん頑張って!」
「はい、がんばります」
宿の裏手に回ってみると、従魔小屋の横が少し広くなっていた。そこに丸太とブラックベアの魔石を取り出す。
麹、塩麹、醤油、味噌、お酢を作れるようにボタンをつけた箱を思い浮かべる。出来上がったら何でお知らせしよう。蓋が開くか、音が鳴るか……どっちが良いかなぁ。あっ、それかタイマー付ける? って付くかな?
私が丸太を前に考えながら唸っていると、ステラさんが様子を見に来た。
「ハルちゃん、唸ってどうしたの?」
「あっ、ステラさん。ちょうど良い所に! 少し意見を聞かせてください」
「うん、良いわよ。何かしら?」
「調味料をいくつか作れる錬金ボックスを作ろうと思っているんです。それぞれボタンを配置して材料を入れて、ボタンを押すと調味料が出来るんですが、出来上がりをどう知らせるか悩んでいて……」
「ハルちゃん、そんな素敵なアイテム作ろうとしていたのね!」
「出来上がりで蓋が開くか、音が鳴るか、それか残り時間を分かるようにするか……」
「ん~、そうねぇ。全部あると助かるし、分かりやすいわよね」
「全部……そうですね、全部付けちゃいましょう!」
「楽しみね~」
全部付けたのをよーく思い浮かべる……
「錬金!」
材料が光り、光が収まると思い浮かべた錬金ボックスが出来上がっていた。
「ハルちゃん!! 凄いわっ!」
「ちゃんと出来ているか試してみましょうか。まずは麹を作るのに粒の実を入れて麹のボタンを押します」
ピッと音がするとタイマーに60が現れた。ちゃんと数字が減っていてタイマーも機能しているみたいだ。
「5、4、3、2、1……」
ピー! パカッ!
蓋が開いて、瓶に入った麹が5本出来た! (瓶の素材は一体……相変わらず錬金は助かるね)
「おぉ!無事に麹が出来ましたね」
「これが麹なのね。麹は何になるの?」
「麹から、甘酒、塩麹、醤油、味噌、お酢が作れます。この錬金ボックスで全部作れるようにしています」
「この前使っていない調味料もあるのね。ハルちゃん教えてっ!」
「麹が5本あるので、全部作っていきましょうか。まずは……甘酒!」
錬金ボックスに麹の入った瓶を1つとお水を置いて塩麹のボタンを押す。
ピー! パカッ!
「甘酒はどういう調味料なのかしら?」
「これはこのまま飲むんです。甘くって美味しいですよ」
コップに入れて出して全員に配る。
「ん! 美味しいっ! 甘くてトロっとして良いわね」
「これにジーンをすりおろした物を少し入れても美味しいですよ」
『甘酒美味しいくま~』
『私も好きぴょん』
『甘くって美味しいぱん』
「これに塩を入れるのが塩麹なのですが、お料理に使えるんです。お肉に揉み込んでおくと、お肉が柔らかくなって美味しいんですよ~」
「ハルちゃん、作りましょう!」
「後で、ロールさんに渡しましょうね」
「きゃー、ハルちゃん素敵っ!」
ステラさんが大喜びしてる。でも、美味しい物は仕方ないよね。美味しく食べたいし、皆にも美味しく食べて欲しい。
ご希望の塩麹を作る。材料の麹1本、塩、お水を入れて塩麹のボタンを押す。
ピー! パカッ!
次は醤油を作る。材料に麹1本とダズ、小麦、塩を入れてボタンを押す。
ピー! パカッ!
瓶に入ったお醤油が2本出来た。次はお味噌を作ろう。材料の麹1本、ダズ、塩を入れて味噌のボタンを押す。
ピー! パカッ!
次はお酢。材料の粒の実と麹1本を入れてお酢のボタンを押す。
ピー! パカッ!
「これで調味料全部出来ましたね~。じゃぁ、ロールさんに届けに行きましょう」
「行きましょう!」
全部一度アイテムボックスに仕舞い、調味料をロールさんに届けに行く。
「ロール! 調味料が来たわよっ!」
「何っ!?」
すごい勢いで出てきたロールさんに、ちょっとびっくりしました。
「お待たせしてすみません」
「い、いや。こちらこそつい勢いが良すぎてしまって申し訳ない。でもハルちゃんのレシピはどれも美味しくて、調味料が出来るのを心待ちにしていたんだ」
「喜んで貰えて嬉しいです」
全部調味料を並べて、説明をする。
『ハル、お腹空いたくま』
『お腹空いたぴょん~』
『ハル、お腹空いたぱん~』
「わわっ、ごめんね。調味料作るのに夢中になりすぎちゃった。すぐご飯作るね」
「ハルちゃん! 出来たら料理見せて貰えないか?」
「私もハルちゃんのご飯食べたいわ」
「えっと、ここでコンロを出してお料理しても大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
宿の食堂でお料理を作る事になった。お味噌とお酢を使った物も作ろうと思うけれど、何がいいかなぁ。
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明日はロール亭でお料理を作ります。
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