街でのんびり
冒険者ギルドを出た私達は、今度は街を見て歩く。ベリーは初めての街だからか、ずっとあっちを見たりこっちを見たりと忙しい。迷子にならないように、後ろからふたりのぽよんぽよんと飛び跳ねてる姿を見ながら歩く。
「ひぃろ、ベリー。欲しい物があったら言ってね。ゴブリンキングで収入が沢山あったし、色々欲しいもの買えるよ~」
『ぼくは串肉食べたいくま』
『ひぃろが言うならきっと美味しいから、私も食べたいぴょん』
2人ともスライムだし、欲が食欲しかないのね。でも旅の途中でも食べられるように、沢山買わせてもらおう。私もあそこの串肉大好きだし。
「うん、いいよ。旅の途中でも食べられるように沢山買っておこうね」
『やったくまー』
『ハル、ありがとうだぴょん』
可愛いおねだりでもっと甘やかしたくなっちゃう。果物屋さんで果物も沢山買っておこう。そしてジュース作ってあげよう。錬金スキルを使えば一瞬でジュースも作れるしね。
「今日はまだ時間があるから、他にも色々見て回るから、欲しい物があったら言っていいからね」
雑貨屋さんの前を通ったので、少し寄らせてもらう。
「ひぃろ、ベリー。少し寄らせてね。食器が買いたいんだよね。二人も見てていいからね」
『分かったくま』
『分かったぴょん』
コップ、お皿、お椀、お箸、スプーン、フォークとお鍋も少し増やしておいた。スープとか作ってそのままアイテムボックスに仕舞っておけるしね。いくつあっても良い感じ。毛布も足りなかったから予備を持っておこう。
「ひぃろ、ベリー。お会計しようと思うけど、欲しい物あるかな?」
『ぼくは大丈夫くま』
『私も大丈夫だぴょん』
物欲のない2人なので私も必要な物をお会計して貰い、アイテムボックスに全部仕舞っていった。
「ありがとうございました。」
お店を出た私達はまたお散歩をして、お昼の時間になってきたので串肉を食べに行った。
いつもの串肉のお店に行列が出来ていた。とりあえず並ぶ。並びながら近くの人に話を聞いたら、パンに挟んだのが大当たりだったらしい。冒険者達にもギルドの人達にも喜ばれたんだそう。確かにパンに挟んだのは便利だよね。私も欲しいもの。
こんなに並んでいると大量に頼むのが申し訳ないので、今日頼んでおいて空いている時間に作って貰うことにしよう。串肉50本とパンに挟んだのは30個お願いしようかな。
「こんにちは。串肉5本とパンに挟んだのを3個お願いします」
「おう、お嬢ちゃん助かったよ。おかげですっごく繁盛してるんだ」
「みなさんに喜んで貰えてよかったです。空いている時間とかあったら大量にお願いしたいのですが、どうでしょう?」
「朝と昼を避ければ大丈夫だから、いくついるんだ? 明日のお昼前に来てもらえれば作っておくぞ」
「串肉50本とパンに挟んだの30個ずつ欲しいのですが、大丈夫ですか?無理だったら大丈夫な数でお願いしたいです」
「他でもない、恩のあるお嬢ちゃんの頼みだ、聞かないわけないだろう。明日のお昼前までに準備しておくよ」
「ありがとうございます。うちの獣魔も私もここの串肉大好きなので、旅に出る前にいっぱい買っておきたくて……」
「そうか、旅に出ちまうのか……残念だな。でも尚更その依頼受けるぜ!」
「助かります、ありがとうございます。じゃぁ、明日お昼前に来ますね」
今日の分のお金を払って串肉5本とパンを3個貰ってベンチへ行く。ベンチに置いたらアプルジュースも3個買ってきた。
「今日もとっても美味しそうだね。いただきます」
『いただきますくま』
『いただきますぴょん』
ベリーも気に入ったようで次々食べている。みんなで美味しく食べた
『とっても美味しかったぴょん!ひぃろ、美味しい物教えてくれてありがとうだぴょん。アプルジュースもおいしかったぴょん』
「果物屋さんに行っていろんなフルーツも買っておこうね。いろんなジュースが作れると思うよ」
『飲みたいぴょん!』
『飲みたいくま!』
「旅の途中も、美味しい物色々食べようね」
それからまたいろんな所をお散歩した。やっぱりひぃろとベリーは欲しい物は特になくて、食べ物ばかりになった。
果物屋さんに着いたら、2人ともテンションが凄く上がってあれもこれもになったので、全部いっぱい買う事にしておいた。店員さんもびっくりの量でした。
他に欲しい物がない2人を甘やかすのは、食べ物だけなのです! 必要経費なのです! とか頭の中で思いながら躊躇なく買いまくった。甘やかしすぎとか気にしない! だって可愛いんだもの!
あれこれ悩んであっちへぽよん、こっちへぽよんって可愛すぎてもう……。私も店員さんも近くにいた人達も可愛すぎて悶えてた。
そのままお散歩していたら、お茶屋さんを見つけた。今まで全然気が付かなかったけれど、お茶が欲しかったので色々買う事にする。
「こんにちは、見せて貰っていいですか? スライムの獣魔がいるのですが大丈夫ですか?」
「はい、こんにちは。一緒に入って貰って大丈夫よ」
「どんなお茶がありますか? 色々欲しいと思うのですが」
「緑茶と紅茶がありますよ」
緑茶と紅茶があるなんて嬉しすぎる。どっちもいくつか種類があったので色々飲み比べも出来るように買う事にした。これで、ご飯の時間もお茶の時間も楽しみになる。お菓子とも合うから、きっとひぃろとベリーも気に入ると思う。でも甘くないからどうかな。
見た目12歳でも中身は23歳なので大人買いしちゃう。だってお茶大好きなのだもの。そして、ここにまた戻ってくるのがいつになるか分からないので、良しとして思い切って買う事にする。
「すみません、全部1kgずつください」
「えぇぇぇ!!! そ、そんなにですか? 高くなりますけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。これから旅に出るのにお茶がないと寂しくて」
「か、かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
ちょっと申し訳ない買い方だけれど許して欲しい。ついでに可愛いポットとカップを見つけたので買っておいた。
水出しアイスティーとか作っておいてもいいかも。しかも錬金で作れそうな気がする。錬金で作ったら入れ物も出来るしそれでもいいな。ただ水出しアイスティーにするには茶葉が多くいるからやっぱり1kgずつで良かった気がする。
フルーツも沢山あるし、フルーツティーにしても良いな。また旅の楽しみが増えた気がする。そして、2人の喜ぶ姿も見たいから気合が入ってしまう。美味しい飲み物沢山作ってあげよう。
沢山買った所で宿に向かう事にする。宿の部屋に着くとみんなにクリーンを掛けて地図を開く。まずは今の位置を確認する。
今がティリスの街、王都へ行くには途中のブレストを通って行くのが良さそうだ。ブレストの次が王都になる。思ったより近かった。
お夕飯の時間になったので、キャルさんに明後日出発する事を伝えた。
「キャルさん、明後日に出発しようと思います」
「おや、そうなのかい? それは寂しくなるね。次はどこに向かうか決めたのかい?」
「はい、王都を目指そうと思って、まずはブレストへ向かおうと思います」
「そうだね。ブレストを経由した方が安全だと思うよ。ハルもひぃろもベリーも可愛いから気を付けるんだよ」
「あ、ありがとうございます。ビスさんのご飯が当分食べられないのが残念です」
「旦那も喜ぶよ。明後日の朝まで沢山食べておくれね」
「はい、いただきます」
今日のお夕飯もとても美味しい。みんな大満足だった。ビスさんのご飯は本当に美味しくて大好きだ。
沢山食べた後は、部屋へ戻ってのんびりしてた。そういえば、全然レベルとか確認していなかった事に気がついた。旅に出るから確認しておこうかな。細かいステータスがないからレベルくらいだろうけれど。
結果は私がレベル18、ひぃろがレベル20、ベリーがレベル15になっていた。ブラックウルフとゴブリンキングでかなりあがった模様。
特にみんなスキルは増えていなかった。
確認を終えた後は、いつものようにみんなでむぎゅむぎゅして眠りについた。
『もう、ハルったら、ぼくたちが食欲しかないなんて、食いしん坊みたいくま』
『本当だぴょん。私は食いしん坊じゃないぴょん』
(えっ? そうだったの?)
『美味しいものが好きなだけくま』
『美味しいは正義ぴょん!』
(それを人は、食いしん坊さんと呼ぶんだよ?)
『美味しいもの食べたいくま。お腹空いてきたくま』
『私も食べたいぴょん。お腹空いたぴょん』




