34
久しぶりに球詠を読み直しました。やはり野球モノは何であれ楽しいですね
時間が経って5月最後の土曜日、松代高校対松代工業の練習試合である。昨日のテストはただ長く7科目も受けて夜の6時くらいまでかかった。
早く終わりたいきもちでいっぱいだったな。なんといっても問題を解いた後の余った時間が暇で暇でしょうがない。机の下に隠しておいた筋トレ用具で時間を潰したがそれでも長い。
そんな地獄から解放された次の日の土曜試合である。家族は終わった後のお昼ご飯どこかに食べにいくかなど話しており緊張感を持とうとしても持てない環境だ。別に持ちたくないが。
ピンポーン
お、来たな。
ガチャ
「おはよう。」
「おはよう!」
俺は良二を室内練習場に案内する。
「でけぇな。」
「うちの家系ここら辺の地主だったらしくて持ってたから作ってくれたんだよな。」
そういいながらキャッチボールをして体と肩を温める。家族は良二と練習する事を知っているのでこちらには来ないはずだ。
「よし、そろそろボールの状態を見よう!」
良二のサインに従いストレート スラーブ スローカーブ を投げていく。
「どうだ?」
「結構カーブ系はいい感じだね。今日はこの3種類を主体にやっていこう。じゃあ次ね。」
ツーシーム カット チェンジアップを投げる。
「やっぱりツーシームとカットはまだまだだね。チェンジアップはなんだろう、他の球種を投げ始めたからかわかんないけど抜け感が前よりいいね。」
そして最後にシンカーを4種類投げ分ける。
「うーん、いうことなし。いつも通りやばいね。ナックルは出さないからね。まだ取れる気がしないし、情報を与えたくない。」
「了解、少し早いけど向かうか?」
「そうだね。」
ガチャ 練習場のドアが開けられる。
「お兄ちゃーん!お母さんがおにぎり握ったから二人で食べられるならどう?ってー!後お父さんが学校まで送ってくれるらしいよ!」
「わかったー!今行く! って事でおにぎり食う?」
「ご馳走になります。」
二人で道具をそれぞれ片付け手を洗ってリビングでタッパーに入ったおにぎりを貰ってそのまま車の後ろに乗り学校まで向かう。
「失礼します!よろしくおねがします!」
「はーい。安全運転で向かうね。」
「父さん、そういえば前言ってた情報の件どうなっている?」
「ああ、東海地区と近畿地区の分なら父さんの店にくる常連さんの口コミや情報をまとめたもので対応できると思うよ。毎日色々な情報が集まるからまとめてあるよ。」
「って事だから良二にこのデータまとまったやつまた送るわ。」
「え!前言ってた情報を助けてくれるってこんなにすごい事してもらっていいの?」
「いいよいいよ、息子の女房役の手助けになるなら全然気にしないし、実際雑談の中で出てくる情報をまとめてるだけだからね!」
「それでも助かります。ありがとうございます!」
「今日戦う松代工業は全体的にバランスの取れたチームだね。穴となるところはほぼないけど、今年から入った1年キャッチャーの肩があまり強くないことが特徴といえば特徴だね。拓君なら楽に盗めるはず。あと、ピッチャーのフィールディングが微妙だね。出てくるのは三年のエースのはずだ。」
「そうですね。僕も同じ考えです。3年のエースの緒方さんはストレート主体にカーブ スライダー チェンジアップを綺麗に使う典型的なバランス型エース。狙うとしたら全ての主軸となっているスライダーですね。」
うんうん、と二人で学校に着くまで議論を交わしているのを横目に俺はギアの切り替えのための集中力を上げるための瞑想を復習の意味も込めてしていく。