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グラセリア国王様に会う

 バングルのお部屋を出て、タルトとひぃろを両肩に乗せて路地を出て、王城へ向けて歩いて行く。王城に付くと、門番さんに話をしてみよう。


「おはようございます」


「おはようございます。何の用でしょうか?」


「あの、クラフティア国王様からの書状を預かって来ているのですが、国王様にお会い出来ますか?」


「君みたいな子供が国王様からの書状を?」


(うーん、どうしよう?)


『ハル、ギルドカードを出すといいくまよ』


「あっ、そうだね」


 ギルドカードを出して、門番さんに見せるととても驚いた顔をされた。


「プ、プラチナカード!? し、しかもクラフティア国王様とランタール国王様の紋章入り!? た、大変申し訳ありません!!」


「いえいえ。仕方ないと思うので、お気になさらず」


「え、えーと、ハル様ですね。少々お待ちください」


 やっぱり、国王様達の紋章が入っているので信頼度がかなり上がるよね。


「ひぃろ、ありがとうね。国王様達のおかげで信頼度が上がるね」


『そうくまね』


『よかったぱんよ~』


 少し待っていると、門番さんが騎士さんっぽい人を連れて戻って来た。


「ハル様、お待たせいたしました」


「ここからは、私がご案内致します」


「お願いします」


 門番さんにペコリと頭を下げてから、騎士さんに付いて歩いて行く。無事に国王様に会えるといいなぁ……。騎士さんに付いて行くと、お部屋に通された。


「ハル様。少しこちらの部屋でお待ち下さい」


「はい、ありがとうございます」


 ソファーに座ってひぃろとタルトをなでなでしながら待っていると、豪華な服を着た人が入って来たので立ち上がって礼をする。


「ここでは楽にしてくれて構わないよ、私がグラセリア国王だ。わざわざクラフティア王国から書状を持ってきてくれて感謝する」


「冒険者のハルと言います。こっちは従魔のひぃろとタルトです、よろしくお願いします。書状はこちらです」


 アイテムボックスから書状を取り出すと、国王様に渡した。そのまま国王様は書状に目を通すと目を見開いて私を見る。


「ハル、治療が出来るというのは本当か!?」


 そういう国王様に、アイテムボックスからエリクサーを取り出して渡す。


「はい、エリクサーを持ってきました」


「エリクサーだと!?」


「確認をさせて貰っても良いか?」


 そういうと国王様は側にいた騎士さんに誰かを呼びに行かせた。


「このエリクサーは一体どこで手に入れた?」


「私が作りました」


「はっ!? エリクサーを作れるだと!? そ、そんなことが……?」


「普通の錬金スキルでは作れないと思います」


「そうなのか……このエリクサーはどんな病気でも治せるのか?」


「はい。蘇生以外は欠損も呪いも治せるみたいです」


「なんとっ!? そ、それは凄い!」


 そんな話をしていると、誰かが部屋の中に入って来た。誰かと思ったら、王宮に努めている鑑定士さんだそう。エリクサーの鑑定をしてくれるみたいだ。


「陛下。これは本物のエリクサーです! 欠損も呪いも治せると出ています!」


「そうか! よし、すぐにフローラの所へ行くぞ! ハルも一緒に来てもらって良いか?」


「は、はい!」


 国王様に付いて歩いて行くと、ドアを開けて入っていく。国王様に付いて部屋に入ると、豪華なベッドに女の子が寝ている。きっとこの子がフローラ様だろう。フローラ様は顔色も真っ白で痩せこけていて、よほど酷い病気なのだろう。


 国王様がエリクサーを少しずつ飲ませると、フローラ様の身体がぱぁっと強く光った。光が収まると、フローラ様の顔色が凄く良くなって痩せこけていた頬も少しふっくらした気がする。


 そして次の瞬間、フローラ様の目が開いた。


「フローラ!」


「お……とう……さま?」


「良かった……フローラ、もう大丈夫だからな」


「お父様、私は一体? 身体の重さも苦しさも何もなくなりましたわ」


 フローラ様を抱きしめていた国王様が、くるりと私の方を向いた。


「ハルよ、本当にありがとう。貴方の作ったエリクサーのおかげで我が娘フローラの病気が治った。本当に本当にありがとう」


「わわっ、国王様。頭をあげて下さいっ!」


「エリクサー? お父様は私にエリクサーを飲ませてくれたのですか? でも、エリクサーなんてそんな高価な物……申し訳ないですわ」


「フローラは気にしなくて大丈夫だ。この方がクラフティア王国から作って持ってきて下さったのだ」


「まぁ! 本当にありがとうございます」


「元気になって良かったです。でも身体がまだ弱っていると思うので、ゆっくりと体調を戻してくださいね」


「はい、ありがとうございます。私はフローラと申します、貴方は?」


「私は冒険者のハルです。こっちは従魔のひぃろとタルトです」


「まぁ、かわいいっ!」


『くふふ、元気になって良かったくまね』


『ふふっ、良かったぱん~』


 フローラ様は10歳で、3年前くらいから体調を崩してここ1年くらいは寝たきりになっていたのだそう。日に日に弱っていくフローラ様に国中の医師達が診ても、原因が見当たらなかったみたいだ。


 エリクサーも探していたけれど、全然見つからなかったんだそうだ。何の病気か分からなかったなら、エリクサーを作って持ってきて良かった。


 病み上がりのフローラ様には少し休んで貰って、またさっきの部屋に国王様と一緒に戻って来た。


「ハル、本当にありがとう。なんとお礼を言って良いのか分からないくらい感謝している」


「元気になって本当に良かったです」


「それでエリクサーの代金なのだが、どのようにするのが良いか希望はあるか?」


「いいえ、私はいりません。その分フローラ様に今まで何も出来なかった分楽しませてあげてください」


「なんだと!? 冒険者なのに礼はいらぬと?」


『ハルだからくまね~』

『ハルだからぱんね~』


「こらこら。その私だからってどういうことかな?」


『くふふ、ハルはフローラ様が元気になってくれたら何もいらないくまよね』


「うん、そうだね~。元気になってくれたらそれが一番だよね!」


『そういう所ぱんよ』


「うーん?」


 別に欲がないわけではないけれど、病気を治したんだからって高額なお金とか要求をするのは違うと思うんだよね。確かに冒険者としては代金が必要かもしれないけれど、特にお金使ってないしなぁ……。


「ははっ、さすがクラフティア国王とランタール国王のお墨付きがある者は違うな。よし、ギルドカードを渡してくれ。私の紋章も入れておこう」


「あ、ありがとうございます! それだけで十分です」


 ギルドカードを渡すとグラセリア国王様の紋章を刻んでくれた。うん、十分すぎるご褒美だと思います。


 ふぅ、なんとか落ち着いたね。後は錬金ボックスを渡したい所だね。でも商業ギルドのギルマスさんにまだ会ってないんだよね。


「後、クラフティア国王様から錬金ボックスを贈るように言われているのですが、どうしましょう?」


「その錬金ボックスとは一体なんなのだ?」


「数種類の調味料を作るための物で、クラフティア王国では今、新しい調味料を広めている所なんです」


「ほう、新しい調味料か……それは楽しみだな。この粒の実の栽培もそれに関係があるという事か?」


「そうですね。粒の実がないと作れないので、まずは粒の実を植える所が必要ですね。私もこの国に来てすぐにここに来たので、まだ商業ギルドにも冒険者ギルドにも行っていないので、そこからですかね?」


「そうだな。書状にあるように、国主導で広めていくようにこちらも準備をしておこう。また両ギルマスと話しを詰めたら、またこちらに来るようにしてくれ」


「分かりました」


 なんとか話しが終わったので、王城を出て商業ギルドに行く前にお昼ごはんを食べようかな。今日はギルド近くの屋台で食べよう。

 

 ギルドの近くに来ると、屋台の広場があるのでお昼ごはんを選ぼう。


『ハル、ぼくはやっぱり串肉がいいくま!』


「ふふっ、場所とお店によって味が違うから楽しみだよね」


『そうなのくまよ』


『ぼくも串肉がいいぱんね。後はあの甘い香りがするのが食べたいぱん』


「本当だね。香ばしい甘い香りがするね」


 クレープみたいに薄い生地をくるくるッと巻いてあるお菓子みたいだ。中に何が入っているんだろう。ひぃろがみんなを呼びに行ってくれている間に、串肉とクレープみたいなのと両方を人数分買って、ジュースも買ってからテーブルに準備をする。


 テーブルに準備が出来たら、みんなもバングルのお部屋から出てきたので、クリーンを掛けてテーブルに乗せてあげると一緒に食べ始める。


「この串肉、スパイシーで美味しいね!」


『本当くまね。このぴりっとするのがいいくまね』


『美味しいぴょんね~』


「んん! クレープっぽいのも中にフルーツのソースが入っていて美味しいっ!」


『これおいしいぴよっ!』


『この甘酸っぱいの美味しいこんっ!』


「どっちもとってもおいしいね~」


 どっちも美味しかったので、また今度食べよう! 食べ終わったら、またみんなにはバングルのお部屋に入って貰って、ひぃろとタルトと一緒に商業ギルドに向かおう。

読んで頂きありがとうございます。

ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。


明日は商業ギルドに行きます。

楽しく読んで頂けたら嬉しいです。

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