冒険者ギルドに行こう!
朝目が覚めて、いつもと違う部屋でちょっと驚いた。お家を借りたのをちょっと忘れていてびっくりしちゃったよ。
そっと起きたら、着替えをしてから朝ごはんの準備をしよう。今日の朝ごはんはフレンチトーストにしよう! 卵液に浸したパンを、バターを溶かしたフライパンで焼いていく。
じゅわ~っという良い音とバターの良い香りで、みんなが起きてきた。
『お腹すいたぱん~』
『良い香りがするこん!』
『きょうはなにぴよ?』
「今日はフレンチトーストだよ~」
『やったくま!』
『フレンチトースト大好きぴょん!』
みんなの分が焼けたら、シロップをたっぷりかけてあげたらみんなで食べよう!
『シロップたっぷりおいしいくまね~』
『幸せのあじぴょん!』
「ふふっ、甘くってふるふるっとしていて美味しいね」
『しあわせぴよ~』
うっとりしているライチが可愛い!
みんなが食べ終わったら、お片付けをしてからタルトとベリーを肩に乗せてお家を出る。
お家を出るとなんか街が騒がしい感じがする。
(何だろう? 何かあったのかな?)
「タルト、何か危険ある?」
『ハル、外が危険って出てるぱん』
「えぇ!? 外? どうしたんだろう……冒険者ギルドに行ってみよう!」
『ハル、ひぃろと交代するぴょん!』
「えっ、うん。分かったよ」
そういうと、ベリーはバングルのお部屋に入って、次の瞬間にはひぃろが出てきた。
『ぼくも一緒に行くくまよ』
「うん、ひぃろ。ありがとうね」
タルトとひぃろを肩に乗せて冒険者ギルドへ急ぐ。冒険者ギルドに入ると、冒険者達が沢山いる。
だけど、怪我をした人がとても多い……。
(あっ、ラウラさんがいた!)
「ラウラさん、どうしたんですか?」
「あっ! ハルちゃん!! 良い所に来たわ。ポーションないかしら?」
「沢山ありますから、使ってください!」
私はカウンターにポーションを次々と並べて行くと、ギルド職員さん達が配りだした。だけど、私のヒールで治そうかな。
「エリアヒール!」
冒険者ギルド内にいる冒険者達の怪我をまずは治した。それからラウラさんに理由を聞いてみる。
「ハルちゃん、凄いわ! ありがとうね」
「いえいえ、まずは怪我が治って良かったです。ポーションはみなさんで使ってくださいね」
「ありがとう。街の北から東側にかけて魔物が溢れているの」
「えぇぇ!?」
「それで冒険者達がこんなになっているのよ」
「そうだったんですね」
街の近くまで溢れたのは昨日の夜だそうだ。それまでは魔物が増えているとしか認識できていなかったみたいだ。
ラウラさんに話を聞いていると、ギルマスが出てきた。
「ハル、良い所に来た! 少し良いか?」
「はい!」
「ハルに頼みがある。先行して少しでも魔物を減らして貰って良いか?」
「はい、大丈夫です! あっ、でも北から東ってことはレシェルの街とルテアの街も見てきた方が良いですか?」
「確かにレシェルとルテアも心配だが……でもそこまで行けなくないか?」
そうだった。グラセリアのギルマスは飛ぶこたつを知らないんだった。飛べるから早く行けるのですよ。
「ふふっ、空を飛べるので大丈夫ですよ」
「はっ!? そ、空を飛ぶだって!? あっ、冒険者達が言っていた空を飛んでいる女の子ってハルの事か!!」
「ダンジョンで飛んでいたので、私かもしれませんね~」
「本当に凄いな……だが、ハルが居てくれて良かった。街が無事なのかも確認を頼んで良いか?」
「はい、大丈夫ですよ。ついでにポーションを渡してきますね」
「あぁ、よろしく頼む。いつ頃行ける?」
「もともと依頼を受けようかと思って出てきているので、すぐに行ってきますね」
うーん、連絡が取れた方が良いかな? 簡易の通信の魔道具を作ろうかな……うーん……カフスボタンみたいに作れば、ボタンホールに留めておけるかな。
材料を鑑定してみると、ボタン、ミスリル、声だけだったら上級の付与が出来る宝石で良いみたい。
ボタンはクルミボタンを使っちゃおう。クルミボタンを2個だして、シーブルーサファイヤを2個、ミスリルを出して、声でやり取りできる電話みたいなのを思い浮かべる。
「錬金!」
材料が光り、光が収まるとカフスボタン型の通信の魔道具が出来た。
1個は冒険者ギルドのギルマスのクルトさんに渡しておく。
「ハル、これは?」
「私が確認してきても、情報が届けられなかったら困りますよね。なので、簡易ですが、通信が出来るボタンを作りました」
そういうと、私もボタンホールに魔道具を付ける。ボタンを一度押すとクルトさんと連絡が取れるようになって、もう一度押すと通話が切れるようにしておいた。
「それは助かる。何から何まで本当にありがとうな」
みんなが怪我をしないように、私達がなるべく倒しちゃって良いみたいなので、暴れて来ちゃおう!
「後、ポーションを沢山出しておくので、他にも怪我をした人にあげて下さい。それと、欠損がある人には少し待ってもらってください。帰ってきたら治します!」
「わ、分かった。よろしく頼む!」
そういうとギルマスは私に頭を下げた。
「まずは周囲を減らすので、冒険者さん達は1時間くらい待ってから残っているのがいないか確認をして貰ってください」
「了解した!」
先ずは街の周囲を減らそう。
北から東にかけて溢れているって言っていたから、北門から出て減らしていこう。ひぃろにはバングルのお部屋に入って、みんなへの連絡を頼んで北門へ急ぐ。
北門は閉じていたけれど、外では冒険者達や騎士さん達が交代で戦っているみたいなので、少し開けて出して貰えるように交渉してみる。
ギルマスからの指示だとギルドカードを提示したらすぐに出してくれた。
外に出ると、冒険者達や騎士達が戦っている。大分怪我をしているみたいなので、ヒールしておこう。
「エリアヒール!」
「嬢ちゃん、ありがとうな!」
「でも、小さい嬢ちゃんは危ないから中に入ってろよ!」
近くの人達がみんな驚いて振り返って、お礼を言ってくれた。本当に凄い数が襲ってきている……。みんな心配してくれてとっても優しい冒険者さんと兵士さん達です。
しかし、この多さは歩いて倒していたら間に合わない……でも、飛ぶこたつじゃ下が見えないし……倒しながら行くのには不便だなぁ。
(うーん……でも歩いていたら絶対に遅すぎる……)
『ハル、どうしたぱん?』
「うん、歩いていたら遅くなるなと思って……」
『飛ぶこたつはダメくま?』
「あれだと下が見えないから魔法が撃ちにくいし、不便だなって思って」
『そうぱんね~……あっ! ハルが乗れる大きさだけにするってのはどうぱん?』
「あっ! それいいね!」
立ったまま乗れるようにすれば良いかな。でも、落ちたら怖いから手すりは付けよう……みんなが落ちないようにもしないとね。
直径1メートルくらいの丸い床にして、みんなが落ちないように柵と手すりを付けた簡単な物を作ろう。風の膜を作って風圧とか大丈夫なようにして、落ちないようにもしておこう。魔法も撃てるようにして……。
材料は飛ぶトレントの木材、風の魔石で良さそうだね。材料を出して、良く思い浮かべて錬金する。
「錬金!」
材料が光り、光が収まると思った通りの物が出来上がっている。よし、これで上から魔法を撃ちながら東門まで進もう。
乗り込むと、ゆっくりと浮かせる。さすがに狭いからちょっと怖いけれど、頑張ろう!
「よし、これなら下も見えるから魔法が撃てるね」
『そうぱんね!』
浮かせると下に凄い数の魔物が見える。これはさすがに恐ろしい……。
木に燃え移らないように、サンダーレインを魔物だけに当たるように思い浮かべる。
「サンダーレイン!」
辺り一面に雷が走り、次々に魔物がぽふん! とアイテムに変わっていく。今日はアイテムを拾っている場合じゃないから、そのまま行こう。
「うん、これなら早く進めるね! タルトありがとうね」
『ふふっ、いいぱんよ。さすがハルぱんね~』
そう話していると、みんなも出てきた。
『ぴょっ!? ハル、これは何ぴょん?』
『ハルが、魔法を撃ちながら進めるように作ったぱんよ』
『なるほどぴよー』
『凄い数がいるぴょんね』
「そうなんだよ~。まずはサンダーレインで減らしながら行くよ~。みんな落ちないように気を付けてね」
『分かったぴょん!』
『ぴよっ!』
『わかったこんっ!』
まずは東門までを減らしていこう! サンダーレインを撃ちながら進んで行く。
読んで頂きありがとうございます。
ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。
明日は魔物を減らしながらレシェルの街へ向かいます。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。