29
来週の土曜に試合があると決まってみんな気が引き締まる思いで練習に取り組む…訳でもなく普段の練習を普段通りにこなす。
普通だと特訓!とかなるのだろうが主将曰く、「普段の練習を発揮するのが試合だ。なら普段通りに練習すべきだし、普段からレベルの高い練習をするべきだ。」
との事である。特にうちは個人練習の時間が多めで全体の練習が少ない。と言っても個人練習の内容としてはランニングのペースが個人の好きなように出来るとかも入る。
全体でやらなければいけない守備練習は特に最近密度が高い。一つ一つのプレーに対して何故どうしてだからと合理的に詰めていき、守備の間の判断ミスをなくしていく。
今までこの練習方法で守備型のチーム作りをしていたため、大きな点は取られないが点を取れずに負けたり、そもそも投手力が低く守備が硬くとも回数が重なりミスが出たりなどで負けてきたらしい。
さて、話は変わるが本日は土曜日、前から約束していた銭湯に行く日だ。何気に友達とのお出かけとか初めてだし、学校終わりに何かするとかこの田舎じゃ考えられないからワクワクだ。
「じゃ、俺のいきつけのとこまでチャリ漕いで行こうぜ。」
俺たちは部室でユニフォームから体操着に着替えて銭湯まで向かう。春心地良い感じで自転車を漕いでも暑くないし寒くない。
「そういえば最近運動部で授業中の眠気覚ましに筋トレ器具が流行り出してるらしいぜ。」
「あ、それよく聞くよね。女の子もやってる人多くて先生も注意しづらそうだよね。」
綾人と拓くんが最近の学校のことについて話してる中で気になる言葉が出てきた。
「あ、それって零が始めたやつがきっかけじゃねえか?」
「多分ね。」
「零君??なんでなの??」
「変化球の握りを強化するためにね。別に眠くなったりはしてないんだけど。」
「あ〜なるほどな…それはいいかもしれんな。俺も買おうかな。」
綾人が興味を示しているようだから店紹介しとく事にした。
「なら一条スポーツ店いくか?安くしとくように父さんに言ってあげるよ?」
「マジで!?あそこの息子なのかあ、そりゃいい設備で練習できそうだな。」
「だよねー。ここら辺は土地安いし広い面積さえあればスポーツ店とかの口利きでいい設備揃えれそう。」
「まぁ、拓君と綾人の言うとおりだな。雨の日とか筋トレですぐ終わってしまう日は家で練習してるよ。梅雨の期間とか帰り寄ってくか?」
「「「あざまーす!」」」
そんなこんなで銭湯に着いたので各々用意しておりていく。