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お料理教室1

 目が覚めると、何だか身体が重い……。


(今日は、お料理教室なのに……体調崩しちゃったかなぁ)


 と思ったら、ひぃろ達が3人とも私の身体の上にいたみたいで、ちょっと動いたら3人がコロンと転がった。


(ふふふ、そりゃあ重いはずだよね)


 体調が悪いんじゃなくて良かった。びっくりさせられたので、いつもとちょっと違う起こし方をしちゃおう。みんなをむぎゅーっとして起こしてみよう。


 まずは、ひぃろをむぎゅー!


『くま?! びっくりしたくま~。ハルおはようくま』


 びっくり大成功。ついでにすりすりしてくれて嬉しい。

 次はベリーをむぎゅー!


『ぴょん!? おはようぴょん~』


 ベリーも大成功。ベリーもすりすりしてくれた。

 次はタルトをむぎゅー!


『……』


 すりすりすり~。

 まさかの寝ながらすりすりしてくれた。今日はお寝坊さんなタルトなのね。


「タルト、おはよう。そろそろ朝ごはん食べに行こう?」


『ぱん~……ハル、おはようぱん~』


(ふふふ、可愛かった、とっても癒された~)



 みんなでのんびり食堂へ向かうと、ステラさんがいたのでご挨拶。


「ステラさん、おはようございます」


「みんな、おはよう。今日は朝食の後少ししたら行きましょうか」


「はい、お願いします」


 今日の朝ご飯は、ソーセージとサラダ、スープ、パンだった。今日も美味しくいただきます。

 朝ご飯を食べた後は、一度部屋に戻り準備をする。全部アイテムボックスに入っているのだけど、整理しておかないと。


 スパイス塩とハーブ塩が大分少なくなっていたので、追加で作って持っていこう。調味料類がすぐに作れないことを考えるとお塩の味の物も必要だものね。今日は調味料もいっぱい使っちゃうけどね、食べたいし!


 準備をしたら、食堂へ向かう。


「ハルちゃん、そろそろ行こうか」


「はい、行きましょう」


「ふふ、どんなお料理が出来るのかとっても楽しみだわ。主人も楽しみにしているのよ」


「そんなに楽しみにされたら、緊張しちゃいますよ~」


 一緒に商業ギルドへ向かう。商業ギルドは冒険者ギルドの斜め前だったよね。いつものようにひぃろ達は私の両肩とフードにいる。


 商業ギルドが見えてくると、メレさんがギルドの前に立って待っていてくれた。


「メレさん、お待たせしました。今日はよろしくお願いします」


「メレ、おはよう。今日はよろしくね」


「ハルさん、こちらこそよろしくお願いします。ステラさんもよろしくです」


 メレさんに続いて中に入って2階へ向かう。2階の一番奥の部屋に入ると、調理器具も準備されていた。部屋の中には体格の良い男の人が1人待っていた。


「初めまして、ハルといいます。それと獣魔のひぃろ、ベリー、タルトです。今日はよろしくお願いします」


『よろしくくま』

『よろしくぴょん』

『よろしくぱん』


「初めまして、私は商業ギルドのギルマスのビスコだ。珍しい料理と聞いて興味があって、参加させて貰う事にした、よろしく頼む」


「じゃぁ、ハルさん。お願いします」


「はい、じゃぁ作っていきますね。まずは唐揚げの下準備からいきますね。ココ肉に、まずは下味をつけます。今日は塩味と醤油味の2種類作りますね。醤油は私の故郷の調味料でここら辺ではちょっと手に入らないかもですが……」


「醤油ですか……それは知らないです」


 まずは塩味。ジーンとガーリをすりおろして、塩、胡椒、酒を混ぜる。これにココ肉を付けておく。

 醤油味は醤油、酒、ジーン、ガーリで味付けをする。本当は塩麹を使いたかったけれど、再現出来ない物ばかりでは意味がないので、なしで作る。


「ジーンとガーリはすりおろして使うのですね」


「ジーンとガーリは香味野菜なので、そのままそれだけを食べるのはなかなか難しいですよね」


「そうなんです! 辛かったり、匂いがきつかったりで難しいんです」


 少し揉み込んで置いておく。その間にすぐ作れる生姜焼き……ジーン焼きを作る。


 オーク肉を薄く切って、粉を付けて焼く。焼いている間に酒、砂糖、醤油、ジーンを多めに混ぜておく。

 焼けたら合わせ調味料を入れてとろみをつけて、味を絡めていく。キャベツの千切りと一緒に食べたいので、千切りも作っておく。


 これは味が絡んだらもう出来上がりなので、先に食べちゃおう。


「これはジーン焼きです。少し多めにジーンが入っていますが、そんなに辛くなく食べられると思います」


「ハルさん、ありがとう。味見しても良いですか?」


「はい、もちろんです。食べましょう」


 全員に取り分けて、ひぃろ達にもあげる。念願のお醤油で作れたので、とても嬉しい。

 食べたら、いつもの生姜多めの生姜焼きで美味しい。この粉を付けて焼くのが私の好みなのだ。


『ハル、どうしたくま!?』

『ハル、大丈夫ぴょん?』

『どうしたぱん?』


「ん? みんなどうしたの?」


「ハルちゃん、大丈夫?」


 ステラさんがむぎゅーっと抱きしめてくれた。どうやら涙が出ていたみたい。


「皆もステラさんもありがとうございます。もう大丈夫です。故郷の調味料と食材が手に入ったので懐かしくなっちゃったみたいです。ご心配おかけしました」


 ステラさんとメレさんは私の頭を撫でてくれる。ひぃろ達も私の側にむぎゅっとくっついてくれる。本当に1人じゃなくて有難い。


「しかし、旨いな。このジーンの味と少しの辛みがちょうどよくて、パンが欲しいな」


「ハルさん、これは凄いです! 甘みと辛みとこの醤油の味が堪りません!」


 ギルマスさんも気に入ってくれたようだ。でも、ギルマス惜しいです。これにはパンも良いけれど、やっぱりお米ですよ!


 私はお米と美味しいお水を取り出すと錬金でご飯を炊く。


「錬金!」


 いつものように光が収まるとおひつに入ったご飯が炊けたので、全員にご飯を配る。


「これは、粒の実を炊いたご飯と言います。これと一緒にジーン焼きを食べてみてください」


「な、なんだこれは! ジーン焼きと一緒に食べるとご飯の甘みも感じて止まらないな!」


「ハルさん、美味しすぎます」


「ハルちゃん、このご飯? にジーン焼きが良く合うわ!」


 私も食べると、やっぱりご飯と生姜焼きだよね! とっても美味しい。


『ハル、このジーン焼きとご飯大好きくま!』


『ハル、また作ってぴょん!』


『いっぱい食べたいぱん~!』


「ふふ、そうだね。また作ろうね」


 みんな美味しかったみたいで良かった。


「ハル、少し聞いてもいいか?」


「はい、何でしょう?」


「この粒の実っていうのは何なんだ?」


 アイテムボックスから一つ実を取り出して、ギルマスに見せる。


「これが粒の実というものです。木にこれが実っていて、割るとこういう粒々が出てくるんです。それを本当はお鍋で炊くとご飯になります」


「ほう、これは木の実なのか。パンの代わりになりそうだな」


「そうですね、私の故郷ではパンの代わりに食べていましたよ。あ、でもこうして食べるとパンでも良いかと思いますよ」


 私はパンに切り込みを入れると、キャベツとジーン焼きを挟んで全員に配る。女性陣には半分に切って渡す。まだまだこれからお料理あるからね。


「おぉ、これはいいな! これなら食べやすいし、何より旨い!」


「冒険者のご飯にも良いわね」


「ハルさん、これは醤油がないと出来ないのですか? それか醤油の仕入れは出来ませんか?」


「塩味でも出来ると思いますよ。作ってみますね。粒の実がもっとあれば作れますが……私も粒の実の木をまだ1本しか見つけていないので、沢山は難しいです」


「粒の実があれば出来るのか……誰かに探しに行かせるか……いや、栽培させた方が良いか」


 メレさんもギルマスも色々と思案顔ですが、塩味を作ってみましょう。オーク肉に粉を付けて焼いている間に、酒、塩、砂糖、ジーンのすりおろしを混ぜて作ってみる。出来たら全員に配って味見をする。


「ん~、塩味でも美味しいわね。これなら宿でも出せそうだわ」


「うん、これならうちのお店でもお勧め出来そうです」


 塩味も好評でした。そして初めて作ったけれど、塩味でも美味しかった。

 次は唐揚げを揚げていく。下味をつけていたココ肉に小麦粉をまぶして揚げていく。


「次はココ肉の唐揚げです。これも塩味と醤油味を作っています、どうぞ」


「ん~、中からじゅわっと美味しい味が広がって、ジーンとガーリの良い香りもするわ。これも宿で出せそうだわ」


「ハルさん、これ美味しいです! ジーンとガーリはこう使えば良いんですね」


「これも良いな。ご飯貰って良いか? これも合いそうだよな」


「はい、どうぞ。これも合うと思いますよ」


「ハルちゃん、これ、後で作り方教えて貰って良いかしら?」


「はい、ロールさんに伝えればいいですか?」


「ありがとう。ふふ、宿でもこの美味しいのが食べられるなんて素敵ね」


「やっぱりこの醤油味も良いですね。うーん……」


「そうだよなぁ。この醤油やっぱり欲しいよなぁ」


 すみません、醤油、私が食べたかったんです。とっても申し訳ない気持ちになってきた。どうにかならないかなぁ。

読んで頂き、ありがとうございます。

ブックマークや☆の応援もありがとうございます、とても励みになります。


明日はお料理教室の続きです。

楽しく読んで頂けたら嬉しいです。

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