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10までには練習試合に入りたい

「じゃあ、ピッチングと守備、もしくはバッティングどちらから練習する?あ、基礎知識とかは普段の生活から教えてくから気にしないで。ピッチャーは外野を守ることもあるから高いところから落ちてくるボールを拾う練習や転がるボールを確実に取る練習、後は送球も見てみないとだね。」

良二は零に楽しんでもらうために彼のやりたい事からやらせる気であった。

「いや、良二が1番いいと思う練習から頼む。やるからにはやっぱり一番がいいじゃないか。」

やはり、変な所で凝り性な零であった。

「やっぱりまずはピッチングフォームと他の変化球を試して見る事だね。他の練習に比べて始めるのが早ければ早いほど効果が出るからね。」

「分かった。俺は独学でやってきた見様見真似みたいな所が大きい。しっかりとしたフォームを教えてくれ。」

「まずは零のピッチングは全てが中途半端な状態なんだよね。ワインドアップのままセットをしているみたいになっている。そこを直そう。最初にワインドアップからだ。腕の振りは十分だが腕をもうちょっと上げよう、そのあと軸足にしっかりと体重を乗せ、倒れるように体を前に傾けながら右足を踏み出す。このときに爪先は真っ直ぐキャッチャーに向けてね。そして踏み締めた体勢で左腕を背中から引っ張るように振り切る。このときに右の方でグローブをギュッと握ってタメを作るんだ。そして、全身の力をボールに余す事なく伝える。よし、まずはゆっくり1つ1つ確認していこう。」

零は指示通りに少しずつフォームを矯正していく。確かに今までより力がグッと伝わる気がしてる。

「良二、もう大丈夫だ。投げ込みたいから座ってくれないか?」

「わかった。勿論だよ、ガンガン投げて慣らして行こう。」

言われたとおりに、腕を高くあげ、投げ込む!

バシィィィン!

今までとは全然違う速度 威力が出た。

「ナイスボール!140kmはいけるよこれ!」

「けど、この状態だと4分割くらいにしかできないな。コントロール重視で投げてみてもいいか?」

「わかった!けどフォームは崩さないようにね!」

結局色々試した所コントロールを重視するときは134〜136km、威力だけを見るなら140まで行くことがある。

変化球の方は特に驚くほどの事はなかったが、スピンの量が増えた。

セットも教えてもらったが元々のフォームと対して変わらない速度と変化だったので特筆する事はなかった。

「じゃあ、そろそろ変化球に行こうと思うんだけど零の球数制限はどうなったの?」

「昨日たまたま父親に会えたから聞いてみたら、小さい時の話だから今は好きにすればいいって言ってたよ。良二の予想通りの心配ごとだったみたいだ。」

「そっかそっか、それは良かった。早速始めようか!」

「良二的にはどの変化球を投げてみるべきだと思う?」

「そうだね、既に位置をずらす変化球を2つも持っているんだし、高速シンカーなんていう頭が悪いような魔球でもあるから正直これだけでも県大会突破くらいは余裕で狙えるし、場合によっては甲子園で戦えると思う。けどこの2つをより効果的に活かすには同じ振り型で別方向に変化するもの、またシンカーとストレートの速度が変わらない分、打者の打ち気を晒す変化球が欲しいな。」

「だったら前者はスライダー系カーブ系、後者はチェンジアップやスロー系、あとはナックルとか?」

「ナックルは素質の問題だけどね、とりあえず順番に投げてみよう」

まずはスライダー、しっかりと腕を振りながら指先でボールを切るように投げ込む。

パシン!

変化量はボール1個半ほどだが、シンカーと同じく変化のタイミングが打者の手元に近い所で変化するためギリギリまで読まれ辛く十分に武器になるだろう。しかし、速度は微妙で118〜122kmほど、要投げ込みだな。後は握り方などを模索してストレートと同じ速度の高速スライダーも覚えたいものだ。

次はカーブを投げようとした。そう、普通のカーブを投げようとしたのだが自分に合っていたのかわからないが速度が速いパワーカーブ(スラーブ)を投げてしまった。ストレートとの速度差が少ないというのは高速シンカーと合わせてとてもユーティリティーが高い。

しかし、後者で望んでいた打者の打ち気を晒すというのには使いづらそうだ。

カーブも色々試したら他の変化もできそうだが、とりあえず全部やってみてどれを取るかを選ぼう。

3つ目はチェンジアップ、これは大当たりだった。親指と小指だけ掴み他は軽く浮かせるそして腕を振り抜く、そうするとあら不思議95kmほどのストレートとなった。

「零!とりあえずこの3つで十分だよ!というか最初からこの使いやすさと変化量は凄すぎる!」

そう言ってマスクを外しながら良二は近づいてくる。

「と言っても、スピンが微妙だったり、スライダーに至っては速度が足りないからなあ。」

「そうだね、けどそれは望みすぎだよ、正直言って素質としてはエースを張れると思う。試合とかでは高速シンカーとスラーブ、チェンジアップにストレートの使い分けで行こう。変に色々練習して体に変な捻りが増えると良くないからね。」

「そういえばムービング系は練習しなくていいのか?握り方を変えるだけなんだろう?」

「あー、そうだね、ツーシームとワンシームだけやってみようか」

という事でツーシームをストレートのように投げてみる。速度はまんまストレートではあるが右下に沈むように変化した。スラーブほどではない変化、高速シンカーAとBの差の反対版みたいなものになった。

ワンシームは残念ながら使い物にならなかった。

「じゃあ、投げ込みはこれから毎日やって行こう。とりあえず休憩をとってから守備練とか他のことだね。」

この後は良二のアドバイスに従いながらフィールディングや外野での練習をした。

今日はそのまま使ったところを片付けてあがった。

良二とは帰る方向が違ったので1人で帰ろうとしたところ、朝山先輩と他の先輩方が話しているのを見かけ会釈して通り抜けようとしたが捕まってしまった。

「よお!零だったよな、こっちこいよ!」

「うっす。」

朝山先輩の手招きに応じて駆け寄っていく。

「こいつ昨日から来ていたから見たことあると思うが1年の一条零って言うんだ。お前らよくしてやれよ!」

「よろしくな!2年の松柳誠治って言うんだ、ポジションはセカンド。そつなく色々やってるぜ。一応1番を打たせてもらっている」

爽やかイケメン系の松柳先輩が握手をもためてきたので握り返しておく

「俺は三年の菊田久光だ。サードをしている。俺の味はバッティングだ。お前が打たれても点は取ってやるから安心しろよ」

がっしりとした体型の菊田先輩は柔道部の主将のようなイメージがピッタリだろうか、意外にも手は柔らかくてスベスベだった。

「同じく三年の何でも屋、寺脇健吾だ。よろしく頼むわ!」

「健吾はショートやピッチャー外野、足りない所色々そつなくこなしてくれるんだ。」

寺脇先輩の後に朝山先輩が付け足してくれた。

「んで、最後になったがワイが2年のメジャーリーガー白松大輝よ!ポジションはセンターや!俺に守れない外野範囲はない!」

「嘘つくなや(苦笑)ライトとレフトの端半分は無理だろうに。」

「いやいや、寺脇先輩それは言わん約束でっせぇ!」

「言わない約束だからメジャーリーガーには突っ込まんといてやったのに、おいおい」

なんというかスピード感が凄い2人だなあ。

「お、そういえば零明日からはお前も外野の守備練とピッチャーのフィールディング練に入ってもいいぞ、基本的な事は教えたと良二からは聞いているし後は実践あるのみだ。」

「ありがとうございます。頑張ります。」

「あんさんピッチャーやったんかぁ、これからは寺脇先輩のなんちゃってピッチャーとは違うちゃんとした実践形式のバッティング練習できるますねえ!」

「なんちゃってとかいいながら俺の球を打ちあぐねていた奴はどこのどいつやったかなぁ?」

「最近耳が遠いさかいよお分かりまへんわ」

「お前ら勝手な事を言っているが、零は今年始めたばかりの初心者なんだぞ、あんまり無理はさせられないから諦めるんだな」

「朝山先輩大丈夫ですよ、自分投げ込みとか素振りは日課でやってましたから200球くらいなら毎日投げても大丈夫です。」

「毎日200!?それはありがたいが無理はするんじゃないぞ?」

「はい」

朝山先輩に許可を貰って明日からはバッピも行うこととなった。

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