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 まずは初球ストレートを相手の胸元04番に投げ込む。昔の独自フォームではなく、矯正改良されたワインドアップによって零の球は制球力も球速も向上し、普通の高校のエースを張れる130〜135を安定して投げられるようになっている。


 これに続いて2球目に良二はアウトローいっぱい13番のストレートを要求。バッターはインハイからのアウトローに対応しきれずに見逃した。ここで打者の打ち気を逸らすようにチェンジアップを低めに投げ込む。

 

 ストレート系を待っていたバッターは変化球をよめずにあえなく三振。立ち上がりは上々であった。このままストレートをコントロールよくボール1個分の出し入れをしながら打っても飛ばない位置に集め続ける。


 二人目も三振に取り、三人目には外れたストレートを当てさせ、拓君のところにゴロを打たせてスリーアウトチェンジである。


「うん、いい感じだな、だけど次からは4番だし5番も中々に打ってくるタイプの選手みたいだ。気をつけていこう」


「そうだな、できれば打者一巡するまでは変化球は取っておきたいがそうもいってられないだろうしチェンジアップを多用したくもないからクリーンナップには惜しまずにいこう。」


 良二と次の回のことを話しながらウチの打撃を見守る。1.2.3は商業の子達が打って4.5.6を拓君 良二 綾人と打って、ピッチャーの俺は最後の9番である。


 1番と2番が相手のストレートとカーブ、スライダーに翻弄され粘るもアウトになる3番の子が初球セーフティをする素振りを見せ揺さぶることでフォアボールを選び取り出塁する。ここで巧打者の拓君がバッターボックスに立つ。


 僕がここでツーベースを打てたら2.3塁で固め打ちの良二に回る。そうすれば一点は確実だし、ヒットだとしても綾人に満塁で回る可能性は高い。なんとしてでも出塁したいな。


 拓人は小柄ながらも遠心力と体の柔らかさから生まれる強い捻りでボールを強く叩くことができる。今回もストレート、カーブ スライダーどれがきても打てるイメージはできていた。


 初球相手のバッテリーが選んできたのはアウトロー気味のカーブ。やはり、小柄ということで外側に集めに来た。しかもカーブを使うことで打ち気をそらそうともしている。しかし、このような対応をされ慣れてきた拓人にとってこのような普通のカーブなど打ちごろの球でしかない。


 いつも通り引きつけて強く叩くことで低めの弾道でセカンドの頭を抜け外野奥までボールを持っていく。予想通りに拓人はツーベースヒットを打ちツーアウト2.3塁。ここで良二がバッターボックスに立ち審判に頭を下げる。


 相手のバッテリーはマウンドで話し合った後に投げたのは低めに外れるスライダー。初めて見せた縦スラである。良二は最初から見逃すつもりだったのか少し驚いた様子でワンストライク。2球目はこれまた低めにスライダー、今度は横のスライダーである。


 しかし、ここで良二はバントの構えを見せる。焦るピッチャーとサード、だがバットを戻し揺さぶりをかける。3球目を投げる時少しサードが前目に出てきていたのを良二は見逃さずに狙い撃つ。見事にサード後ろに落ちて3塁の打者は帰塁、2塁は残塁、ツーアウト1.2塁となって綾人に回ってくる。


「綾人!ここで打てれば一躍有名人だぞ!三重のスラッガーに仲間入りだ!」


「そうそう!美味しいところ全部持っていきなよ!」


塁上から二人の声援を受け綾人は気合十分にバッターボックスに入っていく。さて、注目の初球は…!?

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