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さてさて、時は流れ一年生大会がやってまいりました。俺は朝から電車に揺られ地元の野球場まで来ていた。今回のメンバーは良二 俺 綾人 拓君 モブAに引率兼お目付役の朝山キャプテンである。
「今日は三重高校に高川高校、うちの松代高校に松代商業 松代工業 だな、津方面や伊勢方面は距離的に別の球場らしいぜ。」
「て、ことはウチは商業の一年生と組んで工業 高川 三重とやるのか」
良二が予定を確認しながらみんなに伝えてくれる。
人数が少ないのは男子が少ない商業とウチだけのようで他は一年生で固められているようだ。毎年のことではあるそうだができれば自分達の高校の一年生だけで試合に出たかった。
「三重は勿論打てるバッターが数人揃ってる、甲子園で普通に出られるレベルだな、守備は想像するまでもなく硬いだろうし、うん、零が頑張って抑えて、俺と綾人、拓君で1点取れたら勝てるな。」
「つまり、厳しい戦いになるって事だな。だけどやるには点は取られたくないな。良二のリードに期待してるよ。」
俺は良二の絶望的な告知に対しても負けないように明るく返事をする。
「まあ、バッティングで零の援護はしてやる。それにセンターラインは固い方だから安心しろ。」
「そうそう、内野は任せてよ。それに、零君の変化球とストレートで翻弄できると思うけどね。正直あの変化球を打てる選手はいないと思うよ!」
綾人の男らしい言葉と拓君の応援に力をもらいながら球場入りをして準備とアップを始める。
俺たちがアップをしている横でキャプテンが商業とポジションの割り振りをしてくれているみたいだ。商業はどちらかと言えば強い方ではなく、楽しもう精神のメンバーが多いみたいで俺たちのポジション以外を率先してやってくれるようだ。
「よろしく、商業のみんなに譲ってよかったて思われるように頑張るね!」
拓君はそのコミュ力を遺憾なく発生して商業のメンバーと仲良くなっているみたいだった。
俺たちが拓君の手助けを得ながら商業のメンバーと友好な関係を築いている一方で、三重 高川 工業はそれぞれのメンバーでアップをしている。三重が凄いのは前から聞いていたが他の高校もかなりいい動きをしているのが何人かいて侮れなさそうだ。
俺たちはそのまま各チームと総当たり戦をする事を伝えられ、試合を行う順番を聞いた。まずは俺たち混合チームと高川高校らしい。先攻はあちら側でこちらは後攻だ。俺は良二と話しながらマウンドに向かった。
「今回の試合はストレート主体にスラーブとツーシームで翻弄していこう。シンカーは三重高に取っておきたい。どうしても抑えられなさそうな時は変化の小さい方のシンカーBを決め球にしよう。Aは隠しておきたい。」
「わかった。任せるよ、できれば三重高の時まで温存したいから打たせて取るかボール球を少なくとも三振にしたいな。」
「そうだな、といっても途中からは綾人に交代してスタミナ温存していけると思うからそこまで気張らずにいこうな」
良二はグローブを合わせて審判のところまで戻っていった。さて、ここからは初めてのマウンド、試合だ。不安などはない、どちらかと言うとワクワクの方が強いまである。テンションを上げながら今か今かと試合開始を待つ。そして、待ち侘びていた審判の声がグラウンドに響く。
「プレイボール!」