出発準備
「ひぃろ、ベリーおはよう」
『おはようだぴょん』
『おはようくま~』
「今日は旅の準備しようね。お昼前に串肉も取りに行かなきゃだね。後、冒険者ギルドにポーション類も買い取りしてもらおうね。後は何をしようかな」
『ハル、クッキーも作ってくま~。食べたいくま』
「いいよ、作ろうね。あ、サラさんとキャルさんに、クッキーとか包んで渡そうかな」
『それはいい考えだぴょん。きっと喜ぶんだぴょん』
『いいと思うくま』
「よし、じゃあ朝ご飯を食べたら、錬金してからお出かけしよう。後、雑貨屋さんでクッキーとか渡す為の籠とかあったら買って来よう」
『あさごはんくまー』
『お腹すいたぴょん』
みんなで朝ご飯を食べに食堂へ向かった。今日の朝食はオークベーコンと茹で卵とスープ、パンだった。ベーコンがとても美味しかった。ひぃろもベリーも終始ご機嫌で食べていた。
部屋に戻ると錬金を始める。まずはポーション類を作っていく。まだまだ材料はアイテムボックスにあるから、初級回復ポーション、初級解毒ポーション、初級魔力回復ポーション、麻痺回復ポーションをそれぞれ50本ずつ作っておいた。怪我で困っている人が減るといいな。
ひぃろのリクエストのクッキーも作っておく。味見に2人に1枚ずつあげたら、2人ともぽよんぽよん嬉しそうに跳ねている。
紅茶を入れたクッキーも作ってみる。材料は小麦粉、卵、バター、お砂糖、紅茶(錬金で細かくした)で、さくさくで美味しいクッキーを思い浮かべて錬金した。日本で作った時よりも美味しいクッキーの出来上がり。
『ハル? そのクッキーなにくま??』
『なんかつぶつぶがあるぴょん?』
「これはね、紅茶の茶葉を練りこんだクッキーで、紅茶の良い香りと味がするクッキーなんだよ。味見してみる?」
『食べるくま!』
『食べたいぴょん!』
「はい、どうぞ」
私も1つ食べてみると、紅茶の良い香りがふわっとして、サクサクした食感の後、紅茶の味がほんのりしてとても美味しかった。
『ほんとくま。紅茶の良い香りがふわっとして、味も普通のとちょっと違うくま!』
『美味しいぴょん! お茶ともよく合いそうだぴょん!』
2人ともちゃんと味の違いを分かるとか、スライムってすごいね。特殊スライムだからなのかしら。とはいえ、美味しい物が一緒に食べられて、美味しいねって言い合えるのはとても嬉しくて幸せだね。喜んでくれる2人にもっと美味しいものを作ってあげたくなる。
2人が好きなフルーツを入れたクッキーも作ってあげようかな。オレンジに似たオレンのクッキーなら作れるかな。
材料は、小麦粉、バター、卵、お砂糖、オレンで良いかな。オレンの汁はほとんど使わないからジュースを2杯に分けて出せるかな。うーん……とクッキーとジュースを思い浮かべて錬金する。
よし、出来た!
『ハル、今度はなにくま?』
「ふふ、2人とも味見してみて?」
2人に1枚ずつ食べさせてあげる。
『! オレンの香りがすごいくま! 爽やかな香りのクッキー美味しいくま』
『! オレンの香りがとても良くて、紅茶と合わせて食べたいぴょん』
2人とも気に入ってくれたみたい。ベリーは私と同じで紅茶が好きだから、一緒に食べたい気持ちはとてもよく分かるので、紅茶も出してあげる。
オレンのジュースも2人に出してあげた。
『ハルは何でも作れて本当にすごいくま!』
『ハルの作るもの全部美味しくて大好きぴょん!』
「2人とも気に入ってくれてとても嬉しいな。いつでも食べたい時は言ってね」
喜ぶとぽよんぽよん跳ねたりぷるぷる震える2人が可愛くて、ついつい甘やかしてしまう。あまりの可愛さに、ついついむぎゅむぎゅなでなでしてしまう。
2人の可愛さを堪能した後、お買い物をしに街へ向かう。まずは串肉の屋台へ向かった。
「こんにちは」
「おう、お嬢ちゃん来たな。出来てるぜ」
「わぁ、ありがとうございます。みんな大好物なので嬉しいです」
お金を払いアイテムボックスに仕舞っていく。
「そんなに喜んで貰えると嬉しいぜ。これはおまけだ、持っていきな!」
「えぇ! そんなに悪いですよ」
「お嬢ちゃんのアイデアのおかげで稼がせて貰っているし気にすんな。それに、そんなに喜んで貰えるとやっぱり嬉しいからな」
「じゃ、じゃぁ遠慮なくいただきますね。ありがとうございます」
『ありがとうくまー!』
『ありがとぴょん!』
おまけで串肉を30本も貰ってしまった。お礼にハーブ塩を渡そうかな。お肉につけて焼くと美味しいしね。
「お礼にこれをどうぞ」
「なんだ?」
「ハーブ塩なのですが、お肉にもお魚にも振りかけてから焼くと美味しいですよ」
「そりゃ面白そうだ、ありがとうな。お礼にお礼もらっちまったけどな」
「私も嬉しかったのでほんの気持ちです。またこの街に戻ってきたら買いに来ますね」
「おう、待ってるから無事に旅して来いよ!」
「はい、ありがとうございます」
今度は雑貨屋さんへ行くと、すぐ目についた籠がとても可愛くて、一目で気に入った。まるっとした輪郭の籠に、持ち手にはリボンが巻かれていた。これならプレゼントに最適だということで、10個買っておいた。後は中に敷く布も買っておく。
雑貨屋さんから宿へ戻る途中で冒険者ギルドに行き、ポーションの買い取りをしてもらった。50本ずつあるから、ブラウさんにもサラさんにも喜ばれた。やっぱり冒険者の怪我が心配だそう。いっぱい持って行って良かった。
宿に戻り、買ってきた籠に布を敷きクッキーを詰めていく。籠のおかげで可愛くラッピング出来た。クッキーが湿気ないようにアイテムボックスに仕舞っておいた。
明日出発するときにキャルさんとサラさんに渡す予定だ。ミントさんとローズさんも会えたら渡す予定だ。2人の分には各種ポーションも入れておいた。会えるといいな。
お夕飯の時間になったので食堂へ向かうとサラさんがいた。
「最後だから一緒に食事をしようかと思って…。どうかしら?」
「嬉しいです!ぜひご一緒させてください」
『サラ、一緒に食べるくま』
『一緒に食べるぴょん!』
「ひぃろちゃんもベリーちゃんも本当に可愛いわ。ついつい撫でちゃうのよね」
「分かります。私もついむぎゅーとしたりもふもふしたりなでなでしちゃいます」
『ふふふ、いっぱい撫でて良いくまよ?』
『嬉しいぴょん!撫ででぴょん?』
2人の可愛さにやられたサラさんと私は、ひぃろとベリーをもふもふっとしてむぎゅむぎゅっとしてなでなでしていた。
「あんた達何してるの」
とキャルさんに笑われた。
「だって、ひぃろちゃんとベリーちゃんが誘惑するんだもの」
「なんだい、そりゃ」
「ひぃろちゃんとベリーちゃんを撫でてみたら分かるわよ」
「それじゃ撫でさせて貰って良いかい?」
キャルさんがそういうと、ひぃろとベリーがキャルさんにすりすりしに行った。キャルさんがひぃろとベリーをなでなでする。
「これは……確かに癖になる気持ち良さだね。しかもとっても可愛いしね」
最後までこんな調子で終わった。この方が良いのかもしれないね。じゃないと寂しくなりすぎてしまう。と思ったらキャルさんがひぃろを撫でながら言った。
「ハルちゃんは、まだ小さいし可愛いんだから人攫いとかも気を付けてね。後、ひぃろちゃんとベリーちゃんは、あまり見ないスライムだから更に気を付けないとよ。ハルちゃんのふわふわした雰囲気大好きだけど、カモに見られるから気を付ける事! 後はまたここに戻ってくる事!」
「そうだね、また会いたいからいつか会いに来ておくれよ」
そんな事言われたら涙腺が崩壊してしまう……我慢してたのに……。
「うぅ……わ、私もサラさんと…キャルさんが大好きだから…絶対会いに来る!」
サラさんとキャルさんがむぎゅーと抱きしめてくれた。
まだ世界を見ていないから今は旅に出るけれど、うん、絶対にここにまた帰って来よう。
「待ってるわ」
「待ってるよ」
「うんっ!」
『ぼくもサラもキャルもビスさんのご飯も大好きくま。だからまた来たいくま!』
『私もまた会いたいんだぴょん。二人とも大好きだぴょん』
ひぃろとベリーのおかげで泣きやめたので最後は笑顔でいられた。
「じゃぁ、そろそろ寝ないと明日が辛いわ。おやすみね」
「そうだね。明日の朝もきちんとビスのご飯を食べて行って貰わなきゃね。お休み」
「はい。おやすみなさい」
みんなでご挨拶をしてお部屋に戻った。みんなにクリーンをして、ひぃろとベリーを抱っこして横になる。
「良い人達に会えて良かったね。絶対にまた来ようね。ひぃろもベリーもありがとうね」
『ハルもいつもありがとうくま』
『ハル、いつもありがとぴょん』
いつもよりも幸せな気持ちで眠りについた。明日はブレストの街を目指して出発する。
誤字報告、ありがとうございました。
『ありがとうくま~』
『ありがとだぴょん』
『ブックマークもありがとくま~』
『☆もありがとだぴょん』
『明日から旅に出るからぼくが活躍するくま!』
『私も頑張るぴょん!』




