踊るキノコの採取
(んー、良く寝た)
「ひぃろ、ベリーおはよう」
『おはようくま』
『おはようぴょん』
お出かけ準備をして、朝ごはんを食べに食堂へ向かう。
宿を出て冒険者ギルドへ向かう。南か北の森の依頼は何があるかな。
(んん? これなんだろう。踊るキノコの採取……踊る? キノコが?)
「ねぇ、ひぃろ、ベリー。この踊るキノコって何だろう? ちょっと見てみたい。」
『踊るキノコは踊るキノコくま』
『踊るのぴょん』
「えぇ?! 本当に踊るの?」
『行ってみるくまー』
『行くぴょん』
「うん、私も見てみたいから、今日の依頼はこれにしよう!」
ローザさんに依頼票を出して、手続きをしてもらった。
「はい、手続き完了したわ。気を付けて行ってきてね」
「はい、行ってきます」
『いってきますくま』
『いってきますぴょん』
南の森での踊るキノコの採取依頼を受けたので、南の森へ向かう。
ひぃろにサーチをしてもらい、私は鑑定に踊るキノコも加えて発動させる。どんなキノコか楽しみだ。
『ハル、踊るキノコがこの先にいるみたいくま。』
「楽しみっ!」
『気を付けてくま』
「えっ? 気を付けるって危ないの?」
『体当たりされると怪我するぴょん』
「えぇぇぇぇ?!」
そんな危ないキノコだったんだ。ただ踊ってるんだと思ってた。さっきまで……。
「きゃーーー!し、シールドっ!」
目の前には踊るキノコがくるくる回りながら体当たりをして、シールドに激突して倒れた。
「うぅぅ、こんな危ないキノコだなんて……。」
『違うのくま、踊るキノコはこうしたら危なくないのくま』
『私も行くぴょん』
ひぃろとベリーはお手本を見せてくれた。くるくるぴょんぴょん回りながら飛び跳ねている。くるくる回りながら近づくとひょいっと踊るキノコを持ち上げた。
持ち上げたら、ぽふんっとキノコがドロップされた。それ……魔物だったのね。
私も挑戦してみる。くるくる回って近づく……難しい。ひぃろとベリーはあんなに簡単に出来るのに。1匹捕まえるだけで目が回った。
「うぅ、気持ち悪い……」
『大丈夫くま?』
『ヒールぴょん! これでどうぴょん?』
「ありがとう、治ったよ」
「ひぃろもベリーもくるくる回りながら捕まえるの上手だね、私には難しかったよ」
『じゃぁ、ぼくとベリーに任せるくま』
『ハルは、美味しいもの見つけてぴょん』
「ありがとう、2人が頼りになるから本当に助かるよ」
踊るキノコの採取は2人に任せる事にした。私は近くのハーブとか薬草を採取する事にした。
ふと、気になる物が目に入って来た。鑑定で矢印が出ているから食べられるはず。レモンくらいの大きさの木の実がなっている。
鑑定してみると。
ふわふわの実:地球でいう重曹。種を割った中の粉が重曹。美味しい物いっぱい作れます
(重曹! やった、これで焼き菓子いっぱい作れるー!)
なんだか鑑定の文言がおかしかったけど、重曹の喜びにそんな疑問はどこかへ吹き飛んだ。
ひぃろ達が踊るキノコを採取してくれている間に、私はふわふわの実を採取していく。いっぱい欲しいな。
大分ふわふわの実を集められた時、ひぃろとベリーが戻って来た。
「2人とも、お疲れ様。大丈夫?」
『ただいまくま。いっぱい採取したくま』
『ただいまぴょん。いっぱいくるくる楽しかったぴょん。キノコはあそこに置いてあるから、仕舞って欲しいぴょん』
「わぁ、すごい量だね。2人とも、ありがとうね。」
お礼を言い、全部仕舞っていく。ここら辺の踊るキノコはもう全部狩ったらしい。
「いっぱい取れたけれど、この後どうする?」
『まだ取るくまー』
『まだくるくるしたいぴょん』
「うん、わかったよ。じゃぁ、またひぃろに探してもらおうね」
『任せるくま』
また森の中を鑑定を発動しながら歩いて行く。まだ踊るキノコが見つかるといいな。
踊るキノコからドロップしたキノコは食べられるみたい。焼くと美味しいみたいだからお昼に少し焼いてみようかな。
採取しながらウロウロしていると、ひぃろが踊るキノコを見つけたみたい。ひぃろとベリーはくるくる回って突撃していった。
(ふふ、楽しそうでいいね)
私は2人が頑張ってくれているので、お昼の準備を始める。
今日はコンロが3個あるので大き目に土台を作る。コンロを3個並べておく。
今日はふわふわの実を採取出来たから、パンケーキを焼こう。まずはふわふわの実を錬金して重曹に変えておく。材料は小麦粉、重曹、砂糖、卵、牛乳。軽量カップかわりのコップで大体の分量で合わせて行く。
フライパン2個でパンケーキ、1個はベーコンと踊るキノコのキノコを焼いて行く。パンケーキが焼きあがった頃、ひぃろとベリーが帰って来た。
『ただいまくま』
『ただいまぴょん、今回もいっぱいだぴょん』
「おかえりなさい、ありがとう。仕舞っておくね」
また大量のキノコがあった。2人とも、楽しかったんだね。
「2人とも、楽しかった? お昼ご飯出来てるから食べようか」
『楽しかったくまー。お腹空いたくま』
『楽しかったぴょん。私もお腹すいたぴょん』
「今日はパンケーキを作ったよ。ベーコンと2人が取ってくれたキノコも少し焼いたから一緒に乗せておいたよ。シロップも掛けるね」
『パンケーキ? 初めてくま~』
「今日はふわふわの実を見つけたから作れたんだ。これからケーキも焼き菓子も作れちゃうよ!」
『わぁい、嬉しいぴょん』
2人はずっとくるくるぴょんぴょんで疲れただろうから、アイスレオンティーを甘めにして出してあげた。
「さ、食べよう。いただきます」
『いただきますくま』
『いただきますぴょん』
「パンケーキ久しぶりだけど、美味しいね」
『パンケーキふわふわで美味しいくま』
『ふわふわ美味しいぴょん。アイスティーも爽やかで美味しいぴょん』
『甘いのも、ベーコンとも合うの不思議くま~』
「うん、お食事パンケーキっていうのもあるから、甘いのもしょっぱいのも合うんだよ」
『どっちもおいしいぴょん』
「ご飯食べた後はどうしようか。街へ帰るで良いのかな?」
『いいくま~』
『いいぴょん』
ご飯を食べた後はお片付けをして、街へ向かう。街へ向かう途中にウルフがいたのでさくっと倒して進む。お肉が増えて喜ぶ2人が可愛かった。
「ひぃろ、これがふわふわの実なんだけど、今度あったら教えて貰っていいかな?」
『それが美味しい物が沢山出来る実くまね。分かったくま~』
『見つけたらいっぱい取るぴょん。ふわふわ美味しいぴょん』
「ふわふわだけじゃ美味しくないけれど、いろんな材料がそろうと美味しいんだよ」
ひぃろとベリーが、ぽよんぽよん跳ねて行く2人について歩きながら話していると、街へ着いた。
街へ着いたら冒険者ギルドへ向かう。依頼の達成をしなくては。冒険者ギルドのドアを開けて、買い取りカウンターへ向かう。
「こんにちは、買い取りお願いします」
「こんにちは、ここに出してくれるかい?」
「すみません、ちょっと乗らないかもです」
「じゃぁ、こちらへどうぞ」
案内された場所でキノコを大量に出すと、とてもびっくりされた。
「こ、こんなに沢山?!これ採取するの大変なのによくこんなに取れましたね」
「この子達が頑張ってくれたので」
買い取りは銀貨7枚にもなった。2人ともいっぱい頑張ったね。
買い取りしてもらった後は、受付のローザさんに依頼達成の手続きをしてもらった。
「いっぱい取って来たのね、凄いわ」
「私は1匹で無理でした。気持ち悪かったです」
「そうよね、気持ち悪くなっちゃうからあんまり取れないのよ」
「2人が楽しそうにくるくるして、いっぱい取ってくれました」
「ふふ、それは可愛いわね。はい、手続き完了よ」
「ありがとうございます」
手続きをしてもらってから依頼を見てみる。北の森の依頼何か良いのないかなぁ。
(あっ、あれは!)
「ねぇ、ひぃろ、ベリー。あの依頼受けたいんだけど、どうかな?」
『ハニービー! 行くくま!』
『行くぴょん! 甘くて美味しいぴょん』
「ローザさん、この依頼明日受けたいのですが、大丈夫ですか?」
「ハニービーね、明日受けるものでも登録出来るわ。受付するわね。毒があるから気を付けて行ってきてね」
「はい、ありがとうございます」
宿に帰って、部屋に戻るとクリーンを掛ける。本当はお風呂も入りたい。どこかに温泉でもあればいいのになぁ。
綺麗になった後は、食堂へお夕飯を食べに行く。今日のお夕飯はココ肉のソテーとスープとパンだった。
「ココ肉美味しいね」
『美味しいくま』
『美味しいぴょん』
食べ終わってごちそうさまをした後は、部屋に戻って今日は早く寝る事にした。
明日はハニービーの討伐だ。蜂蜜いっぱい取れるといいなぁ。
「明日はハニービーの討伐だから早く起きようね」
『もちろんくま』
『楽しみぴょん』
2人をむぎゅーっと抱っこしておやすみなさい。
読んで頂きありがとうございます。
誤字報告もありがとうございました、とても助かりました。
ブックマークと☆での応援もありがとうございます、とても励みになります。
明日は蜂蜜沢山で大はしゃぎします。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




