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今日も朝から境内の掃除を手伝い、瞑想について教えを受けながら学校に通う。部内での連絡の際に練習試合が決まったと知らされた。
「で、相手はこの前1年生大会で戦え無かったところ同士でやるらしい。だからうちは松代工業になる。だが1年生のみで戦わず今回は三年まで含めたフルメンバーでの戦いになる。」
「ま、なめられてますわな。」
主将の説明に白松先輩がおちゃらけた態度で言う。
どういう意味か分からず疑問に思っていると横で良二が説明してくれた。
「つまり、夏の予選前に戦力をバラしても勝てる相手だと思われてるんだよ。強豪同士なら基本2軍が出るしな。」
「そういう事ね。」
「まぁ、良二と白松の言う通りなんだが、ただで負けてやるつもりはないし勝ちに行く。そのためのオーダーも組んだから早めに発表しておく。」
今回は背番号とは別に打順とポジションだ。
1番ショート 大国拓人
2番キャッチャー 水樹良二
3番センター 白松大輝
4番ファースト 朝山貴教
5番レフト 鳥沢綾人
6番セカンド 松柳誠治
7番ライト 寺脇健吾
8番サード 菊田久光
9番ピッチャー 一条零
以上である。
1年生大会の延長という事で1年生は希望者全員を出場させる。そこに夏大会でも出るであろうスタメンを補充すると今の形になる。
他の2.3年の先輩はどちらかと言うと中学でもやっていたから体を動かすために野球部にいる人が多めで不満などは一切ないようだ。
「今回先発に零を起用したのは1年生というのもあるがうちの投手不足を解消する為でもある。気負い過ぎずに投げろよ。別に点を取られても先輩達がなんとかしてくれるからな。」
「はい!精一杯頑張ります!」
なんとなくだが先輩方が俺のメンタルを気にしてくれているのはわかる。だからこそその気持ちに応えたい。一ヶ月やそこらで何か変わるモノでもないが、瞑想の特訓の成果を見せられるといいな。
その夜帰ってからご飯を食べる際に報告をすると
「零がまた先発か、良かったな。期待されてるだろ。」
父さんが揶揄うように言ってくる。
「あたりまえだよ!いつも練習してるお兄ちゃんはカッコいいし強いよ!」
瑠璃は励ましてくれる。
「まあ、前みたいに気負い過ぎずに投げるよ。勿論負けるつもりはないけどね。」
「来週の土曜だっけ?休みも取れるし見に行ってみるか。瑠璃と母さんも来るか?」
「行く行く!!!」
何故かこの流れで俺の試合観戦が決まってしまった。