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今日の放課後練は全体でのピッチャーの守備練習と外野の位置での練習をノックを受けた後個人練習となった。ウチは全体練はそんなに長くはやらない、というのも短い時間で濃密な思考をもとに練習を行うかららしい。
俺も詳しいことはまだまだ説明できないし、出来ないことを出来るようにするので手一杯だからなんともいえないが。
「じゃあ今日はバッピやりますね」
「おーう!好きなように投げ込んできていいぞ!」
そう言ってくれた白松先輩にコントロール重視の130キロストレートをインハイへと投げ込む。
カッキッーン「どっこいしょー!」
白松先輩の変な掛け声と同時に球がフェン直した。ヤバい、何がヤバいってつまりながら飛ばされたのだ。
「ほれほれ、良二が言ってた変化球お化けみしてみんしゃい」
白松先輩が手をクイクィッとして挑発をしてきた。
「じゃあ、遠慮なく投げ込ませていただきます。」
俺は同じインハイの位置にAシンカー(大きい方)を投げ込んだ。今までよりもフォームを変化させたおかげでスピンもしっかり効いてキレも伸びも良くなっているボールだ。
「舐めてんのかっ…!?」
先程と同じコースに振りにきた白松先輩は直前で変化したシンカーに追いつかず空振った。
「なんじゃそれ…零凄いな!!!!!オモロいわ!もっといろんな球投げてきてええぞ」
そんな白松先輩のお言葉に甘えて今練習中のスラーブとチェンジアップ、へなちょこスライダーを投げさせてもらった。といってもシンカー以外は何気にいい当たりを何回か、スライダーに至ってはホームランを何本も打たれた。
白松先輩の相手をした後は他のスタメンの先輩達相手に実践経験をいくつも積ませていただいた。
「ふぅ、すいません、もうしんどいので今日はここまでにしますね。お疲れ様でした。ありがとうございました。」
俺は先輩方にお礼を伝えながら良二にアイシングの仕方を教えて貰いながらダウンをした。
「零結構いい感じに投げれたな、これなら先発のスタミナもありそうだし、いけそうだな。三年や2年の先輩も勝てるなら中継ぎでも全然良いっていう柔軟な方達だし、近々ある1年生大会が楽しみだ。」
俺は良二に褒められたりアドバイスをもらう中で気になる一年生大会について考えを巡らせていた。
「一年生大会ってウチはフルで出られる人数がいないけどどうするの?」
「それは基本的に三重県の一年生を集めてチームを組ませるから、人数の少ないところ同士で固まる事になるな。といってもウチは投手に捕手、センター ショートを固められるからまだマシだと思うけどね。」
「けどやっぱり三重高校とかの強豪高校には不利だろうなあ。」
「お、零は勝つつもりでいてくれてるのか、俺も勿論勝つつもりだけどそう考えてくれているのは嬉しいことだな」
「勿論、やるからには勝ちたいな」
俺らは来る一年生大会に向けて練習を重ねていく。