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授業も終わり良二と筋トレ器具について話しながらグラウンドへ向かって行く途中でこれからのことについて話していた。
「この前喫茶店でも話した通り、先週の一年生大会は今月、5月の初めで、県大会予選が始まるのが7月10日。残り二ヶ月で取り組む事は?」
「高校通して下半身と握力の強化。他には特にフィールディングとマウンド上での精神的な物の強化。」
「そうだな。それもある。フィールディングに関しては結構できてたし、飲み込みも早いからあまり気にするほどでもないな。それよりも球種をもうちょっと磨こう。シンカーに関しては正直口出しすることがない。けど、ストレートやツーシーム、スラーブとチェンジアップ。色々あるけど、どれも強打者の勝負では避けてしまった。この2軍レベルの球を準1軍まであげたい。できればその中でもシンカーと迷わせるくらいにはしたい。」
「そうか、今の状態だとシンカー、一択になるのか。」
「そうそう、シンカーでも緩急変化量で結構選択肢増やせるしキレもいいから打たれないけど。そこに別の球種が混ざればより効果的に使える。まあ、もしかしたら他にも使える球がみつかるかもしれないしな。」
「それなら、この前三重高の山下に投げたボール。あれ、わざとカット気味に投げてたから芯外せたんだよね。だからカット系とかどうかな。」
「あ、やっぱり何か変化かけてたんだ。目の前で芯を外した音をしてたから何かあるとは思ってたけど。」
こんな感じでバッテリーらしい会話をしていると丁度下駄箱前で静ねえと出会った。
「あれ!零ちゃん!今朝ぶり〜。今から部活?」
「そうだよー。静ねえは今日は休み?」
「うんー。そうなんだよね。ちょっと個人的に今頑張ってる事あってね、」
なんか、言いづらそうな雰囲気してるしあまり突っ込むべきではないな。
「そっか!あ、そういえば、こいつが朝の時話してた大事な友達兼女房役の良二。」
「は、初めまして!」
何故か良二は緊張した様子で静ねえに挨拶してる。
「初めまして、いつも零がお世話になっております。」
ぺこり。
「いや、なんで俺の母親みたいたんだよ。」
他愛もない話をしているわけにもいかないので挨拶をして別れた。
「じゃあそろそろ部活だから行くわ。」
「うん。またね〜。」
玄関から出るところまでに拓君と綾人に捕まった。
「さっきの綺麗な先輩は彼女??」
拓君がニヤニヤしながら問いかけてくる。
「零も隅に置けねえなあ。根暗そうなのに。」
綾人もニヤニヤしている。
「おい、根暗は余計だろ。」
俺は軽くあしらいながら部室で着替えてグラウンドへ向かう。さて、軽くウォーミングしてから全体練その後に良二とブルペンだ。