街へ帰還
これから街へ向かう…予定だったけれど、アルスさんがこう言いだした。
「しかし、腹減ったな……」
「そういえば、お昼ご飯食べてないですね」
『ぼくもお腹空いたくま~』
『私もお腹空いたぴょん~……』
「そうだね、ひぃろもベリーもとても頑張ってくれたものね、ありがとうね。アルスさん、私達少しお茶してから帰っても大丈夫ですか?」
「いや、全員少し休憩しよう。俺もお腹空いたからちょっと食べたい」
錬金だったら大量に作ってもお鍋とかお皿に乗せてくれるから、何か作ろうかな。30人くらいいるからスープにして配ろうかな。
「じゃぁ、皆さんの分作りますね。少しお腹に溜まるものの方が良いですよね?」
「良いのか? そりゃ俺らは助かるけど、疲れてないか?」
「ほとんどひぃろとベリーが頑張ってくれたので、私は全然平気です」
全員食べられるように、トマトスープにしよう。
材料はキャベツ、ニンジン、じゃがいも、ウルフ肉、トマト、それとお水と、みんなの疲れが取れるように癒し草もハーブとして入れようかな。
みんなの疲れが取れるように、美味しくなるように思い浮かべて錬金する。いつものように材料が光って、光が収まると大きなお鍋に入ったスープが出来ていた。
入れ物がある人はそれを使い、ない人には私が持っているお椀を出して皆にスープを配っていく。なんとかお椀が足りてよかった。やっぱり予備は必要だね。
パンも出して、食べたい人には取って貰う。
「ハル、ありがとうな。それじゃ頂きます」
『美味しいくま~』
『ん~、美味しいぴょん!』
「「「う、うめー!」」」
「旨いな……なんだか身体がポカポカして体力が回復しているんだが、これもハルか?」
「多分、そうです。皆さんの体力が回復するようにと思って作ったので」
他の冒険者達も次々に体力が回復していっているみたいだ。
デザートとして、クッキーと今日は錬金で作るアイスティーも出して置く。
「クッキーとアイスティーもあるので、こちらも良ければどうぞ」
こちらもやっぱり大騒ぎだった。確かに美味しくなるように作ったものね。ひぃろとベリーも美味しそうに食べている。みんなが美味しそうに食べてくれるのでとても嬉しい。
食べて体力も気力も回復したので、街へ向かう。
「なんかさっきのスープ食べてから身体が軽いな。ハルは本当に凄いな。獣魔の2人も強かったしな」
「アルスさんとザックさんの強さも凄すぎました。やっぱりB級冒険者は凄いです、とても勉強になりました」
「いや、でもハルの最後の魔法には全然敵わないけどな」
「そ、そこは忘れて下さい。私もまさかあんな事になるなんて思わなかったんです」
そんな話をしている間に街に着いた。体力が回復したので、みんな歩くのが早かったのか思ったよりも早く着いた。まずは冒険者ギルドへ報告に向かう。冒険者ギルドのドアを開けると、ギルマスがいた。
「アルス! 無事で良かった!」
「ギルマス、救助助かった。ありがとう」
「怪我人とかどうだ?」
「誰1人欠けてもいないし、怪我人もいないから大丈夫だ」
「本当か、良かった。でも怪我人もいないなんて、そんなに魔物少なかったのか?」
「そんな訳ないだろう。ボス部屋なんて初めて見たくらいに凄かったぞ。ボス部屋にみっしりいたぞ」
「うげっ! みっしりってマジでか。でも、それこそよく平気だったな」
「ハルの魔法が強かったからな」
「凄かったよな、一撃で倒していくとか恰好良すぎるぜ!」
いろんな人に褒められて、ちょっと恥ずかしい。
「ハル、誰だ? そんな冒険者いたか?」
「先日までティリスの街にいたからしらないかな。この子だよ。」
「あぁ、君か。C級の冒険者だな。ポーションも作っていたけれど、魔法も使えて、しかも強いのか。凄いな。」
「今日は助かった、ありがとう。とりあえず、今日は疲れているだろうから、全員明日話そう。今日はゆっくり休んでくれ。明日また冒険者ギルドに顔を出すように。では解散!」
「ハル、お疲れ様。ゆっくり休めよ。」
「はい、アルスさんもザックさんもお疲れ様でした。お2人もゆっくり休んでくださいね」
私はひぃろとベリーを連れて宿に向かう。2人も疲れただろうからゆっくり休もう。
宿に帰った私達は、お部屋でのんびりした。クリーンを掛けてからベッドの上でひぃろとベリーをもふもふむぎゅむぎゅしてまったりする。相変わらず癒されるもふもふだわ。
少しするとご飯の時間になったので、お夕飯を食べに食堂へ向かう。今日も2人前を3人で食べる。
「フレアさん、ご飯2人前お願いします」
「はい、今日のメニューはココ肉の香草焼きとスープとパンよ。ゆっくり食べてね」
「はい、ありがとうございます。いただきます」
『いただきますくま』
『いただきますぴょん!』
『香草焼き美味しいくま。香草の良い香りがココ肉とよく合ってるくま。それにスープとパンと一緒に食べても美味しいくま』
着々とグルメになっていくひぃろ。私が言う事がなくなった。
『香草焼き私も好きぴょん。香草の香りがとても良いぴょん』
「本当に美味しいね。私もこれ好きだな。今度ココ肉も買って作ろうね」
『やったぴょん』
『やったくま。食べたいくま』
「フレアさん、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「あら、良かったわ。ハルちゃん達とっても美味しそうに食べてくれるから、うちの人も私も嬉しかったわ」
フレアさんにご挨拶をして、部屋に戻る。
ポーション類を使ってしまったので、少し錬金して作らないと。ついでに何か作ろうかな。生クリームも作れるから、ケーキを作ろうかな。フルーツもジャムもあるし、何より2人が絶対に好きだ。今日は2人ともよく頑張ってくれたからご褒美だね。
材料をいろいろ出していく。ベリーのショートケーキを作ろう。ベリーとジャムも出していく。
『ハル? 何食べるくま?』
「待っててね、もっともーっと美味しくしちゃうからね」
『えぇ! もっともーっと美味しくなるぴょん?』
「うん。だからもう少し待ってね」
後の材料は、卵、小麦粉、お砂糖、バター、重曹がないから卵を泡立てて膨らますだけになるかな。
ふわふわになるように思い浮かべて……
「錬金!」
まずはスポンジを完成させた。次は牛乳とお砂糖を出して生クリームを作った。最後にベリーとジャムを準備して、間にジャムを塗ったショートケーキを思い浮かべる。もちろんとっても美味しくなるように。
「錬金!」
光が収まるとお皿に乗ったショートケーキが出来上がった。
「よし、完成! よし、食べる人ー?」
『くまっ!』
『ぴょん!!』
「一緒に温かい紅茶も入れるからちょっと待っててね」
お茶を蒸らしている間に、ケーキを切り分けてお皿に乗せてあげる。準備をしていたらちょうどお茶の蒸らし時間が終わった。紅茶もカップに注いで皆の前に出す。
「よし、お待たせ。これはね、ショートケーキっていうんだよ」
『いただきますくま』
『いただきますぴょん』
!!!!!
『おいしいくま~』
『溶けるように消えるぴょん! これ大好きぴょん~』
2人は美味しくてうっとりしている。気に入ってくれたようで私も嬉しい。私も食べ始めると、いつも食べているケーキよりスポンジは少し硬めだけどそれでもとても美味しかった。
名残惜しそうにお皿を見ている2人が可愛いので、もう1口ずつ分けてあげる。
「はい、2人ともあーんして。はい、どうぞ」
『ハル、ありがとうくま~。美味しいくま』
『ハル、ありがとうぴょん。とっても美味しいぴょん』
「残ったケーキはアイテムボックスに入れておくから、また今度食べようね」
『ハル、ショートケーキは紅茶ととってもとっても合うぴょん。これとっても好きぴょん』
『ぼくもこれ大好きくま!』
「気に入ってくれて良かった。また今度他の物も作ろうね」
食べ終わった後は、初級のポーション類を20個ずつ作っておいた。後はパンも作っておく。今度べーキングパウダーが欲しいな。そしたらもっと色々なお菓子が出来るんだけどな。
「さ、そろそろ寝ようか」
2人をむぎゅむぎゅっと抱っこして一緒にお布団に入る。
「明日は冒険者ギルドに行かなきゃね。今日は本当に2人ともありがとうね。おかげでアルスさんを助けられたよ」
『全然平気くま。助けられて良かったのくま。アルスさんはいつもハルに優しくしてくれるから、好きくま』
『私も大丈夫だぴょん。いっぱいどしーん! ってして楽しかったぴょん。』
「うん、ありがとうね。ベリーも楽しそうだったし、普段もホーリーアタックしたかったらしていいからね。とっても強かったね。ひぃろはサポートがとっても上手でみんな助かってたよ」
『分かったぴょん。やりたくなったらやるぴょん!』
「じゃぁ、そろそろ寝ようか。おやすみなさい」
『おやすみくま』
『おやすみぴょん』
いつも読んで頂き、ありがとうございます
ブックマークや☆での応援もありがとうございます、とても嬉しいです。
明日は冒険者ギルドに行った後、依頼を受けます。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




