ギルドと依頼
今日は目が覚めたら2人が、私の顔を覗き込んでいてびっくりした。思わず声が出そうだったよ。
「ひぃろ、ベリーおはよう。2人とも今日は早く起きたんだね」
『さっき起きたからハルを見てたくま』
『寝ながらにこってしてくれたぴょん』
(えっ、それはちょっと恥ずかしい)
「そ、そうなんだ。何の夢見てたんだろう」
『ハル、ご飯行くくま。お腹すいたくま』
「あっ、そうだね。そのまま出られる準備するね」
準備をして食堂へ向かう。今日もとっても美味しい朝ご飯でした。ご飯を食べ終えた後はフレアさんにご挨拶をして冒険者ギルドへ向かう。2人は危ないから、私の両肩に乗っていてもらう。
冒険者ギルドのドアを開けるともう人が大分集まっていた。
少し待つとギルマスの話が始まった。主に今回の討伐の報酬についてなどだった。今回の討伐に参加した人は銀貨7枚と私のポーションだそうだ。ドロップ品はそのまま貰っていいらしい。そういえば私のブレスレットの鑑定していなかったな。
ギルマスの説明が終わった後、依頼を見ようかと思ったらギルマスから声が掛かった。
「ハルはこのままちょっと残ってくれ。少し話がある」
「はい」
(なんだろう)
ギルマスの部屋に案内された。
「時間を取って貰って済まなかったな。ポーションはほとんど使われなかったんだが、全員に配らせて貰った。事後承諾で申し訳ないが、買い取りをさせて貰いたい」
「いえ、それは寄付した物なのでお気になさらず」
「それだとギルドの体裁を保てないのでな、買い取りさせてくれ」
そうか、お金を払わないギルドと思われてしまうのか。それは大変だ。
「はい、ありがとうございます」
「それと、ボス部屋で被害がなかったのはハルのおかげらしいな。本当に助かった、ありがとう」
「いえいえ。私もあんな事になるとは思わなかったので、気にしないで頂けると嬉しいです」
「それで、今C級だろう。B級に上げる事にした」
「えぇぇ!? それはちょっと実力不足かと思います。アルスさんやザックさんの戦いなどを見ると私にはまだB級は早すぎるかと……」
「ふっ、ランクアップを断るとは珍しいな。とはいえ密集したボス部屋を1人で撃破出来る程の腕を持っているもののランクがCという訳にはな……。諦めてランクアップしてこい」
「えぇぇ! そ、そうなのですね」
「話は以上だ。今回は本当に世話になった。受付でランクアップと代金忘れず貰っていってくれ」
「はい、ありがとうございます。失礼します」
私は諦めて受付に向かって、ローザさんに声を掛けた。
「ハルちゃん、ギルドカードを貸してね。その年でブロンズカードは凄いわね」
「ブロンズ、まだ早いと思うんですけどね」
「強い人には強さに見合ったランクが必要なのよ。はい、どうぞ。それとポーションの代金ね」
「はい、ありがとうございます」
まだ朝早いし、依頼を受けようかな。今日はどんな依頼があるかな。
南の森でワイルドボアの討伐依頼がある。ボアって事は猪か。
(ボア……猪肉……よし、これにしよう!)
「ひぃろ、ベリー。この猪肉……じゃなかった、ワイルドボアの討伐にしようと思うのだけどどうかな?」
『肉? 行くくま!』
『行くぴょん』
ついつい、心の声が駄々洩れた。でもこの世界のお肉美味しいから猪肉、食べてみたい。
「ローザさん、この依頼お願いします」
「あら、ワイルドボアね。突進してくるから気を付けてね。いってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
『行ってきますくま』
『行ってきますぴょん』
ひぃろとベリーを肩に乗せたまま南門へ向かう。南の森は門を出て300メートル先から森に入る。
『ハル、お肉サーチするくま!』
「ひぃろ、ワイルドボアね」
私のお肉発言で、ひぃろのお肉センサーが働いちゃったみたいだ。これでお肉出なかったら困るわ。
私も鑑定を発動させるけれど、この状態のひぃろは止まらなそうだ。
『ハル、早速いたくま! 行くくまー!』
『行くぴょん!』
「ちょ、ちょっと待って」
あぁ、ベリーもやる気だったのね。2人を追いかけて行くと、ワイルドボアはまんま猪だった、ただ大きさが結構大きい。こちらを見つけると突進してきた。あまりの速さにびっくりしたけど、私達の前にさらに1枚シールドを出すと、それに激突した。
(あの速さで突進してくるのは、ちょっと怖いわ)
シールドに激突したワイルドボアはちょっと目を回している。今のうちにとエアーカッターで倒すと念願のお肉と毛皮がドロップされた。
(お肉が出て良かった)
『お肉くま!』
『お肉だぴょん!』
「お肉後で食べようね」
『やったくまー。よし、もっと取るくまー!』
『やったぴょん。もっとお肉だぴょん!』
(だめだ、もう止まらない。何匹狩るんだろう)
突進してくるから、エアーカッターより簡単に倒せるの何かないかな。電気ショックを与えるのはどうかな。シールドに電気通そうか。よし、次はこれでやってみよう。
「ひぃろ、ベリー。次のワイルドボアの時に、シールドに電気を纏わせるから気を付けてね。私達の前に出すからね」
『分かったくま』
『分かったぴょん』
ベリーがアタックする時にも使えそうな気がする。
『ハル、来たくま』
「分かった、ワイルドボアがこっちに気が付いたらシールド張るね」
少し先に進むと、ワイルドボアがこちらに気が付いて突進してきた。私は少し前にシールドを張って電気を通す。
激突したワイルドボアは、激突と電気ショックで倒せた。これは安心で良いね。
『ハル、私もやってみたいぴょん!』
「ん? ホーリーアタックする? いいよ」
『私もびりって出来るぴょん?』
「多分出来るよ。張っているシールドに電気纏わせればいいだけだから」
『やりたいぴょん!』
「じゃぁ、次でやろうか」
ベリーが楽しそうで私も嬉しい。
『ハル、少し向こうにいるくま』
「よし、向かおう」
私達はひぃろの案内で、次のワイルドボアの方に進んで行く。向かった先に2匹のワイルドボアがいた。ベリーがやる気満々で行ったので、どうやら2匹ともやる気らしい。
「ホーリーアタック!」
どっしーん! びりびりっ!!
どっしーん! びりびりっ!!
ベリー、強すぎる。どしーんと体当たり2発で終わった。
「ベリー、凄い強かったね」
『ハル、これ楽しいぴょん!』
「良かったね。またやりたい時は教えてね」
『ありがとぴょん。次々行くぴょん!』
まだまだやる気らしい。ここら辺のワイルドボアいなくなるんじゃないかな……。
『分かったくま。次々見つけちゃうくま! お肉っお肉っ~くまくま~♪』
だめだ、2人ともノリノリだ。よし、2人とも楽しそうだし、とことん行こう!
それから本当に次々とワイルドボアを倒していった。アイテムボックスには30個のお肉と毛皮が入っている。でもまだ行くみたいだ。
「ひぃろ、そろそろお昼にしたいから、どこか良い所があったらお願いして良いかな?」
『お昼! わかったくま』
『お昼ぴょん! お肉食べるぴょん!』
『ぼくもお肉くま!』
「うん、焼いて食べようね」
そうだとは思っていたけれど、やっぱり食べるのね。薄く切ってスパイス塩とハーブ塩両方作ろうかな。あんなに頑張っていたから、いっぱい作ってあげよう。
少し歩くとひぃろが止まったので、ここでお昼休憩するようだ。
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今日はワイルドボア狩りで大はしゃぎのひぃろとベリーですが、明日も大はしゃぎが続きます。
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