新しい家族が増えました
お昼を食べた後、また歩き出した私達は森の入り口に着いた。森とはいっても王都への道はきちんとある。道の両サイド10メートルずつくらい森を切り開いている。
『ハル、また森の中通るくま?』
「ひぃろとベリーが良ければ、森の中で採取しながら行きたいな」
『美味しい物いっぱい取れるから森の中行くぴょん』
『ぼくも大丈夫だから、森の中を行くくまー』
「2人ともありがとう。じゃぁ、お願いするね」
『任せるくま』
『任せてぴょん』
何か良い物があるといいなぁ。この前はチョコの実とかアモンの実とか美味しい実がいっぱいだったものね。王都へ行く途中でも何かありますように。
薬草、ハーブ、食べられる食材を鑑定で見えるように発動させておく。視界に色々と矢印が出てきた。癒し草やハーブがあるので採取しておく。
日本にいた時と違う生え方をしている物があるので、鑑定で見て行かないと見落としそうだ。面白そうな実がないか、ついきょろきょろしてしまう。
『ハル、待つくま!』
「ん? どうしたの?」
『特殊スライムがいるくま』
「えぇ! ひぃろとベリーみたいな?」
『くまっ。ちょっとお話してくるくま』
『あっ、私も行くぴょん』
「わかった、2人に任せるね。でも無理に勧誘はしないこと」
『わかったくま』
『わかったぴょん。行ってくるぴょん』
2人は茂みの中に入っていった。特殊スライムってそんなにいるものなのかしら? でも、特殊スライムって事はきっと動物タイプ……もふもふ? どんな子かちょっと気になるけど、我慢我慢。
2人が帰ってくるまでにお茶でも入れておこうかな。今日は何の紅茶にしようかな。アッサムティーにして蜂蜜を入れて甘いミルクティーがいいかな。
お菓子はクッキーがいいかな。クルの実とチョコでチョコチップクッキーにしようかな。
材料は、小麦粉、バター、卵、砂糖、クルの実、チョコの実、重曹かな。美味しいサクサクチョコチップクッキー出来て~。
「錬金!」
お皿に乗ったチョコチップクッキーが出来た。うん、これでお茶とお菓子はオッケーかな。作った紅茶とクッキーは、お皿に分けてアイテムボックスに仕舞っておく。
2人はそろそろ帰ってくるかな。今日は土魔法でテーブルと椅子を作った。ちょっと優雅なティータイムとしましょう。みんなの椅子はテーブルから少しだけ低い所にテーブルにくっつけて作った。転がらないように、背もたれと肘掛け付きだ。
『ハル、ただいまくま』
『ハル、ただいまぴょん』
『ハル、この子もテイムして欲しいぴょん』
「えっ、パ、パンダ?」
ぽよん!
「私の名前はハルだよ。テイムしていいの?」
ぽよん!
パンダスライムの身体が光った、光が収まると……。
『ぱん!』
や、やっぱりそういう語尾なんだね。うん、だと思ってた。可愛いけど!
「えっと、君もお名前ないのかな?」
『ないから付けて欲しいぱん!』
「ん~っと、白と黒……タルトはどうかな?」
クリームの白、チョコの黒で、チョコタルトなイメージでタルトにしてみた。
『ぼくの名前はタルトぱん! ハル、よろしくぱん!』
『ぼくはひぃろくま。タルトよろしくくま~』
『私はベリーだぴょん。タルトよろしくぴょん』
『ひぃろ、ベリーよろしくぱん』
タルトはひぃろと同じくらいの白いもふもふに黒いまるっとしたお耳、ぬいぐるみのようなお顔。目の周りは黒くて、まんまパンダです。まるっこいもふっとしたパンダ。
(か、かわいい……もふもふむぎゅむぎゅなでなでしたーーーい!!!)
「か、可愛い! むぎゅってしてもいい?」
『もちろんぱん』
そういうと突進してきてくれた。突進してきたタルトをむぎゅーっと抱きしめる。
(ふわふわが気持ちいい。抱きしめたタルトがちらっとこっちを見るのが可愛すぎて、きゅんきゅんしてしまう)
もふもふを堪能しつつ、降ろしてあげてなでなでもする。
ひぃろとベリーが待っているので、2人もむぎゅーっともふもふーっとなでなでっとする。きちんと順番待ちをしているうちの子達は本当に可愛い!
(ふぅ……いっぱいもふもふむぎゅむぎゅして幸せ……)
「さて、みんなでお茶にしようか。タルトは鑑定しても良いかな?」
『いいぱん!』
『お茶! おやつも欲しいくま』
『お茶! 嬉しいぴょん』
さっき作っておいた紅茶とチョコチップクッキーをそれぞれに出してあげた。
「今日はテーブルと椅子もあるんだよ。みんなは乗せてあげるからね」
そういうと、ひぃろとベリーとタルトをそれぞれクリーンを掛けてから、テーブルから出ているでっぱりの椅子部分に置いてあげた。
『ハル、これ素敵ぴょん』
「ふふ、いいでしょう。今日は優雅にティータイムにしましょう」
ひぃろとタルトも喜んでくれた。これなら一緒に食べるのもテーブルと椅子があるから食べやすい。なんで今まで作っていなかったんだろう。
みんなでいただきますをして食べ始める。
『このクッキー、クルの実とチョコの実が入っていて美味しいくま!』
『このクッキー、ミルクティーと良く合うぴょん!』
『!! これがクッキー? おいしいぱん~!!』
タルトも気に入ってくれたみたいだ。食べながらタルトの鑑定をさせて貰った。
名前:タルト
種族:特殊スライム(パンダタイプ)
LV:2
スキル:鑑定(人物・危険)、溶解
タルトはやっぱりパンダタイプなんだね。スキルは鑑定だけど、私のと違って、人物・危険って書いてある。よく見てみると、人に対しての危険度と場所の危険度を知らせてくれるみたい。
異世界なのについつい気が緩んじゃうから助かるね。タルトは戦闘タイプじゃないみたいだから戦闘の時は私の側かお部屋にいて貰おう。
「タルトは戦闘タイプじゃないから、戦闘の時はバングルのお部屋にいたら良いかな。後、疲れた時とかも、このバングルに獣魔のお部屋があるからそこを使ってね」
『ハルのその袋にいるぱん』
「袋ってこれ?」
袋って何だろう? 私の斜め掛けのバッグではないみたい。自分を色々見て、タルトの目線を見て考える。
『違うぱん。背中の袋だぱん』
「背中の袋? あっ、フードかな。これ?」
『ぱん!』
どうやら私のフードで良かったらしい。タルトの定位置になりそうだ。
「分かったよ、いつでも私のフードに入って良いからね」
『ありがとぱん!』
「タルトは危険な場所とか人が分かるみたいだから、危ない時は教えてくれると嬉しいな」
『任せてぱん~。フードの中からこそっと教えるぱん』
『ハル、お代わり欲しいくま』
『私もお代わり欲しいぴょん』
『ぼくも欲しいぱん~』
みんなにお代わりを紅茶と一緒に出してあげる。喜んでくれて良かった。美味しそうに食べるみんなを眺めてほっこりする。
「そろそろ出発しようか」
『行くくま』
『行くぴょん』
『フードに入れてぱん。そこに入ってみたいぱん』
確かに、試してみた方が良いね。タルトをフードに入れてあげると、ちょっと大きいから重い。
「少し小さくなって貰えると助かるけど、どうかな?」
『大丈夫ぱん』
タルトがフードの中で小さくなってくれた。これならフードに入って移動出来る。王都は人が多いだろうから、入れる場所はお部屋以外にもあると助かる。
「ありがとう、楽になったよ。ひぃろとベリーも疲れたら肩に乗っていいからね」
『ありがとうくま』
『ありがとぴょん』
「タルトはそのまま入ってる? どうするかな?」
『少しここに居たいぱん。いいぱん?』
「うん、いいよ。ゆっくりしてね」
タルトはそのままフードにいる事になった。ひぃろとベリーはいつものように一緒にぽよんぽよん跳ねて行く。また王都へ向けて出発する。
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今日はタルトが仲間になりました。Twitterに羊毛フェルトで作ったひぃろ、ベリー、タルトの写真が載っています。
そちらも見て頂けたら嬉しいです。
https://twitter.com/nekono_kyara/status/1318754633544732673?s=19




