北の洋館へ
ぐっすり眠って、朝いつもより少し早く目が覚めた。周りを見ると、相変わらずの寝相だけど、寝ているひぃろとベリーが可愛いので少しの間眺めていた。
(ふふ、可愛いなぁ)
いつもはもっとしっかりしているのに、寝ている時はちょっと横に伸びている感じがちょっと面白い。でも、そろそろ起こさないとかな。今日は冒険者ギルドに行って何か依頼を受けてみようと思う。
さて、どうやって起こそうかな。ちょっとツンツンしながら起こしちゃおうかな。二人を優しくツンツンするとぷるるっと震えた。
(きゃー! 可愛いー!)
「ひぃろ、ベリーそろそろ起きられるかな?」
といいつつ、もふもふなでなでする。起きたみたいなのでむぎゅーっと抱きしめる。
「ふふ、気持ちいい。2人ともおはよう」
『ハル、おはようくま~…』
『ハル、おはようぴょん!』
ひぃろはまだ眠そうだ。こういう時は……
「朝ご飯食べに行こうよ」
『! 行くくま!』
『行くぴょん』
ご飯の言葉で、一気に起きた食いしん坊なひぃろに、ついつい笑顔になってしまう。2人を撫ででから、私も着替えてそのまま冒険者ギルドへ行ける準備をして、食堂へ向かう。
「フレアさん、おはようございます」
『おはようくま』
『おはようぴょん』
「おはようございます。朝ご飯準備しますね」
「はい、お願いします」
今日の朝ご飯はベーコンエッグ、スープ、パン、ヨーグルトだった。どれも美味しそう。みんなで挨拶をして食べ始める。
『どれも美味しかったくま~』
『ヨーグルト美味しかったぴょん』
「本当にどれも美味しかったね。ヨーグルトは初めてだったけどさっぱりして美味しいね」
フレアさんにお礼を言い、冒険者ギルドへ向かった。朝だから冒険者ギルドの中が凄そうだけど、入っていけるかな。そっと冒険者ギルドのドアを開けて中を伺ってみると…本当に凄い人だった。
(うーん、この多さで依頼見られるかな)
ひぃろとベリーは両方の肩に乗っているけど、潰されないかなとちょっと不安になる。一応2人にシールドを掛けておく。
依頼のボードの方へ行ってみるも、全然見えない。
(どうしよう、もう少し人が少なくなるまで待とうかな)
バターン!!!!
突然、冒険者ギルドのドアが荒々しく開けられて1人の冒険者が慌てて入っていた。怪我だらけだ。
「た、大変だ! 北の洋館で魔物が溢れている! 俺の仲間が1人で残って戦っているんだ! 助けてくれ!」
それを聞いた受付のお姉さん達も大慌てだった。
「詳しく教えてください。どんな魔物いたか分かりますか?」
「あぁ。ゾンビ、グール、スケルトンが多かった。レイスもいるみたいだ。」
私はこっそりベリーにヒールを掛けてあげるようにお願いした。
「ベリー、ヒールお願いしてもいい?」
『任せてぴょん! ヒールだぴょん!』
ヒールを掛けられた冒険者がびっくりしてきょろきょろしてからお礼を言った。
「あぁ、申し訳ありません。怪我の手当ての方が先だったわね」
「助かった、ありがとうな」
そこへギルマスも来て事情を聴き始めた。
「それで今誰が残っているのですか?」
「俺の仲間のアルスが1人残って戦っている。俺はギルドへの報告と援助を頼みに来たんだ」
「えぇ! アルスさん!?」
私は思わず声を上げてしまった。周りから一斉に見られてしまった。
「あ、あの、ティリスの街に居たアルスさんですか?」
「そうだ。知り合いか?」
「はい、ティリスの街でお世話になりました。私も行きます」
「それは助かる。だが、こんな小さな子を向かわせる訳にはいかない」
私は黄色いギルドカードを見せてにっこり笑いながら言う。
「これでも戦えますから、大丈夫です」
「C級か…、すごいな」
「よし、行けそうなやつは北の洋館へ救助に向かう! レイスもいるみたいだから準備を怠るな! すぐ行ける者は10分後に出発する!」
「ひぃろ、ベリー、勝手に決めちゃってごめんね。でもアルスさんを助けに行きたいから力を貸して貰って良いかな?」
『もちろんくま!』
『もちろんだぴょん!』
「ありがとう」
「俺はアルスとパーティーを組んでいるザックだ、よろしくな」
「私はハルです。こっちは獣魔のひぃろとベリーです。よろしくお願いします」
「なんとも、可愛い獣魔だな。さっきヒールしてくれたのは君だよな? ありがとうな」
『気にしないでぴょん。もう大丈夫ぴょん?』
「あぁ、おかげですっかり良くなったからまた戦えるよ。ありがとう」
「私も準備をしてきますね」
「あぁ、また後でな!」
私はアイテムボックスを確認する。薬草類がまだ有ることを確認してから、受付のお姉さんに声を掛けた。
「あの、ポーションを作りたいのですが、どこか場所をお借りしても良いですか?」
「それだったら、こっちにきて。ここを使って貰って構わないわ。でも間に合うかしら?」
「ありがとうございます。出きる限り作ってみます」
場所を借りると、一度に沢山出来るように多めに癒し草とお水を準備した。
「錬金!」
材料が光ると50本出来ていた。解毒ポーションと魔力回復ポーションも同じだけ出来た。
私は、近くにいたギルマスに声を掛けた。
「あの、すみません」
「どうした?」
「初級ですが、ポーションを作ったので皆さんに配って頂けますか?」
「なに!? それは助かる。何本あるんだ?」
「回復、解毒、魔力回復がそれぞれ50本あります」
「そんなにいいのか? 精算は後でだが、いいか?」
「いえ、寄付します。なので皆さんに気兼ねなく使って頂けたらと思って」
「そうか。ありがとう、助かるよ」
私達はそれ以外に準備は必要ないので、ギルドの入り口で出発を待った。北の洋館ってどんな所なんだろう。洋館なのに魔物が溢れるってどういう事なのだろう?
不死系の魔物が多かったみたいだから、やっぱり聖属性魔法的なのが良いよね。確か、ベリーがホーリーアタックのスキル持っていたな。私も何か考えようかな……。
そういえば私、全属性魔法持っているんだからベリーに頼まなくても、回復出来たんじゃない?! エアーカッターばかり使うからすっかり忘れていた。ヒールとかエリアヒールとかきっと使えるはず。攻撃には何だろう。ベリーと同じホーリーアタックでも良いけれど、広範囲に効くの何かないかなぁ。
『ハル、どうしたぴょん?』
「ん? ごめんごめん。どうやって倒すか考えていただけだよ。ベリーのホーリーアタックも使えそうだよね」
『私に任せるぴょん!』
「ありがとう、頼りにしてるね」
『ぼくもがんばるくま!』
「うん、ひぃろも頼りにしてるからお願いね」
がんばってくれるひぃろとベリーの為にも、みんなの手助けをして魔物も倒そう。アルスさんは無事かな。B級冒険者だけど、魔物が溢れているんじゃ心配だから、早く助けてあげたいね。
そう考えているとギルマスが出発の号令を出した。私も他の冒険者について北の洋館を目指す。
誤字報告ありがとうございます。気が付かなかったので助かります、ありがとうございました。
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明日は北の洋館での戦いになります。聖属性のベリーの出番です。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




